富裕層経営者は予防が大事!

2019年12月2日
会社経営には最大限の労力を惜しまない経営者でも、自分自身のマネージメントは疎かになっていることがよくあります。金融商品、遺産相続、健康管理・・・。自分で対策をとることに限界がある領域については、外部の専門家に相談してあらかじめ予防することで、大切なものを守るべきです。

 様々な会社のコンサルティングをしていると、経営者の皆さんに共通するあることに思いがいたることがあります。それは気づいているのについついやってしまう「後回し」です。その後回しがやがて、取り返しのつかないことになって大きな後悔を招くのです。

 経営者個人にフォーカスした場合、「金融」「法務税務」「健康」の3分野は、あらかじめ外部に対して予防コストをしっかりと使うべきです(これは会社経営にも合い通じます)。ある程度の情報を理解して、自分自身で予防する方がコストもかからないし良さそうだ、と考えていると、結局は後々、膨大なコストを支払うことになります。後の祭りとはよく言ったもので、外部への予防コストをけちったばかりに、方々に泣きつくケースをしばしば見てきました。

 まず「金融」について考えましょう。

 経営者に対して、保険会社・証券会社・銀行などから様々な商品提案が行われています。皆さん、それら金融商品をきちんと理解して契約していますか? 結局、最後まで損したことがわからないままというケースがどれほど多いことか。(そもそも販売員自身がそのリスクを理解していないことも多いのです。素晴らしい商品だと会社に信じさせられて売っている!)

 例えば、保険会社の節税保険や死亡保険は予定利回り1%以下(契約期間中同じ金額をずっと支払う)です。家族のために預金や金融資産、不動産(不労所得)がすでにあるのに、そんな保険は必要でしょうか? 相続するために必要な相続税分だけを掛け捨てで保険をかければいくら節約できるというのでしょうか?

 金融商品の多くは、市場が成長することを前提にしています。販売手数料を引いて運用している金額は、実際には預けた金額以下なのです。負けからスタートしているようなものです。

 次に「法務税務」を見ていきましょう。

 会社の税金や会社の法律事項については顧問の税理士・弁護士にきちんとみてもらっている経営者でも、個人(自分自身)としての税務や法務は誰にも任せていないことが多く見受けられます。ここで実は大きな損が出ているケースがあります。

 現在では加速度的に契約社会が進んでいます。その弊害として解約できない契約が増えています。特にインターネットまわりの契約にはトラブルがついてまわります。

 税金については今、所得税率だけが狙い撃ちされ増税されています。そこばかりに意識を傾けていると、経営者個人について大きな落とし穴が待ち受けています。会社の節税で安心し、個人で何も対応していないと、倍近い税金を支払うことになりかねないからです。相続税対策予防をしなかったばかりに、いざ相続の際に何億円という相続税を家族が支払わされることもあります。

 最後に「健康」です。

 最低でも一年に一回は健康診断を受診して自己の健康管理をしましょう。経営者自身が長く働けることが家族や会社にとって一番です。健康の予防をおろそかにし、ある日ぽっくり逝ってしまうと、残された人々は非常に悲惨な状況になってしまいます。生活習慣病や重大疾病等になってからではすべてが悪い方向へと進み、大きなコストが発生してしまうのです。

 過度の健康管理も考えものですが、適度に人生を楽しむために専門家の知恵を借りることをおすすめします。

 予防のための外部へのコストをもったいないと思ってはいけません。特に富裕層経営者は、それを避けたばかりに出ていくコストが甚大になることがあります。かけるべきところにはきちんとかけるようにしましょう。

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執筆者: 李 日生 - プレジデントタイム株式会社 代表
慶應義塾大学経済学部卒業後、公認会計士試験合格、監査法人トーマツ国際部に入社・配属。国際企業(商社・通信事業会社・運輸会社等)の連結会計やM&Aを担当、中小企業の経営コンサルティングも数百社経験する。現在はプレジデントタイム株式会社、神宮前アカウンティングファーム株式会社、株式会社H HOLINGS、有限会社ルーベ、神宮前会計を主宰。会計・税務・経営・飲食・不動産等、実際の経営者として代表取締役視点で多岐に及ぶ経験を重ねている(「頭でっかちの机上の空論が大っ嫌い」を自認)。近刊に『忙しい社長を救う経理改革の教科書』(幻冬舎)がある。

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