また、これは先月に菅義偉内閣菅官房長官にお会いしたときにもお話させていただいたのですが、国が取り組む創業者向けの起業支援はあるのですが、創業した会社を維持して、成長させていくための支援が不足していると思います。創業支援に200万円を支給されても、それが無くなればつぶれてしまう会社もあると耳にしています。世界には創業支援の融資を行った際に、経営者としての研修を義務付けている国もありますが、こうした施策も必要ではないでしょうか。
【HJ HJ EYE:8】女性による起業、挑戦すべきは今
■自分の“変えたい!”をカタチとする成功モデル
――アメリカの選挙では初の女性大統領は生まれませんでしたが、東京では小池知事が手腕をふるうなど、女性の社会進出が活発化しているように思えます。安部政権では女性の活躍を推進するような政策を打ち出していますが、女性が起業する上で、今は良いタイミングなのでしょうか?
また、これは先月に菅義偉内閣菅官房長官にお会いしたときにもお話させていただいたのですが、国が取り組む創業者向けの起業支援はあるのですが、創業した会社を維持して、成長させていくための支援が不足していると思います。創業支援に200万円を支給されても、それが無くなればつぶれてしまう会社もあると耳にしています。世界には創業支援の融資を行った際に、経営者としての研修を義務付けている国もありますが、こうした施策も必要ではないでしょうか。
――菅原さんの著書に、「女性社員の割合が3割を超えると組織が変わる」というお話がありました。女性が経営者になることは、その会社にとってもプラスになる部分がありそうです。
――一方で、中小企業庁が挙げている「女性起業の現状と課題」では、女性経営者はノウハウが不足している部分があるとしています。
■アジアの和食や美容ブーム、女性経営者の挑戦がはじまる
――エメラルド倶楽部では以前から女性の社会進出を支援してきました。元々は菅原さんが一人で始めた活動だったと伺っています。
はじめは自分自身の成功のために、上場企業の経営者によるセミナーを開きました。さらに、私を含めた会員の女性経営者が求めるものを提供することで、今のエメラルド倶楽部の形が徐々に生まれていったわけです。
――菅原さんはエメラルド倶楽部の活動として、海外を頻繁に訪れています。先ほどお伺いした“女性経営者が求めるもの”が今、海外にあるのでしょうか?
海外進出にあたって経営者の一番の問題が、現地の情報が無いということです。悪質な事業者の話も聞きますので、まずは信頼のおける現地の経営者との繋がりが大切ではないでしょうか。
――これはある経営者に聞いた話ですが、起業に興味があっても、何をしていいか分からない女性が増えているようです。海外進出はその一つの方向性になりそうですね。
女性経営者が多い業種に美容関連の事業がありますが、日本で起業すると他店との激しい競争にあいます。それよりも海外に出れば、人件費などのコストを安く抑え、日本と同じような売価で勝負ができる国もあるわけです。インドでは経済成長とともに美白やエステ、ネイルサロンなどが注目されていますが、こうしたビジネスに日本の経営者はもっと挑戦していくべきだと思います。
フィリピンで成功しているある女性経営者に、月に10万円程度の利益で、運転手や家政婦、ベビーシッター付きの環境で仕事をしている方がいます。世界にはこういう経営者もいることを、広く女性に伝えていきたいですね。
菅原智美(すがはらともみ)さん
全日空エンタープライズ、リクルートを経て、95年に携帯ショップを手掛けるLiCROSSに入社。05年に代表取締役に就任する。07年に女性起業家の社会進出と育成を目的としたNATULUCKを設立。09年にはエメラルド倶楽部を立ち上げ、女性経営者の支援活動を手掛ける。
■ 取材を終えて
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