中小・小規模事業者に新たな可能性!いま注目の「スキルシェア」の必然【前編】

プラットフォーム「ココナラ」が牽引するシェア経済の未来

2019年3月20日
「シェアリング経済」がようやく一般的になってきた日本。なかでもインターネット上で個人のスキルや知識を売り買いする「スキルシェア」が注目を集めています。その状況を牽引するのが、2012年のサービス開始から累計210万件の取引実績を誇る「ココナラ」です。これまで主にCtoC(個人間利用)として使われてきましたが、このところBtoB(会社やプロ間の利用)で急激に利用者数を増やしています。いまなぜココナラなのでしょうか? 

株式会社ココナラ 代表取締役 南章行さん。日本でも一般的になってきた「「シェアリング経済」を牽引するひとりだ

「シェアリング経済(エコノミー)」がようやく一般的になってきた日本。なかでもインターネット上で個人のスキルや知識を売り買いする「スキルシェア」が注目を集めています。大量生産大量消費の時代が終わり低成長経済の続く現在、新たな価値を生む仕組みとして急速に広がりつつあるのです。スキルシェアサービスを牽引するのが、2012年のサービス開始から累計210万件の取引実績を誇る「ココナラ」です。これまで主にCtoC(個人間利用)として使われてきましたが、このところBtoB(会社やプロ間の利用)で急激に利用者数を増やしています。手軽さと価格と品質のバリエーションの豊富さが評判を呼び、中小・小規模事業者の新規プロジェクト開発やマーケティング、ブランディングにおける突破口的な役割を果たしているようです。いまなぜココナラなのでしょうか? 株式会社ココナラ代表取締役の南章行さんに話を聞きます。前編ではココナラを使うメリットやその意義について、後編ではココナラに至る南さんの歩みに焦点をあてます。

ココナラはなぜ中小・小規模事業者の心に刺さったのか?

ーーこのところBtoBでの需要が多くなっているとうかがいました。中小・小規模事業者がココナラを利用した成功事例を教えてください。

「なにか新しいことをやりたい!」「マーケティングってどうしたらいいの?」とお悩みの中小・小規模事業者の利用が増えています。

ほかにも「オンラインで認知を広げたい」「Facebookを使った広告をやってみたい」「ランディング用のホームページを刷新したい」「お店のロゴを変えてみたい」といった希望をお持ちの方は大勢いらっしゃいます。しかし、外部の会社に依頼すると結構なお金がかかるわけです。

中小・小規模事業者の場合、まずやりかたがわからないというそもそもの問題があります。しかしやりかたがわかったとしてもお金の問題で止まってしまうことが多い。そこでそれらの問題を解決する手段としてココナラを訪れる方が増えているのだと思います。

日本最大級のスキルシェア「ココナラ」。個人の“得意”を売り買いするマーケットは、CtoCだけでなくBtoBにも広がり、中小・小規模事業者の困りごとを解決する手段ともなっている

ーーココナラの何が中小・小規模事業者の心に刺さったのでしょうか?

外部に発注・依頼する場合、これまでは「価格が高いが依頼する」か「価格が高いので諦めて自分でやる」の両極しかありませんでした。つまり「真ん中」がなかったわけです。ココナラはその「真ん中」「中間」に位置するサービスであることが好評を得ていると考えています。使い勝手がよく、価格と品質のバリエーションが豊富なので、予算内で納得の行く品質に出会えます。

例えば「商品のネーミング」を企画する場合を考えてみましょう。一流の広告会社に頼めば数百万円、中規模の会社でも100万程度はかかります。でもそれでいいものが必ずできるのかというと事前にはわからない。その金額は中小・小規模事業者にとっては大金です。きっと恐怖を覚えるでしょう。そこで、外部発注せずに自分で制作することを選択してしまう。チラシひとつとっても、外部に頼んだら結構いい値段がするからといって、手書きで作って配ることがよくありますよね。でも自作したばかりにとてもじゃないけど恥ずかしいものができあがったりするわけです。

