消費者の今を知るために。リアルもデータでとらえる「OMO」に移行せよ!

オンもオフもすべてをオンラインのビジネス原理で考える/JAPAN IT WEEK

2019年5月22日
ECサイトの著しい成長は、オンラインで収集したデータのマーケティング活用を可能にしました。しかし日本での購買活動は90%以上がリアル店舗で行われており、必ずしもオンラインデータだけで生活者行動をつかめるわけではありません。そこで最近マーケティングで注目されているのが「OMO」です。オンラインとオフラインを一体としてデータで捉える考え方です。
 最新IT技術を駆使した製品やソリューション技術が集結する「JAPAN IT WEEK【春】前期」に続き、2019年5月8日〜10日の期間で「JAPAN IT WEEK【春】後期」が東京ビッグサイトにて開催されました。

 今期のJAPAN IT WEEKは、「ソフトウェア&アプリ開発展」「クラウドコンピューティングEXPO」「ビッグデータ活用展」「モバイル活用展」「データストレージEXPO」「通販ソリューション展」「情報セキュリティEXPO」「店舗ITソリューション展」「Web&デジタルマーケティングEXPO」「AI・業務自動化展」「データセンター展」の11展で構成され、合わせて1180もの企業が出展。また、各業界の最新動向に詳しい識者によるセミナーが多数開催され、課題解決のヒントを得ようとする聴講者で賑わいました。

 本日の記事では5月8日に開催されたセミナー「生活者の”今”を捉えるマーケティング&コミュニケーション~オフラインオンラインデータの融合の可能性~」(講師:亀卦川 篤さん/凸版印刷株式会社 パーソナルサービス本部 副本部長 兼 事業戦略部長 兼 株式会社ONE COMPATH 取締役)より、デジタルデータとアナログデータを併用したマーケティング手法についてレポートします。

O2OよりOMOで戦うべき

凸版印刷株式会社 パーソナルサービス本部副本部長 兼 事業戦略部長 兼 株式会社ONE COMPATH 取締役の亀卦川篤さん。「これからのマーケティングはO2OではなくOMOで戦う必要があります」

 ECサイトの著しい成長は、オンラインで収集したデータのマーケティング活用を可能にします。しかし、現実的に見ると日本での購買活動は90%以上がリアル店舗で行われており、必ずしもオンラインデータだけで生活者行動をつかめるわけではありません。

 「O2Oはオンラインからオフライン(店舗)に商品を送るだけで終わっています」と話すのは、今回の講師である亀卦川さんです。亀卦川さんは凸版印刷株式会社の電子チラシ「shufoo!(シュフー)」と、地図検索を手がける株式会社マピオンが統合した株式会社ONE COMPATHの取締役を務めています。電子チラシと地図検索を扱うONE COMPATHは、B to Cに特化した会社です。

 「これからのマーケティングはO2OではなくOMOで戦う必要があります。OMOとはOnline Merges with Offlineの略で、オンラインとオフラインを一体として捉える考え方です。チラシも地図も実店舗に生活者の足を運ばせるツールですから、このデータを活かさない手はありません」と亀卦川さんは強調します。

オンラインデータとオフラインデータの融合が最適解をもたらす

「OMO」はオンラインとオフラインを一体としてデータで捉える考え方

 「ECでの購買は主に物欲が原動力になっています。一方、電子チラシは必然の購買に強い傾向にあります。実際に食料品や医療品などはリアル店舗での購買が強いのです。マーケティングに使われる購買データはオンラインのものが多いですが、実はリアル購買にこそ大量のデータが眠っているのです」と話す亀卦川さん。

 確かにECサイトにはレコメンド機能が付いており、消費者はつい必要のないものまで見てしまうことが多いのに対し、スーパーなどのチラシは生活に必要なものがどれだけ安く買えるかという点に焦点を当てています。また、購買の90%以上がリアル店舗によるものなのですから、デジタルデータだけに頼るのは危険かもしれません。オンラインデータとオフラインデータをうまく融合することこそ、消費者の行動を捉えるのに最適なマーケティング手法だと言えそうです。

 「今起こっている状況や情報を、今必要な生活者に伝えるためにはオンラインデータだけでなくオフラインデータと組み合わせて活用することが必要です。今と未来の瞬間をとらえるマーケティングとコミュニケーションの実現が求められます」

あらゆるデータをマーケティングに活用せよ!

「マーケティングに使われる購買データはオンラインのものが多いが、実はリアル購買にこそ大量のデータが眠っている」(亀卦川さん)

 電子チラシはあらかじめ居住する地域を登録することで、近隣のチラシを受け取ることができるサービスです。この電子チラシのデータを活かし、リアル店舗へつなげるにはどうすればよいのでしょうか?

 「まず、生活者は一人ひとり買い物行動圏が違うことを認識する必要があります。主婦であれば自宅の近隣の店舗で買い物をしますし、仕事をしている人であれば職場近くの店舗で買い物をする可能性があります。生活者の行動範囲を円で描き、その中で広告を打つと効果的です。また、電子チラシはカテゴリーごとに見ることができますので、閲覧カテゴリーを分析することでアプローチ方法を変えることもできます」

 しかし、電子チラシだけでは実際に店舗へ送客できたか把握することができません。その対策として「Shofoo!」ではレシートで応募できるくじを行っています。これにより生活者がどこで何を買ったか把握できるそうです。

 さらに気象や日照時間などのデータもマーケティングに活用できると亀卦川さんは話します。

 「例えば先のゴールデンウィーク中に東京では雹が降りました。突然雹が降ってきたら当然雨宿りをするお客様がいるはずです。このときいかにお客様にアプローチできるかが重要になります。また日照時間や気温の変化など環境データもマーケティングの大切な要素です。パーソナル特性だけでなく、環境データをかけ合わせることで、ターゲティング精度が上ります」

 最後に亀卦川さんは「人間の行動は90%以上がオフラインですから、デジタル偏重にならないことが大事です。O2Oではなく、OMOマーケティングを目指してください」と締めくくりました。

 一見すると効率のよいデジタルデータですが、消費者行動を考えると当然にオフラインデータも必要なことがわかります。オンラインとオフラインを融合させたOMOこそ、これからの時代に必要なマーケティング手法だと言えそうです。

最新IT技術を駆使した製品やソリューション技術が集結する「JAPAN IT WEEK【春】後期」。合わせて1180もの企業が出展。最新の製品やサービスに触れようとする業界関係者で会場は熱気に包まれた

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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