古民家改修ビジネスはもう古い? これからは古民家を中心に街全体をホテルに変える!

街全体を使った分散型ホテル事業とは?/リフォーム産業フェア

2019年9月17日
古民家を改修したカフェやホテルを多く見かけるようになりました。しかし「単に古民家を改修しただけのビジネス」はもう珍しくありません。これからはリフォームの仕方や活用方法が重要になります。では次の時代の古民家ビジネスのポイントはどこにあるのでしょうか? 
 ライフスタイルの変化やストック住宅の充足により、新築住宅を買うよりも気に入った中古住宅をリノベーションして活用する人が増えています。また、増加する空き家問題や地方移住に対する課題解決の一手として、さらには2018年の民泊新法の施行や旅館業法の改正により、リフォームやリノベーションが注目されています。 

 そんな中、住宅設備や建材、営業支援サービスの展示会「リフォーム産業フェア2019in東京」が2019年7月30日〜31日の期間、東京ビッグサイトにて開催されました。会期中はリフォームに関する設備やサービスの情報を求め、10,000人を超える業界関係者が来場。299社が出展するブースには多くの人で賑わいました。

 今回の記事では7月31日に開催されたセミナー「歴史的建造物を改修してホテルにするビジネスが成功する理由」(講師:他力野淳さん/バリューマネジメント株式会社 代表取締役)より、古民家ビジネス成功のポイントについてレポートします。

バリューマネジメント株式会社代表取締役の他力野淳さん。「単に古民家を改修しただけのビジネスはもう珍しくない」と指摘する

古民家改修ビジネスはもう珍しくない

 ここ数年、古民家を改修したカフェやホテルを多く見かけるようになりました。古民家の持つ温かみや懐かしさを感じる空気が、若い人を中心に人気となっているようです。

 そんな古民家ビジネスに対し「単に古民家を改修しただけのビジネスはもう珍しくない」と指摘するのは、文化財などの伝統建築物の修復運用を手掛けるバリューマネジメント株式会社の他力野淳さん。「これからは古民家を活用してお金を生み出す仕組みを作らなくてはなりません。そのためにはリフォームの仕方や活用方法が重要になります」と他力野さんは強調します。

 それでは古民家リフォームのポイントはどこにあるのでしょうか? 他力野さんは「古いものを今どきのものに作り変えてしまうのは駄目です。まずは建物が建てられた時代を象徴するような、当時の状態に修復し、保存・活用することが必要です」と話します。

 今どきのものに作り変えることにより、短期的な収益は上がるものの、文化的価値が低下してしまうため長い目で見ると損をすることになります。むしろ、時代を超えて建物が必要とされるよう、保存を前提としたリフォームが必要だと他力野さんは説明します。地域が守ってきた建物の良さを感じさせるものでないと意味がないということでしょう。

「古いものを今どきのものに作り変えず、建物が建てられた時代を象徴する当時の状態に修復し、保存・活用することが必要」(他力野さん)

古民家ホテルが旅の目的地になるように

 他力野さんは法が改正された今こそ古民家ビジネスのチャンスと見ています。「旅館業法、建築基準法、文化財保護法が改正され、古い建物を利用できるようになりました。合法的に国がバックアップする体制ができているということです。ただし、条例が変わっていないことも多いので、各自治体と調整しながら進める必要があるでしょう」

 ところで古民家ビジネスを手掛ける際、ホテルとその他の事業のどちらが良いのでしょうか? 他力野さんは今の観光消費は着地型観光であるため、旅の目的となるような集客力の高いホテルを作ることが必要だと話します。

 「団体旅行が中心だった昭和時代は、観光名所に人が集まり、その周りに宿が作られました。集客をしているのは観光名所であり、宿が集客をする必要はなかったのです。これは観光名所の力が無くなると宿が潰れることを意味しています。成功のポイントは観光名所に頼るのではなく、宿そのものが目的地となることです」

 また、古民家を高級ホテルにするかリーズナブルな宿にするかも悩みどころの一つです。他力野さんは「地域の付加価値を発信することで、情報感度の高い、価値を理解できる顧客層、つまり世界中の良いものを知っている、目の肥えた富裕層に届きます。彼らをターゲットにした高級路線が良いでしょう」と話し、「富裕層がターゲットになれば地域に雇用を生み出すことも可能です」と続けました。

古民家を高級ホテルにするか? リーズナブルな宿にするか? 「目の肥えた富裕層をターゲットにした高級路線が良いでしょう」(他力野さん)

古民家単体ではなく街全体をホテルにする

 さらに他力野さんは、古民家単体を施設として使うのではなく、街全体に広がる分散型ホテルを提供しています。「収益性は面積に比例するので、小さな古民家一軒では収益が期待できません。それよりも古民家を10棟集め、街全体をホテルにすれば、街を守りつつ収益を上げることができます」

 街全体をホテルの変えるのは容易なことではありませんが、他力野さんは「古民家を改修してホテルにしても、ただ単に知らない家に泊まることができるだけです。それよりも官民一体となって街の開発を行い、街をコンテンツ化する方が重要です。この街にはどんな文化的背景があって、行ったらどんなことができるのか。街づくりの観点でニーズを作ってからリフォームをすると上手くいきます」と話します。ニーズさえ生まれれば、リフォーム案件は大量に出てくるそうです。

 最後に他力野さんは「日本の持つ資産、特に地方にある古い建物が価値のある状態で残り続けることが重要です。また、地方には旅の目的となる高級宿泊施設が必要です。分散型ホテルで街並みを保存しつつ収益を上げることが、観光まちづくりにつながるのではないでしょうか」と締めくくりました。

 単に古い建物がもてはやされる時代は終わろうとしています。これからは街全体を視野に入れ、街そのものを商品とする古民家ビジネスの時代へと移りつつあると言えそうです。

住宅設備や建材、営業支援サービスの展示会「リフォーム産業フェア2019in東京」(2019年7月30日〜31日、東京ビッグサイト)。会期中はリフォームに関する設備やサービスの情報を求め、10,000人を超える業界関係者が来場した

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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