ホームページ制作などは比較的、料金とその内容が市場化されています。それほど値段のばらつきはありません。しかしキャッチコピーやネーミングのような特別な内容は業界外の人にはコスパがわからない。

ーーいきなり東京の広告会社に電話できるわけはありません。

「間(あいだ)」があるということは素晴らしいことです。「素人である自分が制作するよりはいいものがあがってくる」――それでも十分なわけです。5千円払うだけで自分よりだいぶマシなものができるし、5万円出せば一流ではないかもしれないけれどプロに頼める。実はそういう世界がいくらでもある。ココナラを使えば、いままでは誰にも頼めなかったことが頼めるようになるんです。

起業する際にココナラを利用した例。海外に向けてオリジナル包丁をアピールするために、ココナラでデザイナーを見つけ、会社ロゴを依頼。その出来栄えに満足し、その後動画制作や製品ロゴも依頼することに

クオリティの高い「PRO認定制度」。シェア経済に個人から法人への流れ

ーーココナラでは最近、プロフェッショナルとして活躍する出品者に対して「PRO認定制度」を設けました。ビジネスユースでも安心感がありますね。

僕たちはピュアなCtoCから始めたわけですが、認知が高まるにつれてビジネスや会社で利用したいという要求が増えてきました。ココナラを立ち上げた当初は「スキルシェア」が世の中になかったので、まずはサービスを広げるために一律500円としました。それから5年経ち、認知度の向上により会員数が2018年には70万人に達し、さらにはビジネス利用が増えてきました。それに対応するべく「品質」「納期」「情報管理」の主に3つの観点から、安心して依頼できる出品者をより見つけやすくするために、先ごろ「PRO認定制度」を導入しました。

一般の制作会社とアマチュアの間がいま、埋まり始めているんです。この人なら安心して任せられるーーそれが会社用途でも安心して使える「PRO認定制度」です。

――副業、兼業の時代、会社単位でなくてもプロフェッショナルな人材はいるはずです。

サービスを売る側も、かつては500円という価格設定しかなかったから、プロはココナラには入って来づらかったのですが、価格設定の壁を取り払うことで徐々に価格が上がってきました。

ビジネスシーンでの利用が増えたことによって導入したのが「PRO認定制度」。特定分野の「プロフェッショナル」を「PRO」として認定し、主にビジネスシーンで利用している会員とのマッチングを促進している

――なぜ創立時に500円均一にしたのですか?

「モノ」でない「サービス」では、価格とクオリティのバランスを見極めることは困難です。ならば「一律価格にしよう」と決めました。500円でサービス出品する人は儲け目的ではありません。「人の役に立ちたい人」「気持ちに余裕のある人」なんです。ある意味ではノーブレスオブリージュの精神(地位や立場のある人には責任がある)を持つ人です。超一流の人たちと言ってもいいかもしれません。そういった人同士がお金以外の関係でギブアンドテイクを行う。そこでトランズアクションができ、レビューもたまっていきます。レビューがたまってきて初めてその人のクオリティの高さの証左になるわけです。そして値段の差の説明もできますよね。

登録会員数も70万人になり、均一価格を解除しました。とはいえ3〜5千円では、プロが請け負うには安い価格です。「サービスを提供したいけれど・・・」という方々に一気に出品してもらうために、クオリティの高い人をPRO認定制度を設けることで取り込んでいます。個人から法人への流れ。アマチュアからプロへの流れ。安い単価から高単価へという流れ。これらの流れがじわじわと拡張しています。

民業圧迫? そうではなく新しいビジネスが広がっている

ーー一方ではシェア経済の話になると必ず「現業を圧迫しているのでは?」という声が聞かれます。

ココナラのサービスについて「中小企業の仕事を奪っているのではないか?」「価格破壊ではないか?」という批判があります。しかし「これまで依頼できなかった人が依頼できるようになった」という割合のほうが圧倒的に多いと思います。「いままでは100万円払ってやってもらっていたけれど、ココナラがあったから10万円で済みました」というのはむしろレアケースです。「いままで自分でやらざるをえなかった、あるいはやれなかったものが、10万円払ってできるようになった」というようなパターンが多いのです。仕事のポテンシャルを奪っている可能性はありますが、ダイレクトに顧客を奪っているかというと必ずしもそうではない。

