ワークライフバランスの第一歩は、自分の成長と人を活かすこと!

家族とは何か、仕事とは何か/総務・人事・経理ワールド

2019年7月22日
「働き方改革」「ワークライフバランス」という言葉が広まってずいぶんと経ちますが、育休などのあり方についてはまだ十分な対策がなされているとは言えません。佐々木常夫さんは、自閉症の長男と肝臓病とうつ病で43回の入院と3回の自殺未遂を起こした妻の世話をしながら、株式会社東レの取締役に同期トップで就任した経歴の持ち主で、現在は書籍の執筆や講演などにも活躍しています。ハードな仕事をこなしつつも、家族との時間を確保できたワークライフバランスの秘訣とは一体どのようなものだったのでしょうか?
 2019年4月より順次施行された働き方改革関連法、IT技術の進歩によるセキュリティ対策、地震や水害などの防災対策、人手不足時代の採用など、企業が対処すべき課題は年々増えています。

 そんな課題解決のための製品やサービスが集結する「総務・人事・経理ワールド」が2019年5月29日〜31日の期間、東京ビッグサイトにて開催されました。

 今回の総務・人事・経理ワールドは、「働き方改革EXPO」「HR EXPO」「福利厚生EXPO」「オフィスサービスEXPO」「オフィス防災EXPO」「オフィスセキュリティEXPO」「省エネ・節電EXPO」の8つの展示会で構成され、800社の企業が出展のために集結しました。また、さまざまな課題に対して深い知見を持つ第一人者によって、さまざまなセミナーが開催され、最新情報を得ようと多くの人が聴講に訪れました。

 今日の記事では5月30日に開催されたセミナー「家族とは何か、仕事とは何かを問いながら ワークライフバランスを実現した仕事術を説く」(講師:佐々木常夫さん/株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ 代表取締役)より、仕事と家族の考え方やワークライフバランスを実現する仕事術についてレポートします。

『そうか、君は課長になったのか。』など、ビジネスパーソンの働き方について多くの著作をもつ佐々木常夫さん(株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ 代表取締役)

家族のために自分の時間を確保する

 「働き方改革」「ワークライフバランス」という言葉が広まってずいぶんと経ちますが、育休などのあり方についてはまだ十分な対策がなされているとは言えません。

 今回のセミナー講師である佐々木さんは、自閉症の長男と肝臓病とうつ病で43回の入院と3回の自殺未遂を起こした妻の世話をしながら、株式会社東レの取締役に同期トップで就任した経歴の持ち主で、現在は書籍の執筆や講演などにも活躍しています。ハードな仕事をこなしつつも、家族との時間を確保できたワークライフバランスの秘訣とは一体どのようなものだったのでしょうか?

 「自分の家族のために、まずは自分の時間を確保することを優先しました。毎日18時には退社すると決め、部下よりも早く出社し、『仕事の進め方の基本10ヶ条』を習慣とすることで日々成長を続けることを心がけました」

 「仕事の進め方の基本10ヶ条」とは、計画主義や効率主義、自己研鑽などの心得についてまとめたもので、これらの良い習慣を持つ人は才能のある人に勝ると佐々木さんは話します。

 また、佐々木さんは「タイムマネジメントも重要です。タイムマネジメントというと時間管理というイメージがありますが、実際は仕事管理を意味します。仕事において最も大事なことは何かをつかみ、重要度に合わせて段取りを決める戦略的計画の立案が重要です。きちんと計画を立てれば仕事にかかる労力が半分で済むこともあります」と説明しました。

「自分の家族のために自分の時間を確保することを優先しました。毎日18時には退社すると決め、部下よりも早く出社し、『仕事の進め方の基本10ヶ条』を習慣とすることで日々成長を続けることを心がけました」(佐々木さん)

長時間労働はプロ意識が欠如している証拠

 効率よく仕事を進めるために、佐々木さんは「プアなイノベーションより優れたイミテーション」という言葉を使いました。会社の仕事は基本的に同じことの繰り返しですから、下手にオリジナルの方法を編み出すよりも、周囲にいる優れた人のやり方を真似る方が速く仕事をマスターすることができるという意味です。

 また、「長時間労働はプロ意識、想像力、羞恥心が欠如しているということを認識しなくてはなりません」と佐々木さんは強調します。

 「プロ意識」とは限られた時間で結果を出すこと、「想像力」とは長時間労働を続けたらどうなるかということ、「羞恥心」とは結果を出していないのに残業代を請求することです。自分と家族の時間を確保するためには、このことを常に認識することが必要でしょう。

 「自分が何者か、どう働きたいのか、決意と覚悟を持つことが重要です。働き方は生き方につながりますから、節目節目で自問しても良いでしょう。私は40歳から毎年正月に自分と向き合い、A4用紙1枚にその年の業務方針をまとめて部下と共有しました。自分の言葉を人に伝えると責任が生まれます。これを毎年やれば確実に成長できます」

 講演中、佐々木さんは「成長」という言葉を何度も口にしました。ワークライフバランスの第一歩は、各個人が成長することにありそうです。

「プロ意識」は限られた時間で結果を出すこと、「想像力」は長時間労働を続けたらどうなるかということ、「羞恥心」とは結果を出していないのに残業代を請求すること

自分の運命を引き受けよう

 佐々木さんはデジタル社会への対応についても言及しました。

 「デジタルは処理スピードが速く、分析や検索が得意、個別に対応できるなど、人間の努力だけではできないことができるのが特徴です。デジタル化は働き方も大きく変えるでしょう」

 例えばテレワークやWeb会議などは、働き方改革の一手として注目されています。これらの技術に対応できる人材を確保・育成し、社員のデジタルリテラシーを高めることは、働き方改革に必須であると佐々木さんは話します。

 また、佐々木さんはリーダーのマネジメントについても「部下と信頼関係を築き、なんでも話し合える関係になることが求められます。自分に与えられたミッションを遂行し、部下を育てるのがリーダーの目的ですから、無理にリーダーらしく振る舞う必要はありません。むしろ、自然体で自分はどんな人間なのかをさらけ出す方がうまくいきます」と説明しました。

 最後に佐々木さんは「人はだれでも変わることができます。私の母は、常々『運命を引き受けよう』と話していました。自分に与えられた運命を引き受け、その中で頑張る。頑張っても結果が出ないかもしれませんが、頑張らなければ何も始まりません」と締めくくりました。

 働き方改革、ワークライフバランスはまだまだ課題が多く、簡単に実現することができません。会社全体で変えることはできなくても、部署レベルであれば努力次第で変わる可能性があります。まずは各個人ができる範囲内で働き方を変えてみれば、徐々にその考え方が広まっていくかもしれません。

働き方改革関連法、IT技術の進歩によるセキュリティ対策、地震や水害などの防災対策、人手不足時代の採用・・・企業が対処すべき課題解決のための製品やサービスが集結する「総務・人事・経理ワールド」。2019年5月29日〜31日の期間、東京ビッグサイトにて開催された

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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