その先頭に立って「観光によるまちおこし」を行ってきたのが、富士河口湖町観光連盟・代表理事の山下茂氏だ。今、地方の観光地が考えなければいけないことは何なのか? 事例とともに語ったのは、地方観光を支えようという強い信念だった。
国内観光はシニア世代誘致が重要になる(富士河口湖町)/インバウンドマーケットEXPO
その先頭に立って「観光によるまちおこし」を行ってきたのが、富士河口湖町観光連盟・代表理事の山下茂氏だ。今、地方の観光地が考えなければいけないことは何なのか? 事例とともに語ったのは、地方観光を支えようという強い信念だった。
■日本一利益率の高い観光連盟を抱える富士河口湖町の現状
富士河口湖町への外国人観光客、特に中国からの団体客は減少傾向にあり、その対策としてFAMツアー(旅行事業者を対象に誘客促進のために行う現地視察ツアー)の実施や、海外への誘客セールスのほか、地域振興や新しい観光資源の発掘も積極的に行っている。
「一度落ちたら上がれないのが観光業ですが、逆に言えば落とさなければ良いのです」と山下氏は話す。
■行政からのトップダウンではまちは蘇らない
また富士山のロープウェイの代わりに鉄道を敷き、冬でも富士山観光ができるような企画の立案、富士山に隣接する市や静岡県との連携といった、富士山を軸にした観光誘致ほか、山梨の特産である果物に着目し、甲府市・笛吹市・甲州市・山梨市の観光協会と連携した「富士山フルーツ観光推進協議会」を設立。各市町村の果物や名物・名所を取り上げ広域的な地域振興を手がけるなど、富士山だけに頼らない観光資源の発掘にも積極的に取り組んでいる。
■地方の観光地ではシニア世代の誘致が重要になってくる
河口湖町を訪れる観光客について「日本全国で多くの地域がインバウンドの誘致をしているため、河口湖町を訪れる外国人は減っています。しかし日本人の高齢化に伴いシニア世代の国内旅行が増えると考えています」と観光客がV字型に増加することを予測。そこで行政と一体となり、高齢者に対する優しいまちづくりの促進に取り組んでいるのだ。外国人観光客だけでなく、高齢者が観光に訪れやすいまちづくりに配慮するというのは各地域における今後の課題といえそうだ。
「私もこれまでいろいろなことをやってきて、いろいろなことを言われてきました。しかし何かをやると決めたのであれば、悪口や陰口を言われることを怖れずに真剣に取り組まなくてはなりません。身を捨てないと改革をおこすことはできないのです」
●関連リンク

イベントレポート新着記事
-
「地域の逸品」その頂点に輝いたのは?「こんなのあるんだ!大賞(商品部門)2019」レポート
全国の地方新聞社が各地の名品を厳選・販売するお取り寄せサイト「47CLUB(よんななクラブ)」による「こんなのあるんだ!大賞2019」が発表されました。都道府県ごとに「こんなのあるんだ!」と思わせる商品とショップを発掘、特に世の中に知ってもらいたいと思わせるストーリー性のある商品とショップのナンバーワンを決めるアワードです。果たして大賞を獲得したのは?
2019年12月4日
-
ブランディングから地域活性化まで。「デザイン思考」で企業の力を引き出せ!
ビジネスチャンスの拡大に、ノベルティやインセンティブなどの販促用ツールや、マーケティングをサポートするサービスは欠かせません。そんなノベルティグッズやマーケティングツールの見本市「第60回インターナショナル プレミアム・インセンティブショー 秋2019」が開催されました。今回の記事では、ビジネスを活性化させる「デザイン思考」などについて論じたセミナーを紹介します。
2019年11月20日
-
かゆい所に手が届く! 販促ツールの最新系を使いこなそう
ビジネスチャンスの拡大に、ノベルティやインセンティブなどの販促用ツールや、マーケティングをサポートするサービスは欠かせません。そんなノベルティグッズやマーケティングツールの見本市「第60回インターナショナル プレミアム・インセンティブショー 秋2019」が開催されました。今回の記事では出展ブースの中からユニークな販促サービスについて紹介します。
2019年11月5日
-
次の食のキーワードは「食習慣リスク」。小売・外食は顧客データ活用の道を探れ!
今月施行された「食品ロス削減推進法」。食に対する関心は高まる一方ですが、次に注目されそうなのが、食習慣に起因する代謝リスクなどの「食習慣リスク」です。食生活や生活習慣の変化によって、健康に不安を抱えている現代人は少なくありません。しかし行政や公の団体がアピールしても、消費者との接点が少ないため啓蒙にはつながっていません。逆に言えば、消費者に近い立場である小売や外食産業に新たなビジネス開拓のチャンスが訪れているのです。
2019年10月31日
-
なぜ「designshop」は伝統工芸品を売り続けることができるのか?
ライフスタイルの多様化によって、消費者は新しくて機能的な製品ばかりでなく、伝統工芸品やデザイン性の高い製品にも注目しています。そんな伝統工芸品やデザイン製品を含め、シンプルで長く使えるアイテムを多数取り扱っている「designshop」のオーナー・森博さんが、20年に渡って得た店舗運営の知見や商品開発について語ってくれました。
2019年10月7日
-
生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る
国内最大級のクラウドファンディングサービス「Makuake」。これまでに多くの製品やサービスを世の中に生み出してきました。作る側や売り出したい側にとって、Makuakeを活用した製品開発のメリットとは何なのでしょうか?
2019年10月4日
-
自分の知らないものは売らない〜『パンと日用品の店 わざわざ』急成長の理由〜
長野県東御市にある『パンと日用品の店 わざわざ』。食と生活をテーマにしたさまざまなものを販売しています。山の上にぽつんと建つこの小さなお店が、実店舗・オンラインストア合わせて、なんと2億円を超える金額を達成しています。ターニングポイントは在庫の持ち方を変えたことでした。
2019年10月2日
-
クラウドファンディングで活性化! 地方発工芸品メーカーの逆転劇
日本の工芸を語るとき、キープレーヤーとして必ず名前があがるのが「中川政七商店」です。中川政七商店は1716年創業を誇る奈良の老舗企業。日本の工芸をベースにした生活雑貨を企画製造し、全国に50を超える直営店で小売業を展開するほか、地域活性事業や各地の工芸品メーカーに向けたコンサルティング事業も行っています。そのコンサルティングの一環となる販路開拓支援のために開催しているのが合同展示会 「大日本市」です。
2019年9月26日