外国人の「採用」と「定着」は別問題。 長く働いてもらうために今するべきことは?

外国人採用で押さえるべきポイント/総務・人事・経理ワールド

2019年6月28日
2019年4月には入管法が改正され、新たに特定技能が設けられました。在留資格の緩和により、今後も外国人労働者が大幅に増えることが見込まれます。どの企業でも外国人の採用の門戸は広がるはずです。ただし、定着するかは別問題です。
 2019年4月より順次施行されている働き方改革関連法、IT技術の進歩によるセキュリティ対策、地震や水害などの防災対策、人手不足時代の採用など、企業が対処すべき課題は年々増えています。

 そんな課題解決のための製品やサービスが集結する「総務・人事・経理ワールド」が2019年5月29日〜31日の期間、東京ビッグサイトにて開催されました。

 今回の総務・人事・経理ワールドは、「働き方改革EXPO」「HR EXPO」「福利厚生EXPO」「オフィスサービスEXPO」「オフィス防災EXPO」「オフィスセキュリティEXPO」「省エネ・節電EXPO」の8つの展示会で構成され、800社の企業が出展のために集結しました。また、さまざまな課題に対して深い知見を持つ第一人者によって、さまざまなセミナーが開催され、最新情報を得ようと多くの人が聴講に訪れました。

 今回の記事では5月29日に開催されたセミナー「外国人採用で押さえるべきポイント ~体制整備、キャリア、異文化コミュニケーション~」(講師:久保田 学さん/一般社団法人 留学生支援ネットワーク 事務局長)より、今後の採用戦略において重要となる外国人採用のポイントついてレポートします。

一般社団法人留学生支援ネットワーク事務局長の久保田学さん。「東京オリンピックを見据えて企業が人材確保に乗り出している」と語る

日本における外国人採用の現状

 日本において年々増加している外国人労働者。その数は2018年10月時点で約140万人、日本の労働力人口の50人に1人は外国人という計算になります。その背景にあるのは日本の労働力不足です。

 近年ではシニアや女性の採用を積極的に行っている企業が増えていますが、それでも労働力が足りないため、海外労働者の受け入れが増加していると一般社団法人留学生支援ネットワークの久保田さんは説明します。

 「2019年4月には入管法が改正され、新たに特定技能が設けられました。また、在留資格の緩和により、今後も外国人労働者が大幅に増えることが見込まれます。外国人労働者が増えますから、どの企業でも外国人の採用は可能でしょう。ただし、定着するかは別問題です」

 留学生については、2017年度に約2万2000人が日本の企業に就職しています。就職先については従業員数100人以下の中小企業が半数を占めていますが、この割合は年々減少しており、中小企業が留学生を採用することが難しくなっている傾向にあると言えるでしょう。

 また、就職目的で日本に訪れる外国人数は約3万人(2017年度)。特にIT業界がインドなどから優秀な人材を確保する傾向が強く見られるそうです。

 「最近では飲食や小売、宿泊向けの採用支援活動が多くなってきています。また、観光業も増加傾向にあり、東京オリンピックを見据えて企業が人材確保に乗り出していることが見受けられます」

外国人労働者の定着をどう考えるかがポイント

「外国人は会社には帰属しませんが、人間関係には帰属します。定着させるには日々コミュニケーションをとり、良好な関係を築くことが重要です」(久保田さん)

 それでは外国人の不満を解消し、定着させるためには具体的にどうすればよいのでしょうか? 

 「まずは外国人雇用のための体制を整備します。実は整備すべきことはそれほど多くありません。日本の雇用システムやルールを丁寧に説明することです。雇用契約書や就業規則のほか、始業10分前には出社するといった暗黙ルールも説明する必要があります。また、税金等の天引きについても企業側がしっかりと説明しなくてはなりません」

 また、キャリアについて久保田さんは「体制をいきなり大きく変更するのは難しいですから、現状の微修正から始めるのがよいでしょう。ただし、配属や評価、昇進、異動などについては丁寧に説明しなくてはなりません。また、給与やポジションだけでなく、スキルや知識の成長を気にする外国人も多いので、具体的に明示する必要があります」と説明しました。

 さらに外国人の定着についても久保田さんは言及します。

 「外国人はいずれ母国に帰る可能性がありますから、ずっと日本で働くという認識を改めなくてはなりません。何年働いたら定着と考えるか、あるいは目的や役割に合わせ何年いて欲しいかを明確にするとよいでしょう。また、帰国後の現地法人でのキャリアや、起業した際にパートナーとして関係を保つこともある種の定着と考えるのも一つの方法です。外国人は会社には帰属しませんが、人間関係には帰属します。定着させるには日々コミュニケーションをとり、良好な関係を築くことが重要です」

 最後に久保田さんは「採用に関してだけ言えば、今ならどんな企業でも外国人を採用することができます。ただし、定着するとは限りません。いかに早く定着の仕組みを作れるか、ロールモデルを作れるかがポイントとなるでしょう。外国人についてどう考えるかという時代になっていることを認識してください」と締めくくりました。

 人手不足という課題を抱える企業にとって、外国人の採用は当たり前となる時代になりつつあります。変化を恐れず体制を整え、グローバルな視点でものを見ることこそが、企業が成長していくために必要なものだと言えそうです。

働き方改革関連法、IT技術の進歩によるセキュリティ対策、地震や水害などの防災対策、人手不足時代の採用・・・企業が対処すべき課題解決のための製品やサービスが集結する「総務・人事・経理ワールド」。2019年5月29日〜31日の期間、東京ビッグサイトにて開催された

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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