外国人雇用元年! いま経営者はどう対応すべきなのか?

外国人販売スタッフの人材確保で押さえておきたいポイント/インバウンドマーケットEXPO2019

2019年3月25日
外国人労働者の雇用を増やす手段として政府が打ち出した入管法改正は、人材不足解消の一助として経営者には朗報となりました。では、在留外国人を雇用する場合に気をつけなければならないポイントは何でしょうか? 外国人販売スタッフの人材確保において重要となる指標や現在の外国人就労状況などを解説します。
 年々増加を続け、2018年には3119万人を記録した訪日外国人。2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えている今、企業にはこれまで以上にインバウンド対応の姿勢が求められています。

 そんな中、インバウンド市場と地方創生を目的とし、訪日外国人の満足度を高めるための商材・サービスが一堂に会する展示会「インバウンドマーケットEXPO2019」が2019年2月19日〜22日の期間、東京ビッグサイトにて開催されました。

 今回のインバウンドマーケットEXPOには102社149ものブースが出展、また4日間で30000人もの人が訪れる大盛況ぶりでした。

 今回の記事では2月21日に開催されたセミナー「外国人販売スタッフの人材確保最前線! ~4月改正入管法で変わる採用戦略方法~」(講師:竹内幸一さん/株式会社グローバルパワー 代表取締役・外国人雇用協議会 理事)より、外国人採用の最新事情についてレポートします。

株式会社グローバルパワー代表取締役の竹内幸一さん。日本最大級の外国人就職情報サイト「NINJA」を運営するなど、在留外国人の就職支援を行っている

在留外国人の現状とは?

 人手が足りないことによる倒産などを招いている日本の超高齢化は、解決すべき喫緊の課題となっています。そんななか、外国人労働者の雇用を増やす手段として政府が打ち出した入管法改正は、人材不足解消の一助として経営者には朗報となりました。

 今回のセミナーで講師を務めるのは株式会社グローバルパワー代表取締役の竹内幸一さん。同社では日本最大級の外国人就職情報サイト「NINJA」を運営するなど、在留外国人の就職支援を行っています。

 「2018年時点での在留外国人は263万人、これは日本の人口の約2%に該当します。日本に居住する50人に1人が外国人というわけです。彼らは在留資格の書かれている在留カードを持っています」

 在留資格は現在28種類ですが、2019年4月1日の入管法改正によって「特定技能」が加わり29種類になります。在留資格は大きく4つに分けることができ、それぞれにおいて日本での就労が可能かどうかについて細かく決められています。また、日本における外国人労働者は128万人、その半数近くは1都3県に集中していると、竹内さんは詳しい事情を説明します。

 また「留学生の数は中国・ベトナム・ネパールが多く、アジア圏だけで93%を占めているので、英語圏の人材はピンポイントで探す必要があります。また留学生の8割が文系です。留学から就労に在留資格の切り替えをするケースも増えていますが、近年は許可が厳しくなってきています。特に専門学校生は不許可になる可能性が高いのが特徴です」と留学生の実情についても補足しました。

日本における外国人労働者は128万人、その半数近くは1都3県に集中している

外国人を雇用する際に押さえておきたいポイント

 在留外国人を雇用する場合に気をつけるポイントは何でしょうか? 竹内さんは面接とマネジメントにスポットを当てて解説をしました。

 「まず前提条件として在留資格と期限は当然ですが、面接では日本語のレベルと伸び代に注目してください。『日本語レベル=その人の能力』というわけではありません。現状の日本語レベルにプラスして、日本にどのくらいの期間いるかを見ることが必要です。仮に同じレベルの日本語が話せても、日本に来たばかりの人と日本に10年いる人とでは伸び代が全く異なります」

