【プロ人材と地方企業:1】キーパーソン採用で攻めに転じる!

2016年11月17日
【記事のポイント】 ▼『採用が上手い企業』は、経営者がしっかりと採用にコミットメントしている ▼プロ人材が求めるのは“地方企業で働くからこそ得られる経験”
【記事のポイント】
▼『採用が上手い企業』は、経営者がしっかりと採用にコミットメントしている
▼プロ人材が求めるのは“地方企業で働くからこそ得られる経験”

プロフェッショナル人材の採用にあたっては、社長が率先して企業や地域の魅力を伝えることが重要

■プロ人材採用で「攻めの経営」に

人材の都市部集中が語られて久しいなか、日本各地の中堅・中小企業において、事業のキーパーソンとなりうる経験豊富な人材が求められている。15年10月に内閣府では各道府県に「プロフェッショナル人材戦略拠点」を設置し、「プロフェッショナル人材事業」を開始。16年8月までの相談件数は約7000件で、そのうち284件が成約し、地方で一定の成果を出しつつある。

 地方企業が攻めの経営に転じるために必要な人材を、各地の「プロフェッショナル人材戦略拠点」が人材ビジネス事業者を通じてマッチングする同事業。この人材ビジネス事業者として同事業に協力し、地方企業と人材のマッチングを行っているビズリーチ取締役の多田洋祐氏によると、地方においてはマネジメントやグローバル業務で即戦力になる人材に大きなニーズがあるという。

「また、IT系の人材も求められています。地方地場の製造業などの企業は、オンライン業務に対応できていないといった側面が多々あり、人材が充実している東京で人を探す傾向があります」

 一方で同社のサービス全体においては、コンサルティングファームや金融、ITコンサルといった専門性を持つ人材のニーズが高まっているという。ただし、ビズリーチ全体では製造業の求人が約24%を占めるが、地方の人材でもその割合は変わらない。これらの話から、地方と都市部ではプロ人材を求めている業種の比率は変わらない反面、地域による人材の偏りが顕著に見て取れる。

今年10月にビズリーチが開催した「鳥取県の仕事と暮らしを体感する」現地ツアー

■「採用が上手い企業」の条件

地域や業種を問わず人手不足が叫ばれているが、プロ人材の採用においても事情は同じなのだろうか? 多田氏は「むしろプロ人材では激化している」と指摘する。

「高年収であればあるほど人の数は少なく、大量のスカウトが飛んでいます。だからこそ企業は採用の仕方を工夫する必要があり、『人材の獲得と育成』に本気で取り組むことが重要になる。実際に地方でも『採用が上手い企業』は、“経営者がしっかりと採用にコミットメントしている企業”です」
では、地方企業がプロ人材を獲得する際のポイントとは何だろう。先に挙げた経営陣による採用へのコミットに加え、多田氏が挙げるのは“ダイレクト・リクルーティング”と“プロ・リクルーターを置くこと”だ。
ダイレクト・リクルーティングとは「応募してきた人材を口説くのではなく、欲しい人材を取りに行く」という、いわば“攻めの採用”。併せて、採用の専門家であるプロ・リクルーターを社内に置くことで、人材データベースや社員紹介プログラムといった多様な採用ツールを効率的に用い、採用を実現できると指摘する。中途採用を戦略的に行うこれらの取り組みは、優れた人材の雇用を目指す国内企業すべてにとって有益に違いない。
地方企業による人材採用の工夫としては、バスツアーを行うケースもあるという。「採用の一次面談のあと、本社を見るだけではなくて、バスで地元の街を案内するんです。これも地方企業のできる“主体的な採用活動”のひとつですね。『住みやすさを感じた』『不便を感じなかった』といった好意的な感想を持つ参加者が、採用に繋がっています」とのことで、より多くの情報を人材側に与えることの有効性が見て取れる。生活環境を実地で確認できる意義は大きい。

 関連する取り組みとしては、同社でも今年9月にガイナーレ鳥取のゼネラルマネージャーを務める元サッカー日本代表の岡野雅行氏を招き「プロ人材として自らが感じた鳥取の可能性」と題した講演を東京本社で実施した。

ビズリーチ主催のイベントで「プロ人材として自らが感じた鳥取の可能性」を語った元サッカー日本代表の岡野雅行氏

■プロ人材が地方企業に求めることとミスマッチの可能性

では、プロ人材の側は地方企業に何を求めているのか? 多田氏によると「知名度や給料という点では絶対に負けるわけですから、いかにやりがいや働きがいを提供できるかが重要です」とのことだ。

「我々が首都圏勤務の方に実施したアンケートでも69%の方が『やりがいがあれば地方転職を前向きに検討する』という回答をされています。小規模企業こそ『こういった経験が積める』『こういったスキルを得ることができる』といったことを伝えられるかが大切ですね」

ビズリーチ取締役の多田洋祐氏。「地方経済の活況なしに日本が抱える課題は解消されない」と語る

プロフェッショナル人材の採用においては、地方や中規模の企業で働くからこそ経験できる要素を、いかにアピールできるかが工夫のしどころになる。また、人材採用においてはミスマッチ問題が取りざたされているが、地方企業とプロ人材のマッチングにおいては「正しく、率直に情報を伝えること」が重要と多田氏は話す。入社前にトップ自らが会社について、良いところも悪いところも率直に伝えることが、やはり一番ということだろう。その上で入社後も、採用した役員や社長が責任を持って伴走することが重要だ。プロ人材を孤立させないために、経営陣はじめ会社が一体となった取り組みが必要に違いない。
《本折浩之/HANJO HANJO編集部》

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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