なぜあなたの情報発信は訪日外国人に刺さらないのか?

訪日外国人観光客向けウェブマガジン「MATCHA」が教える3つの鉄則/インバウンドマーケットEXPO2019

2019年4月5日
外国人旅行客を呼び込むためには積極的な情報発信が欠かせません。しかし外国人の心をつかむためには、彼らの求めている情報を適切な形で発信する必要があります。それでは外国人はどのような情報を求めているのでしょうか? 訪日外国人向けウェブマガジン「MATCHA」からのレポートです。
 年々増加を続け、2018年には3119万人を記録した訪日外国人。2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えている今、企業にはこれまで以上にインバウンド対応の姿勢が求められています。

 そんな中、インバウンド市場と地方創生を目的とし、訪日外国人の満足度を高めるための商材・サービスが一堂に会する展示会「インバウンドマーケットEXPO2019」が2019年2月19日〜22日の期間、東京ビッグサイトにて開催されました。

 今回のインバウンドマーケットEXPOには102社149ものブースが出展、また4日間で30000人もの人が訪れる大盛況ぶりでした。

 今回の記事では2月22日に開催されたセミナー「訪日メディアが考える外国人への情報発信」(講師:カオさん/株式会社MATCHA インバウンド戦略部 統括マネージャー)より、訪日外国人はどのような情報を求めているのかについてレポートします。

株式会社MATCHAインバウンド戦略部統括マネージャーのカオさん。MATCHAは日本最大級の訪日観光ウェブマガジン「MATCHA」を運営するほか、企業や自治体のインバウンド対策のパートナーとしてコンテンツ制作を行っている

先入観を捨てた情報発信を心がける

 外国人旅行客を呼び込むためには積極的な情報発信が欠かせません。しかし外国人の心をつかむためには、彼らの求めている情報を適切な形で発信する必要があります。それでは外国人はどのような情報を求めているのでしょうか?

 月間538万PVを超えるウェブマガジン「MATCHA」を運営する株式会社MATCHAのカオさんは、まず外国人のニーズをしっかりと把握することが必要だと話し、会場の聴講者に「お米を買うならどの産地のお米を選びますか?」と質問を投げかけました。

 選択肢は日本産ならどこでも、東京産、魚沼産の3つ。当然のように魚沼産を選ぶ人が9割を超えました。次に「トマト缶を買うならどこを選びますか? 選択肢はイタリアならどこでも、プーリア産、ミラノ産の3つです」という質問をすると、イタリアならどこでもと半数以上の人が答えました。

 「実は質が良く、イタリアで一番消費されているのはプーリア産のトマト缶です。魚沼産のお米と同じだと考えてください。皆さんは魚沼産のお米を選んだのに、プーリア産のトマト缶は選びませんでした。なぜでしょうか? プーリア産のトマト缶の良さを知らないからですよね。外国人にとっても同じことです。魚沼産のお米は何が良いのかが伝わっていません」

 お米といえば魚沼産というのはあくまで日本人の先入観であり、この先入観は外国人も持っています。したがって情報発信においても、まず先入観には注意する必要があるとカオさんは強調します。

「情報発信において、まず先入観に注意する必要がある」とカオさんは語る

日本人の当たり前は外国人の当たり前ではない

 カオさんの質問はさらに続きます。「箱根の定番といえば何でしょうか?」という質問に温泉や芦ノ湖といった回答が会場からあがります。

 「実は外国人には同じ質問をすると温泉というキーワードはほとんど出てきません。芦ノ湖を見て満足、ロープウェイに乗ったら満足という人が多いんです。さらに彼らにとって重要なのは大涌谷の黒たまご。特にアジア圏の人には黒たまごを食べることが必須条件で、温泉に入らずに帰る人もたくさんいます」

 これは箱根イコール温泉という日本人にとって「当たり前」のことが、外国人にとっては「当たり前」ではないということがよく理解できる事例だと言えるでしょう。それではこの「当たり前」というフィルターを外すにはどうすればよいのか、カオさんは次のように説明しました。

 「訪日外国人を、海外旅行をする日本人だと考えてみてください。自分が知らない国に行くときに、どんなところに行きたいか、どんな情報を知りたいかをイメージすることが必要です」

インバウンドを成功させるためには、「日本人にとっての当たり前」というフィルターを外すことが重要

情報は伝えたい人に正しく伝える

 これらのことを踏まえ、ウェブマガジンMATCHAではどのような情報発信をしているのでしょうか。
 
 「10言語を展開しているMATCHAには台湾、タイ、香港から多くのアクセスが集まっています。主な読者層は25〜40代、既存の情報のほか自分で新しい日本を調べたい人や、FIT旅行者が主なターゲットです。日本旅行ビギナーだけでなく、リピーターやベテラン向けのニッチで深いコンテンツも充実しているのが特徴です。日本全国47都道府県の情報を網羅し、季節ごとの特集や記事だけでなく、旅行中のハウツーといった情報を多数用意しています」

 カオさんは事例として徳島県の農泊体験の記事を挙げました。この記事を読んで実際に外国人が体験に訪れたり、口コミで広がりを見せるなど非常に反響があったそうです。日本の農村地帯の生活という、ある種の「当たり前」も外国人にとっては知りたい情報になるとカオさんは強調します。もちろんその背景には丁寧な取材や記事制作といった強いこだわりがあることは言うまでもありません。

 最後にカオさんは「国によって文化背景が違うので、外国人とひとくくりにせずそれぞれのニーズを把握すること。日本人の当たり前は外国人の当たり前ではないこと。発信したい情報を伝えたい人に正しく伝えること。この3点が情報発信のポイントになります」とまとめました。

 日本には魅力ある地域が多数ありますが、そのすべてが正しい形で外国人に伝わっているとは言えません。情報を知らないから体験できない、逆に言えば情報を知っていれば日本を楽しめる外国人はもっと増えると言えます。適格な情報発信こそが、訪日外国人を地域に呼び込むトリガーになるのかもしれません。

インバウンド市場と地方創生を目的とし、訪日外国人の満足度を高めるための商材・サービスが一堂に会する展示会「インバウンドマーケットEXPO2019」。4日間で30000人もの来場者が訪れた

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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