【外国人材特集】会社の危機も外国人と一丸で乗り切る!

外国人スタッフとWinWinな関係をつくったら業績が上向きになりました〜共同食品工業株式会社(広島県/水産加工業)〜

2019年6月13日
全国のコンビニエンスストアなどでおなじみのお菓子を製造販売する食品加工メーカーの共同食品工業(株)。将来、海外進出を含めた事業拡大を検討するにあたって、外国人と共に仕事をする環境がどういうものか? を検証するために、外国人技能実習生を受け入れ始めました。以前、工場で発生したボヤで一部の生産ラインが止まった時は、外国人スタッフもいっしょになって苦境を乗り切ってくれました。
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社名 共同食品工業株式会社(広島県)
業種 水産加工業
従業員数 140人
受入外国人実習生数 20人(中国17人、ミャンマー3人)
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 全国のコンビニエンスストアなどでおなじみのお菓子「カライーカ」。ピリッと辛い中にも海の風味が香るこのスナックを生産しているのが、広島県呉市にある共同食品工業株式会社。ほかにもさまざまな水産加工品を製造している3つの工場では、20人の技能実習生が働いています。いまは中国人が17人と、ミャンマー人が3人在籍しています。
  • 主力商品①「カラーイカ」
  • 主力商品②「いかの姿フライ」
  • せとうちDMOによる瀬戸内ブランド認定商品「牡蠣フライせんべい」

「主に製造ラインに関わる職種を担当してもらっています」

 そう説明するのは同社会長の本田誠さん。将来、海外進出を含めた事業拡大を検討するにあたって、外国人と共に仕事をする環境がどういうものか?を検証するために、13年前から外国人技能実習生を受け入れている。

 「はじめに雇った中国の女性たちは性格も良く、本当にしっかり働いてくれたんです。社員や近所の人たちにもかわいがられて、彼女たちが帰国するときにはみんな泣いたものです」

 社内では外国人の受け入れに慎重な意見もあったそうです。もし商品へのクレームが増えて、会社の信頼を損ねてしまったらどうするのか。

 「もちろん心配もありましたが、実際に働いてもらうと実にまじめなんですね。それに日本人よりも、言われたことはきっちりと守る律儀な性分。結果としてクレーム件数は減ったんです。商品の評判はむしろ良くなりました」

 7年前には工場でぼやが発生し、一部が稼動できない状態になってしまったことも。
「それでも以前と同様の生産量を確保しなくてはならない。あのときも実習生たちがかんばってくれたおかげで乗り切れたんです」

 社内にいる外国人は実習生だけではありません。派遣のスタッフであるブラジル人、それに日本人と結婚し配偶者として就労資格のあるフィリピン人なども、同じ職場で働いています。だから日本人の従業員も国際的な環境に慣れていて、「差別もなく働きやすい」と外国人スタッフにもよく言われるのだとか。
  • 共同食品工業(株)本田 修一社長
  • 本社工場(広島県呉市川尻町)

外国人材とWinWinな関係をつくり、業績は上向きに

 実習生たちは会社が建てた寮で暮らし、そこからバスで工場へと勤務する毎日を送っています。生活する上でのトラブルはあまりなく「なかなか掃除をしないので注意をしたこともありますが、最近はきれいにしていますね」(本田さん)といいます。日本語の能力や、コミュニケーションにもとくに問題はないそうです。親睦を深めるためにも年に2回、バーベキューパーティーを開いて遠い国から来た外国人を慰労しています。

若手社員と外国人スタッフで参加した地域のスポーツイベント

今後はミャンマー人の外国人材に注目

 4月の制度改正を機に、ミャンマー人の外国人材に注目しています。敬虔な仏教国で目上の人を大事にする国民性、穏やかで親しみやすい性格、それに手先が器用なので工場内ではさまざまな仕事を任せられるのだとか。今後はミャンマー人を中心に外国人材を増やしていく方針です。

 「仕事が多いときに10あるとして、いつも10の日本人社員を雇っていたら、赤字になってしまう。いつも10の仕事があるわけじゃないですからね。それは多くの中小企業の現実ではないでしょうか。そこで、外国人材を採用して、社員の数を9に減らしてみる。すると、仕事の量が8~9ならなんとか人件費はペイできる。そしてもし、仕事が10となり忙しくなったら、彼らが残業して補ってくれる。いまどきの日本人は残業をしません。でも外国人は稼げるチャンスですから、喜んで働いてくれる。お互いにWinWinな関係をつくれるのです」

 共同食品工業では、協同組合と二人三脚で外国人材を受け入れた職場環境を整えてきた結果、業績も向上してきたという。人材獲得は常に中小企業のテーマ。そんな経営者へのヒントになるのではないでしょうか。
共同食品工業(株)をサポートする監理会社

「外国人実習生を受け入れたいと相談を受けてから実際に働きだすまで、およそ半年でしょうか」と語るのは広島広域事業協同組合の中村さん。ベトナム、中国、ミャンマー側の送り出し機関と連携し、共同食品工業(株)、(有)武蔵サービスをはじめ外国人材の受け入れを考えている広島県内の中小企業との間を取り持っています。 実習生たちが来日してからは、生活習慣の研修を行ない、また警察署での交通安全講習、消防署では防災訓練、さらに行政書士による人権問題の講座も受講してもらうのだとか。研修生を受け入れるほう、研修するほうどちらも働きやすいように配慮しています。組合の中でも、外国人たちの生活サポートをするために、ミャンマー人、中国人のスタッフを雇用しています。 「なにか困ったことがあれば、職場まで出向いて通訳やフォローをします。特に寄せられるのは工場などの現場での安全管理でしょうか。とにかく無事に働いてほしいのですが、そのために必要な、専門的な日本語や注意事項を教えることが多いですね」。外国人を雇うことに不安を感じる企業もあります。そんなとき中村さんは、「まず一度、現地を見てみませんか」と声をかけています。 「現地の送り出し機関が運営する学校を視察するのです。実習生の候補たちが、どんな場所でどう学んでいるのか。そこで実際に面接をして、人柄や雰囲気でまず採用を決めてから、日本語の勉強をはじめます。3か月の授業が終わったらビザなどの手続きを行い、日本での研修を経て配属という流れになります」。それまで半年はかかります。外国人材を検討している企業は、組合に視察の相談をしてみてはどうでしょうか。

取材/執筆:室橋裕和
監修:一般社団法人 国際連携推進協会(PIRA)

注)一般社団法人 国際連携協会の管理する問合わせフォームに移動します

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執筆者: 室橋 裕和 - 監修:一般社団法人 国際連携推進協会(PIRA)
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