インバウンド、次の一手は「フードダイバーシティ(食の多様性)」

ハラル、ベジタリアン、ヴィーガン、グルテンフリー・・・食の禁忌に注目!/P&B Japan

2019年8月15日
訪日外国人の増加とともに顕在化しているのが、ハラル(ハラール)やベジタリアン、ヴィーガン、グルテンフリーなど、個人の宗教や主義、アレルギーなどによる食の禁忌の問題です。この食の禁忌を認める「フードダイバーシティ(食の多様性)」には多くのビジネスチャンスが埋もれています。
 今、パンがブームです。高級食パンに行列ができたり、カフェチェーンがパン専門店を出店したりするだけでなく、各地でパンのイベントも開催されたりしています。パンの人気は衰える様子をみせません。そんな中、製パン・製菓の素材や設備の展示会「P&B Japan」が2019年7月22日〜24日の期間、東京ビッグサイトにて開催されました。会期中はパン作りに必要な素材や設備の情報を求め、24,000人以上の業界関係者が来場。また、パンを中心とした食をテーマに各種セミナーが開催され、最新の知見に触れようと多くの聴講者で賑わいました。

 本日の記事では7月22日に開催されたセミナー「「フードダイバーシティ」(食の多様性)はビジネスチャンス!」(講師:千葉哲幸さん/フードフォーラム代表)より、食の多様性に対応することの重要性についてレポートします。

食の禁忌を認める「フードダイバーシティ(食の多様性)」には多くのビジネスチャンスが埋もれていると強調する千葉哲幸さん。千葉さんは『月刊食堂』『飲食店経営』の元編集長

今こそハラルフードに注目すべき理由

 年々増えている訪日外国人(インバウンド)、その数は2018年に3000万人を超え、2020年の目標である4000万人に向けて、官民あげて様々な取り組みが行われています。

 訪日外国人の増加とともに顕在化しているのが、ハラールやベジタリアン、ヴィーガン、グルテンフリーなど、個人の宗教や主義、アレルギーなどによる食の禁忌の問題です。

 この食の禁忌を認める「フードダイバーシティ(食の多様性)」には多くのビジネスチャンスが埋もれていると強調するのは今回のセミナー講師である千葉哲幸さん。千葉さんは長年に渡るフードサービス業界の記者経験から、フードサービス業界の歴史や動向に対する深い造詣の持ち主です。

 例えばこの数年で急増しているムスリム訪日客に注目すると、イスラム教徒は全世界に16億人(2010年時点)おり、その多くがインドネシアを始めとする東南アジア圏に集中しています。東南アジアには今後の成長性が見込まれる国が多くありますから、彼らをインバウンドとして受け入れることは大きなビジネスチャンスになる可能性があります。

 ムスリム訪日客を受け入れるためには、ハラルフードの問題を解決しなくてはなりません。千葉さんは「宗教やアレルギー、主義、ライフスタイルなどによる食の禁忌を認めて対応する、つまりフードダイバーシティこそが日本のグローバル化につながります。」と話します。

この数年で急増しているムスリム訪日客。ハラルフードの問題を解決すれば、大きなビジネスチャンスになる可能性がある

食の禁忌はオーガニックに次ぐ市場になる

 食の禁忌はハラールフードだけではありません。千葉さんによると、1000人クラスの国際会議が開催される場合、ベジタリアンやハラール、グルテンフリーなど食に対して禁忌を持つ人を合計すると全体の40%以上にも達するそうです。

 「40%という数字は、食に対して何も気にすることがない人と同じ数だけ、食に対して何かを気にしなくてはならない人が存在していることを意味します。その人たちに基軸を置くことで、飲食業の売上倍増が期待できるかもしれません。食の禁忌、フリーフロムはオーガニックに次ぐ市場となる可能性があります」

 近年では日本のチェーンレストランでも、タブレットなどを使って料理に含まれるアレルゲンを表示するなど、単に料理を提供できないというだけでなく、いろいろな事情を持つ人が同じテーブルで食事することができるよう工夫しています。フードダイバーシティはこの考え方の先にあるのかもしれません。

ベジタリアンやハラール、グルテンフリーなど食に対して禁忌を持つ人を合計すると全体の40%以上にも達する。「その人たちに基軸を置くことで、飲食業の売上倍増が期待できるかもしれません」(千葉さん)

ベジタリアンを中心に考えると上手くいく

 それでは、フードダイバーシティを考える場合、どこから手を付ければ良いのでしょうか? 千葉さんは「まずベジタリアンありきで考えると上手くいきやすくなります」と話します。

 つまり、ベジタリアンを基本とし、そこに食材を足したり引いたりすることによってフードダイバーシティを実現しやすくなるということです。例えば、ハラールであればベジタリアンにハラル肉と魚介類を足し、アルコール成分を使った調味料を引く、ビーガンであればベジタリアンから乳製品や動物由来成分の入るものを引くといった具合です。

 インバウンドに限らず、食に対してさまざまな事情を持つ人が増えている今、フードダイバーシティを実現することは飲食業界にとって大きなビジネスチャンスだと言えるでしょう。

しかし、チャンスをものにするためには、多様化する食の禁忌を正しく理解し、適切な食の選択肢を増やしていくことが大きなポイントになりそうです。

製パン・製菓の素材や設備の展示会「P&B Japan」(2019年7月22日〜24日)。会期中はパン作りに必要な素材や設備の情報を求め、約24,000人の業界関係者が来場した

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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