株式会社シンカができるまで Vol.2 ~ベンチャーはこうして世に羽ばたく~

あの時、あの出会いがなければ、クラウドCTIは生まれなかった

2019年6月14日
株式会社シンカ・江尻高宏さんのコラム、シリーズとして会社創業時から現在にいたる汗と涙の道のりを振り返ります。何が成功を導いてくれたのか? 何が足りなかったのか? どんな出会いがあったのか? どんな発想で切り抜けたのか?・・・ベンチャー企業創業者だからこそ語ることのできるリアルストーリーです。
 こんにちは。クラウドCTI「おもてなし電話」の江尻です。

 私たちが提供しているサービス「おもてなし電話」とは、主にコールセンターで利用されているシステムのCTIを、クラウド型で提供しているものです。

 CTIとは、Computer Telephony Integrationの略で、コンピュータと電話を統合させたサービスという意味です。電話の着信時に発信者の情報(名前や住所、商品の購入履歴など)をパソコン画面に表示させるため、電話の効率化や対応ミスが減ることから、コールセンターでの導入が一気に進みました。

 CTIをクラウド化することにより、パソコンだけでなくiPadやiPhoneでも利用でき、価格もぐっと下げたことで気軽に導入できるようになり、おかげさまで「おもてなし電話」の導入数は1700拠点を越えました。

 このクラウドCTI「おもてなし電話」ですが、多く方に「いつ思いついたのですか?」「何がきっかけですか?」と質問されます。

 今回はそのサービスを思いついた直接的な“きっかけ”ではなく、きっかけにつながることになる“出来事”をお伝えします。

 ちょっとややこしいのですが、どうしてもこの時期に、このことをお伝えしたいと思いまして、この内容にさせてもらいました。

 話は大学卒業後に入社した会社の配属にまでさかのぼります。

 入社した会社はSIerで、第一志望の会社でした。内定をもらった時は飛び上がるほどうれしかったですし、入社前は“一般企業向けの基幹システムを作りたい”という希望で胸を躍らせていたものです。しかし、現実はそう簡単ではなく、配属された部署が希望とは全く違う金融業向けの部署でした。同期入社は120名ほどいましたが、希望通りの部署に配属されなかったのは少なかったと記憶しています。こういうことはさらに続くもので、部署配属後のチーム決定では、希望していた業務チームではなく、何とインフラチームに配属されました。その部署に配属された同期が15名いて、インフラチームに配属されたのはたった1名です。その1名が見事に私ということで、これには大変ショックを受けました。「こんな仕事をやるためにこの会社に入ったのではない!」と、若いながらにして腐りかけていました。今思えば情けなく、恥ずかしいことですが(苦笑)・・・。

 しかし、ここで運命的な出会いがあります。
 それがCTIとの出会いです。

 金融系コールセンターのシステム構築プロジェクトのメンバーに選ばれ、CTI構築の経験ができ、CTIの効果や魅力を知ることができました。システム構築がむちゃくちゃ面白いと感じ、無我夢中で仕事をしていたものです。CTIでビジネスをやろうと思ったのはもっともっと後の出来事ですが、間違いなく、この時にCTIに出会っていなければ、今のサービスを思いつくことはなかったでしょう。

 当時は全く希望していない部署で、希望していないチームへの配属でしたが、そこで出会ったサービスで今では起業し、ビジネスを行っています。面白いですね。しかも、そこで出会った上司や後輩などの仲間にいろいろビジネスのアドバイスや支援をしてもらいました。だからこそ、今の株式会社シンカがあり、今のサービスが世の中でリリースされていることは間違いありません。

 私の前職の船井総合研究所の創業者・船井幸雄は、「天職発想」という言葉を使っていました。「今、自分が所属し、担当している仕事や業務は、まさに自分にとっての天職である。そのように信じて、目の前の仕事を全力で行いなさい」と伝えていました。

 本当にその通りだと思います。

 今まさに新入社員の方は、部署やチームに配属され、数週間がたったところでしょうか。そこでの経験は間違いなく将来の自分に返ってきます。ただし、どのように返ってくるかは、今自分が目の前の仕事にどのような姿勢で取り組んでいるのかで決まります。ぜひ、天職発想で、全力で、楽しんで、仕事に取り組んでもらえたらと思います。

 それがいずれ、起業のきっかけになるかもしれません!

 今回も最後までコラムをご覧いただき、誠にありがとうございました。

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執筆者: 江尻高宏 - 株式会社シンカ代表取締役社長
関西大学大学院工学研究科修了後、株式会社日本総合研究所に入社。金融系の情報システム開発に従事し、広範囲の開発プロジェクトに参画、チームリーダやプロジェクトマネジャーを経験。その後、株式会社船井総合研究所に入社。営業、マーケティング、商品戦略を中心に、中小IT企業向けのコンサルティングに注力。特にクラウドビジネス分野に強く年間約20本の講演を担当。2014年1月に株式会社シンカを設立。「おもてなし電話」をはじめ、クラウドサービスを中心にITを世界に広めることに注力している。

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