「プロかなしか」の二択しかなかった中で、その間が生まれたことによってプロの中でも下の方に位置するプロの立場は厳しくなります。情報の非対称性のある社会のなかで、一流ではないのに一流の値段をとっていた人たちは辛くなる。だから仕事を奪われている人もいるかもしれません。「頼むか頼まないか」ではなく、欲しいクオリティのなかで「必要な値段の人に出会える」世界になってきている。新しいマーケットができて喜んでいる人もいるのです。

ーー地方在住者のなかにはデザイナーという専門職を知らない方もいるでしょうね。

そもそも地方にデザイナーといった類のクリエイターはそんなにいません。地方では、アクセスできなかったジャンルにアクセスできるという側面が強いはずです。

僕たちもココナラの利用者から喜びの声をたくさんいただきます。しかし「高かったものが安くなってありがとう」という声はほとんどありません。「いままでできなかったことができるようになりました、ありがとう」なんです。一方サービスを提供する・売る側では「どこにも売り場がなかった自分のスキルに対して喜んでもらえることがうれしい」という声が大半です。いままでなら諦めていたことが埋まるマーケットができたのです。

「なにかしたいんだけどどうしたらいいのかわからない、となったらココナラを見てください。僕自身もココナラを立ち上げたときココナラでプレスリリースの書き方を教えてもらいました」(南さん)

ーースモールビジネス向けのサービスではどんなジャンルが人気ですか?

事例は数多くあります。アカウントは個人で登録するので法人利用の割合はわかりませんが、個人という手軽さもあって相当数になっていると思います。「お店を出すのにロゴを作りたい」「名刺を作りたい」「格好いい屋号を作りたい」――個人事業主などフリーランスになったときにやるべきことはいっぱいあります。登記から始まって企画書の作り方や補助金の申請、資金繰りや人事、マーケティングや広告のやり方、プレスリリースの書き方や配信の仕方、輸出入の仕方・・・。僕自身もココナラを立ち上げたときココナラでプレスリリースの書き方を教えてもらいました(笑)。

ーー何か始めたいのだけれど頼みたいジャンルがわからない人もいます。

言い換えると「困ったらココナラ」ですね。なにかしたいんだけどどうしたらいいのかわからない、となったらココナラを見てくださいと。いまモノを買いたい場合、“ググる” という行為はだいぶ減っています。その場合はアマゾンや楽天に直接いくわけです。中古品を買うならメルカリにいきます。ウェブ上での行き先がほぼ決まっています。だけれどサービスだけは決定版がないからググるんです。質問サイトはありますが、それらはビジネスでシリアスに、といった場合に訪れる場ではありません。様々なサービスがすべて揃っていることがココナラの強みだと思っています。ビジネスで悩んだらぜひいちど、ココナラをのぞいてみてください。(後編に続く)
  • 中小・小規模事業者に新たな可能性!いま注目の「スキルシェア」の必然【後編】

    シェア経済はビジネス領域だけのものではありません。それはローカルコミュニティを活性化させるインフラになる可能性を秘めています。自治体や会社が支えてきた日本の基本的な仕組みが崩壊しつつある今、「シェア」が様々な問題を解決しています。いち早くその潜在能力をシステムとして具現化したのがスキルシェアの「ココナラ」です。

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執筆者: 加藤陽之 - HANJO HANJO 編集長
コンピュータ関連の出版社からキャリアを始め、カルチャー雑誌などの編集長を歴任。これまで数多くの著名人をインタビューしてきた経験を活かし、HANJO HANJOでは中小企業経営者の深く掘り下げた話を引き出し続ける取材の日々。

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