 「マネジメントのポイントは3つあります。まず現場の受け入れ体制を整えることが大切です。外国人の雇用に偏見を持つ人は少なからずいるので、各現場の従業員に外国人採用の目的と将来のイメージを伝えてください。次にコミュニケーションが生まれやすい環境と機会を作ること。例えば休憩室で外国人が大きな声で母国語を使って話していたら、日本人はいい気持ちがしませんよね。お互いが気持ちよく過ごせるための配慮が必要です。最後に日本人得意の阿吽の呼吸はNGです。ものごとはきちんと説明し、外国人に空気を読むことを期待してはいけません」

 さらに外国人のマネジメントが失敗する原因について、竹内さんは「コミュニケーション不足とミスコミュニケーションがほとんど」と指摘します。日本人は圧倒的なハイコンテクスト文化、つまり空気を察することに長けていますが、外国人にそれを求めるのは無理があります。また指導もオンタイムかつ1対1でやることで、相手のメンツを保ちつつ、問題をすぐに指摘することができるようになると具体的に語りました。 

「面接では日本語のレベルと伸び代に注目してください。『日本語レベル=その人の能力』というわけではありません。現状の日本語レベルにプラスして、日本にどのくらいの期間いるかを見ることが必要です」(竹内さん)

外国人就労状況を取り巻く環境は大きく変化している

 在留資格に特定技能が追加されることによって、今後は宿泊業や飲食業の外国人雇用が増えることが予測されます。このことについて、今後新たな登録支援機関が必要になるだろうと竹内さんは見ています。

 さらに、日本の大学を卒業し、かつ日本語能力検定で最もレベルが高いN1に合格した留学生については、1年更新の特定活動が可能になる制度の導入が見込まれていること、現在採用しにくい専門学校卒の留学生についても、アニメやファッションなどの「クールジャパン」分野で働くことが可能になること、現在「人文知識・国際業務」に就労する外国人はほとんど大手企業に取られてしまい、本当に必要としている中小企業に回っていないため、その制度に対する見直しが検討されるなど、外国人の就労状況を取り巻く環境は大きく変化しつつある、と竹内さんは強調しました。

 法や制度、受け入れるための国による環境整備が今後も継続的に必要であり、また各企業においてもさまざまな努力が求められるなど、始まったばかりの外国人雇用。外国人にとっても企業にとっても良い結果をもたらす方法は必ずあるはずです。

インバウンド市場と地方創生を目的とし、訪日外国人の満足度を高めるための商材・サービスが一堂に会する展示会「インバウンドマーケットEXPO2019」。4日間で30000人もの来場者が訪れた

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

★関連リンク

★インバウンドマーケットEXPO2019 特集

  • 『YOUは何しに日本へ?』プロデューサーが見た、外国人が日本に来る理由とは?

    インバウンドを象徴する現象のひとつに、メディアにおける番組の増加が挙げられます。その先駆けとなったのが『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京系列)です。番組開始から6年、密着取材から受ける印象では、訪日客の状況に変化が生まれているようです。それは「“日本二周目”の人たちが増えた」点にあると、番組担当プロデューサーは話します。

  • 進化し続ける多言語サービス! 訪日外国人とのコミュニケーション解決ツール

    インバウンドツーリズム元年と言われたのが2015年。当時約2000万人だった訪日外国人旅行者数はいまや3119万人。訪日客が日本に求めるものの質や内容も変化しています。かつてはWifiなどハード面での不満が数多くありましたが、現在では言語面、コミュニケーションなどソフト面での不満へシフトしています。インバウンド対応で必須の多言語ツール、その最新形サービスを2つ紹介します。

★おすすめ記事

  • 「自動車整備工場」の二代目女性社長という生き方

    町工場を思い描く時、脳裏に浮かぶ代表的な業種のひとつが自動車整備工場です。どこの地域にもあり、油まみれで働く工員の姿が“勤勉な日本の労働者”をイメージさせるのでしょう。そんな日本の高度経済成長を支えた会社を事業承継し、新たな時代に向けて活力を与えようとする女性社長がいます。横浜の町の一角で昭和39年に創業した「雨宮自動車工業株式会社」代表取締役の小宮里子さんです。

執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
日本の中小企業の皆さんにとってビジネスのヒントになる「ヒト・モノ・カネ・情報」を探し出し、日々オリジナルな視点で記事を取材、編集してお届けします。中小企業の魅力をあますところなく伝えます。

イベントレポート新着記事

  • なぜあなたの会社のRPAは業務効率に直結しないのか?

