「求職者はお客様!」 飲食店の離職率を下げるための面接とは?

人材が定着するかどうかは募集の段階から始まっている/FOODEX JAPAN 2019

2019年4月17日
人手不足が深刻です。中でも飲食業界は人材が定着しにくく、また最も採用が難しい業界と言われています。人材が定着するかどうかは、応募してもらう前段階のお店の対応が鍵を握っています。飲食店の求人への応募者は、まず自分が働こうとしているお店のスタッフやウェブでの対応をよく見ているからです。
 写真に映える料理、インバウンド向けに用意された各地の名産品、さらにはハラルフードまで、いまや飲食は料理を楽しむだけでなく、企業や地域をアピールするコンテンツの一つとして欠かせないものになっています。 

 そんな中、アジア最大級の規模を誇る食品・飲料専門の展示会「FOODEX JAPAN 2019」が2019年3月5日〜8日の期間、幕張メッセにて開催されました。

 4日間の来場者が80000人を超えたFOODEX JAPANでは、世界各国・日本各地の食品や飲料の展示ブースが多数出展されたほか、飲食をテーマにしたセミナーも多数開催されました。

 今回の記事では3月6日に開催されたセミナー「採用難を乗り切るために!~事例で学ぶ効果的な採用手法と従業員教育で定着化へ~」(講師:荒木寿夫さん/クックビズ株式会社 フードカレッジ専任講師)より、従業員の採用が難しいと言われる飲食業界で、採用を効果的に行うためのポイントをレポートします。

クックビズ株式会社 フードカレッジ専任講師の荒木寿夫さん。これまで2000名以上の受講者の研修に携わってきた

求職者は店舗の対応をチェックしている

 人口減少や人件費等の高騰によって、人手不足が深刻です。中でも飲食業界は人材が定着しにくく、また最も採用が難しい業界と言われています。

 そのような状況の中「人材が定着するかどうかは募集の段階から始まっています」と強調するのはクックビズ株式会社の荒木寿夫さんです。クックビズフードカレッジ専任講師として2000名以上の受講者の研修に携わってきた荒木さんは「求人に応募する人は、自分が働こうとしているお店の対応をよく見ています」と話します。

 「まずは自分の店舗で採用活動をしているということをスタッフに周知徹底させることが必要です。また、電話をかけてきた求職者には“笑声”(えごえ)で対応してください。電話でも相手が笑顔かどうかは伝わります。求職者は自分が歓迎されているかすぐに気づきます。このとき電話対応のマニュアルを作っておくとスムーズに対応ができるようになります」

 また、最近ではウェブやメールで求人を行う企業も増えていますが、基本的には迅速な対応をすることが求められます。「求職者は6~7社に応募をしますが、すべての企業に面接を設定しているわけではありません。彼らにとって優先順位が一番高いのは自分が働きたい企業です。しかし、二番・三番はご縁があれば入ってもいいというケースが多いため、いかに速く面接を設定するかがポイントになります」と荒木さんは求職者の心理をもとに説明します。

 なお、面接をドタキャンされる原因のほとんどは「連絡対応が遅い」か「対応が悪い」なのだそうです。ドタキャンされることが多い場合は、対応に問題がなかったか振り返ってみる必要がありそうです。

面接をドタキャンされる原因のほとんどは「連絡対応が遅い」か「対応が悪い」。面接以前にすでに見極められているのだ

面接を受ける応募者はお客様と心得よ!

 無事に面接までこぎつけたとしても、店舗が行う対応はたくさんあります。荒木さんによると、せっかく入社してもすぐに辞めてしまう原因の50%以上が、面接のときに聞いていた内容と仕事内容や待遇が違う「裏切られた感」だそうです。したがって、お互いの認識相違をなくす必要があります。

 「面接時に特に行って欲しいのが店舗案内や見学です。求職者はどんな人が働いているのか、職場の雰囲気はどうなのかという不安を持っています。5分でも良いので職場を案内してください。求職者の不安が払拭され、内定受諾率が高まります」

 また、面接を行う部屋や通路の清掃のほか、身だしなみにも気をつける必要があると荒木さんは話します。飲食業にもかかわらず清潔感が欠けていてはよい印象を与えません。特に爪の長さは現場の人間かどうかに関係なく飲食ではよく見られるので注意が必要です。

 「面接では求職者は上座に座ってもらいます。このときお茶などを出すとポイントが高くなります。最後に数分でもよいので質疑応答を受けることも大切です。その場で不安や疑問を解決しておくことで内定受諾率は高くなります」

 荒木さんは不採用の場合でも必ず連絡を入れることを強調しました。何の連絡もしないと求職者は不安に感じ、面接の対応が悪いという口コミを広められることもあるのだそうです。

 「仮に不採用でも誠実な対応をしていれば、今後もお客様としてお店を使ってくれますし、家族や友人を連れてきてくれることもあります。求職者は未来のお客様だと思って対応してください」

「面接では求職者は上座に座ってもらいます。このときお茶などを出すとポイントが高くなります」(荒木さん)。売り手市場ということを常に念頭に置いておきたい

離職率の低下に必要なのは成長機会

 クックビス株式会社では、人材を定着させるサービスの一環としてスタッフ教育・研修サービスである「フードカレッジ」を提供しています。

 「各企業の社内講習には限界があり、学んだことを現場で活かしきれていないケースが見受けられます。研修は受けて終わりではなく、日々の実践でスキル向上につながるのです。フードカレッジの研修は他の研修と違い、即効性が高いのが特長です」

 一般的な研修会社が行う研修はパッケージ化されたものが多いのですが、フードカレッジでは各企業の業務内容に合わせてカリキュラムを組むのだそうです。社内のやり方と研修の内容が一致しなければ意味がないと荒木さんは話します。

 実際にフードカレッジの研修を受けた企業では、それまで年間5名だった退職者が1名(それもやむを得ない事情が理由で)に減ったそうです。従業員が自分の成長を感じることが離職率を下げるポイントだと言えそうです。

 人手不足が問題となっている飲食業界ですが、求職者に対して誠意をもって向き合っているか、従業員に学びや成長の機会を与えているかなど、企業が見直すべき課題はたくさんあるはずです。この課題を解決することこそが、飲食業界の人材確保に必要なのかもしれません。

2019年3月5日〜8日の期間、幕張メッセにて開催された、アジア最大級の規模を誇る食品・飲料専門の展示会「FOODEX JAPAN 2019」

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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