このような需要を取り込むことは、都市部で店舗経営を行う事業者にとっては大きな課題だろう。ただ、そのためには外国語対応などの準備が必要となり、接客を行うスタッフにも負担がかかる。その対応に工夫をこらしている企業のひとつが、東京を中心にゲームセンターを運営するアドアーズだ。
【コト消費化するインバウンド:2】ゲームセンターの新接客術
■ゲームセンターの遊び方に迷う訪日観光客
このような需要を取り込むことは、都市部で店舗経営を行う事業者にとっては大きな課題だろう。ただ、そのためには外国語対応などの準備が必要となり、接客を行うスタッフにも負担がかかる。その対応に工夫をこらしている企業のひとつが、東京を中心にゲームセンターを運営するアドアーズだ。
「アジア圏のお客様の中には、お金を入れるところから操作を案内しないと分らないという方もいらっしゃいました。店内は原則禁煙で、撮影も禁止していますが、そういったマナーをお知らせする必要もあります」
近年では都市部のゲームセンターを訪れる訪日観光客が増えているという。このような店舗について、アドアーズでは英語や中国語を話せるスタッフを配置。お客様対応を行っていたが、それでも解決しないようなシーンもあるようだ。
■音声通訳などのサービス向上で口コミを呼ぶ
「サービスを導入したことで、外国語に精通していないスタッフにも安心して接客を任せられるようになりました。現場の外国人対応におけるスタッフの負担も軽減しています。外国人のお客様はリピーターも多いので、次回訪日したときに『安心して遊べる』とまた来ていただいたり、『あそこはよかった』と口コミしていただくこともできそうです。実際、友達に紹介されて来たというお客様もいらっしゃいました」
さらに、音声通訳代行サービスの導入に合わせ、アドアーズでは中国で一般的に使われている決済サービス「WeChat Payment」への対応もスタートした。これはオーナーがショーケースのスペースを借りてフィギュアなどを販売する「アニメプラザ秋葉原 レンタルショーケース」での利用が可能だが、中国人に口コミで広がり、今では来店客の8割が中国人観光客を占めるという。
インバウンドが急増する中で、外国語対応が急務となり、小売店や宿泊施設などに向けた翻訳サービスもさまざまなものが登場している。中には、月額1000円で使えるようなものもあるので、中小でも比較的に導入は容易だ。インバウンドの関心が体験型コンテンツへとシフトする中で、ゲームセンターやカラオケ店などのアミューズメント施設では、今後訪日観光客の増加が予想される。このような施設を持つ事業者では、外国語対応をいち早く進めて、その消費の取り込みを目指したい。
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