『YOUは何しに日本へ?』プロデューサーが見た、外国人が日本に来る理由とは?

“日本二周目”。日本人顔負けの知識を持つ訪日外国人が増えている/インバウンドマーケットEXPO2019

2019年3月11日
インバウンドを象徴する現象のひとつに、メディアにおける番組の増加が挙げられます。その先駆けとなったのが『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京系列)です。番組開始から6年、密着取材から受ける印象では、訪日客の状況に変化が生まれているようです。それは「“日本二周目”の人たちが増えた」点にあると、番組担当プロデューサーは話します。
 年々増加を続け、2018年には3119万人を記録した訪日外国人。2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えている今、企業にはこれまで以上にインバウンド対応の姿勢が求められています。

 そんな中、インバウンド市場と地方創生を目的とし、訪日外国人の満足度を高めるための商材・サービスが一堂に会する展示会「インバウンドマーケットEXPO2019」が2019年2月19日〜22日の期間、東京ビッグサイトにて開催されました。

 今回のインバウンドマーケットEXPOには102社149ものブースが出展、また4日間で30000人もの来場者が訪れる大盛況ぶりでした。

 今回の記事では2月21日に開催されたセミナー「「YOUは何しに日本へ?」制作チームが語る! この数年でニーズが変わった? リアルなインタビューだからこそわかること」(講師:太田勇さん/株式会社テレビ東京 制作局)より、最新の訪日外国人事情についてレポートします。

『YOUは何しに日本へ?』担当プロデューサーの太田勇さん(株式会社テレビ東京 制作局)。「番組開始から6年。『日本二周目』の人たちが増えた印象があります」

番組開始から6年、外国人が日本を訪れる目的は変わったのか?

 日本を訪れる外国人(YOU)に片っ端から来日目的を聞き、面白そうな理由であれば密着して取材するテレビ番組『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京系列)。

 その番組プロデューサーである太田勇さんは「番組開始から6年経ちましたが、YOUたちが日本に来る目的は大きく変わっていません」と話します。

 太田さんによると外国人が日本を訪れる目的は大きく分けて4つ。まずはお遍路や祭、忍術といった「日本文化」、2つ目はアイドルやコスプレ、ゲームなどの「クールジャパン」、3つ目はご当地グルメやラーメンなどの「グルメ」、そして温泉や花見などの「旅」が主な理由です。

 「訪日目的そのものは変わっていないのですが、『日本二周目』の人たちが増えたという印象があります」と話す太田さん。例えば6年前は「築地でお寿司を食べたい」と言っていた外国人が、今ではB級グルメを含めさまざまな日本食に興味を示したり、具体的な店の名前を出す人が増えたといいます。

 「以前は単に日本の居酒屋に行ってみたいという人が、「ざうお」(お店のいけすで釣った魚を食べられるのが特徴の居酒屋)に行きたいと言ったり、下北沢の『カレーフェスティバル』に参加したいというYOUや、大阪『美津の』に行きたいなど、具体的な店名が出るようになったり、しゃぶしゃぶ食べ放題をしたい、タコさんウインナーを食べたい、おにぎり専門店を巡りたい、というようなより詳しい日本の食文化が目的になっています。『日本一周目』が昔からあるスシ、テンプラ、スキヤキだとすると、『二周目』はラーメンやお好み焼きなどのB級グルメだったり、具体的な店名を知っている人たちのことです。そういう人たちが増えている実感はあります」

日本人顔負けの日本に対する知識

「最近のYOUは全体的に日本についての知識が深くなっています。中には日本人でも知らないようなことを知っているYOUもいます」(太田さん)

 太田さんによると『日本二周目』は食文化にとどまらないようです。

 「例えば6年前は日本の着物に興味があるというレベルでしたが、今では着物の買い付けや成人式の振袖を研究するために日本を訪れるというYOUもいます」

 その他、俳優志望のYOUが「海外にはない動きを学ぶため能を習いたい」と来たり、「日本語の『本音と建前』という考え方が面白いから学びたい」「日本人は親切と聞いたので、ヒッチハイクをしてそれを確かめたい」「富士山で霊的なものを感じたい」といった日本独自の文化や風習についても知識が深い訪日外国人が増えていると太田さんは話します。

 中でも「石場建てを習って庭に茶室を作りたい」という外国人に太田さんは驚いたと言います。石場建てとは日本の伝統構法で、礎石の上に柱を載せるだけの構法ですが、これは日本人でも知らない人が多いのではないでしょうか?

 「最近のYOUは全体的に日本についての知識が深くなっています。中には日本人でも知らないようなことを知っているYOUもいます」

 さらに最近の訪日外国人は日本文化だけでなく、日本のインフラが充実していることについても詳しくなっていると太田さんは話します。

 「訪日外国人が使うことができるJEP(Japan Expressway Pass)というものがあります。これは7日間2万円で高速道路が乗り放題になるパスです。JRのジャパンレールパスは知っている人も多いと思いますが、JEPを知っている人は少ないのではないでしょうか。このように実は日本人の気づかないところで外国人に対するインフラが整っていて、YOUたちはそれを知って日本に来ているんです」

すでに日本にあるものが外国人には受ける

「YOU目線で拡散されそうなのは日本独自のもの、すでに日本にあるものではないかと思います」(太田さん)

 それでは今後増加する外国人観光客をビジネスに取り込むにはどうしたらよいのでしょうか?

 太田さんは「番組開始当初はいませんでしたが、ここ最近増えているのがYouTuberで、ほぼ毎週のように出くわしています。YouTubeに限らず、SNSで発信できるものというのは拡散しやすい傾向にあります」と話し、「特にYOU目線で拡散されそうなのは日本独自のもの、すでに日本にあるものではないかと思います」と続けました。

 番組では「日本でのYOUの思い出の一枚は?」という、帰国前に日本でのベストショットを見せてもらうコーナーがあります。太田さんはその中でも「高速道路の防音壁(YOUの住む街では車の騒音が問題になっているので)」「ガソリンスタンドの天井から下がる給油ノズルや立体駐車場(狭いスペースを上手に使っているので)」「駅の自動改札のドア(YOUの国の自動改札のドアは鉄がむき出しで痛いが、日本の自動ドアは柔らかいので)」などの写真が印象的だったと話します。

 これらは日本人目線で見るとごく普通のものですが、日本人の他者への思いやりや、狭い空間を有効に使う知恵が活かされているものであり、外国人にとってはその「日本独自のもの」をSNSで拡散したくなるのだそうです。

 最後に太田さんは「実は新しく作ったものよりも、すでにあるもののほうがYOUには響きます。これは皆さんのビジネスのヒントになるのではないでしょうか」と締めくくりました。

 ガイドブックよりも、口コミやSNSの情報をもとに日本を訪れることの多い訪日外国人。彼らの興味関心を惹くには、目新しいものではなく、すでにある日本独自の文化や技術といった発信・拡散されやすいものの方が効果的なのかもしれません。

インバウンド市場と地方創生を目的とし、訪日外国人の満足度を高めるための商材・サービスが一堂に会する展示会「インバウンドマーケットEXPO2019」。4日間で30000人もの来場者が訪れた

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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