    業務効率化の打ち手の一つとして、定型的な業務を代行するRPAが注目されています。しかし、導入したものの、思うように効率化できていないというケースは意外なほど多いのも事実です。RPA導入において失敗しやすいポイントについてレポートします。

    2019年6月7日

    イベントレポート

  • 星野リゾートが実現させた、ITによる生産性向上と顧客満足の両立

    あらゆる業界で顧客満足度と生産性を両立させることが求められています。その課題解決に期待されているのがITの活用。その先頭ランナーと言えるのがリゾートホテル業界を代表する星野リゾートです。いかにすればITを日常の中で仕組み化できるのでしょうか? その秘訣を紐解きます。

    2019年6月5日

    イベントレポート

  • 顧客行動の分析が小売ビジネスを成長させる!

    ECにおいては顧客行動がデータ化され活用されている一方、実店舗の顧客行動を理解することは困難だと考えられてきました。しかし実店舗におけるビジネスのパフォーマンスを向上させるためには顧客行動分析が欠かせません。今回の記事では、小売店舗におけるデータ解析の重要性についてレポートします。

    2019年6月3日

    イベントレポート

  • 消費者の今を知るために。リアルもデータでとらえる「OMO」に移行せよ!

    ECサイトの著しい成長は、オンラインで収集したデータのマーケティング活用を可能にしました。しかし日本での購買活動は90%以上がリアル店舗で行われており、必ずしもオンラインデータだけで生活者行動をつかめるわけではありません。そこで最近マーケティングで注目されているのが「OMO」です。オンラインとオフラインを一体としてデータで捉える考え方です。

    2019年5月22日

    イベントレポート

  • それはもうすぐ! 自動運転がかなえる未来の交通

    話題の自動運転。特に実現化が望まれているのがコミュニティの足となるバスの分野です。深刻な運転手不足により、都市部ですら減便が行われています。そんななか自動運転は人手不足時代の交通インフラを改善する鍵を握っています。

    2019年5月15日

    イベントレポート

  • どうする? どうなる? 令和時代のキャッシュレス!

    このところ話題の電子決済。日本のキャッシュレス比率は現在20%ほどで世界的には非常に低い割合です。政府は将来的にキャッシュレスの普及率を40%にまで引き上げるという目標を立てていますが、そもそも現金がない世界というのはありえるのでしょうか? 流通・小売・飲食業にとって差し迫った課題である電子決済の今とこれからを、最前線で取り組む4名によるクロストークで分析します。

    2019年5月7日

    イベントレポート

  • ニッポンブランドの食品をもっと世界へ! 商品開発、流通からブランディングまで

    先日終えたばかりの日米貿易交渉の初協議。いまやTPPやEPAといったワードが日常で当たり前のように使われるようになってきました。日本の中小企業は海外進出にこれまであまり積極的ではない傾向にありましたが、その壁を一刻も早く打ち破らなければならない状況にあります。今回の記事では日本の食品を海外にいかに広めるかについて、47CLUBやJETROでの施策や実績をもとにその課題解決法をひもといていきます。

    2019年4月19日

    イベントレポート

  • 「求職者はお客様!」 飲食店の離職率を下げるための面接とは?

    人手不足が深刻です。中でも飲食業界は人材が定着しにくく、また最も採用が難しい業界と言われています。人材が定着するかどうかは、応募してもらう前段階のお店の対応が鍵を握っています。飲食店の求人への応募者は、まず自分が働こうとしているお店のスタッフやウェブでの対応をよく見ているからです。

    2019年4月17日

    イベントレポート