これからの民泊はどう変わる? 儲かる? 経営目線の疑問に答える!

市場は拡大している? 空き家問題との関連は? 近隣トラブルをどう解決する?/リフォーム産業フェア

2019年9月4日
一般住宅の一部または全部を旅行者に貸す民泊。日本でもインバウンド増加に伴い注目され、認知率も9割を超えるようになりました。また、2018年には民泊新法の施行や旅館業法の改正で民泊参入へのハードルが下がり、今後のビジネスへの展望が議論される場面が増えています。そんな民泊の疑問や将来性について、Airbnbら業界を代表する面々が経営目線で答えます。
 ライフスタイルの変化やストック住宅の充足により、新築住宅を買うよりも気に入った中古住宅をリノベーションして活用する人が増えています。また、増加する空き家問題や地方移住に対する課題解決の一手として、さらには2018年の民泊新法の施行や旅館業法の改正により、リフォームやリノベーションが注目されています。 

 そんな中、住宅設備や建材、営業支援サービスの展示会「リフォーム産業フェア2019in東京」が2019年7月30日〜31日の期間、東京ビッグサイトにて開催されました。会期中はリフォームに関する設備やサービスの情報を求め、10,000人を超える業界関係者が来場。299社が出展するブースには多くの人で賑わいました。

 今回の記事では7月31日に開催されたセミナー「Airbnb(民泊)×リノベーション、住宅のポテンシャルと改修ニーズについて」(講師:森厚雄さん/Airbnb Japan株式会社 ホームシェアリング事業統括本部 本部長、澤畑勝章さん/株式会社エアトリステイ 取締役、鎌田友和さん/株式会社和久環組 代表取締役)より、民泊とリノベーションの実情や将来性についてレポートします。

(左より)株式会社エアトリステイ取締役の澤畑勝章さん、株式会社和久環組代表取締役の鎌田友和さん、Airbnb Japan株式会社ホームシェアリング事業統括本部長の森厚雄さん

地方創生や空き家問題にアプローチ可能な民泊

 一般住宅の一部または全部を旅行者に貸す民泊。日本でもインバウンド増加に伴い注目され、認知率も9割を超えるようになりました。また、2018年には民泊新法の施行や旅館業法の改正で民泊参入へのハードルが下がり、今後のビジネスへの展望が議論される場面が増えています。

 そんな民泊の疑問や将来性について、Airbnb Japan株式会社の森厚雄さん、株式会社エアトリステイの澤畑勝章さん、株式会社和久環組の鎌田友和さんの3名が解説を行いました。

 まず民泊プラットフォームを展開するAirbnb Japanの森さんは「現在Airbnbのプラットフォームは世界191ヵ国に展開し、創業以来ののべ利用者数は5億人、ホストの収入累計は6兆5000億円にもなります」と話し、日本国内でも市場が右肩上がりで拡大していると付け加えました。

 宿泊事業をサポートするエアトリステイの澤畑さんは民泊について「地方創生や空き家問題にアプローチできればと思います。ただし、民泊は手続きや設備の準備、運用に煩わしい部分が多いので、当社ではそれをワンストップで提供できるサービスを提供いたします」と説明。

 中古住宅の購入とリノベーションを手掛ける和久環組の鎌田さんは「民泊新法では、年間で最大180日間しか民泊営業をすることができません。残りの185日をモデルルームやマンスリーマンションとして使えるようにする工夫が必要です」と話しました。

今後のビジネスへの伸長が期待される民泊。認知率は9割を超えるようになったが、利用経験は低い水準にとどまる。この数字をマイナスにとらえるのではなく、今後の伸びしろと考えたい

民泊に対する不安をなくすサービスが必要

 ところで民泊と聞くと、見ず知らずの人を家に泊めることに不安を感じる人が少なからずいるのではないでしょうか? この不安に対し森さんは「民泊の場合、ホストもゲストも公的な書類の登録が必要です。Airbnbの登録物件は全て合法ですし、お互いの評価が全て公開されるようになっています。このような不安を感じない仕組みを作り、さらに強化し続けることが必要です」と説明しました。

 また澤畑さんは「民泊にはトラブルが全くないというわけではありません。中には騒いだりする人もいますが、Airbnbでは個人が特定されていますし、相互レビューがあるので基本的には行儀の良いゲストが多いのが実情です。もちろん、体制を整備し、本人確認によるセキュリティの強化等は今後も必要になるでしょう」と、民泊に対する不安について解説をしました。

 民泊には多くの不安が付きまといますが、民泊プラットフォームや宿泊事業支援サービスを上手く利用することにより、ある程度の不安は解消できると言えそうです。

民泊でよく問題に上がるのが地域住民とのトラブルだが、SNSの活用で改善している。民泊プラットフォームや宿泊事業支援サービスにより経営者の不安は解消される方向に

実際のところ民泊は儲かるのか?

 市場が拡大していると言われる民泊ですが、今後はどうなるのでしょうか? 森さんは民泊の今後について「インバウンドが増えているので、民泊市場はまだ伸びるでしょう。近年インバウンドは都市部から地方へと流れており、この動きはしばらく続きそうです。また、シドニーやロンドンなどオリンピック開催地では民泊が伸びる傾向にあります。実際にやってみないと分からない部分はありますが、東京オリンピック後も伸びることが期待できます。さらに、2025年に万博開催を予定している大阪や、2030年冬季オリンピック誘致を進めている札幌なども期待できるでしょう」と解説しました。

 また、澤畑さんは「民泊物件は駅や観光地、空港からどれくらい近いかという見せ方が重要になってきます。上手に運用できれば賃貸物件の3~4倍の収支物件にすることも可能です。ただし、これは物件ごとの運営で大きく変わるので注意が必要です。今後は部屋の広さを理由にビジネスホテルに泊まれない海外ファミリー層向けに、3~5人で泊まれるラグジュアリーな物件も良いかもしれません」と民泊の可能性について話しました。

 その他、民泊物件の内装は和風が良いとは限らない、特に欧米系のインバウンドは長期滞在者が多いので、それに合わせた家具を用意すると喜ばれる、改装費は最低2~30万円必要など現場のリアルな話が交わされました。

 インバウンド増加や東京オリンピックを控え、市場が拡大し続けている民泊。今後の地方創生や空き家問題の解消にも有力な一手となりそうです。

住宅設備や建材、営業支援サービスの展示会「リフォーム産業フェア2019in東京」(2019年7月30日〜31日、東京ビッグサイト)。会期中はリフォームに関する設備やサービスの情報を求め、10,000人を超える業界関係者が来場した

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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