中小製造業の強い味方! 新製品開発のクラウドファンディング活用術

ものづくりは得意でもアピールするのは苦手な会社にうってつけ:クラウドファンディング「Makuake(マクアケ)」/中小企業 新ものづくり・新サービス展

2019年2月14日
「クラウドファンディング」という言葉を耳にすることが多くなりました。新しい製品やサービスやプロジェクトを実現するために、専用のサイトを通じて資金調達をする方法です。一般的には消費者向けの新商品開発がメインですが、BtoBメーカーが高い技術を使ったBtoC向け製品をアピールする場としてクラウドファンディングを使うことは効果があります。中小企業がクラウドファンディングを利用するために知っておくべきことは何なのでしょう? サイバーエージェントグループのクラウドファンディング「Makuake(マクアケ)」から考えます。

クラウドファンディング「Makuake(マクアケ)」を運営する株式会社マクアケ代表取締役社長の中山亮太郎さん。2006年に株式会社サイバーエージェント入社後、メディア事業立ち上げを経て、2013年に株式会社マクアケの前身である株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングを設立

 中小企業がものづくり補助金を活用して開発した新製品・サービス・技術などの成果が集結する「中小企業 新ものづくり・新サービス展」が2018年12月11~13日の期間、東京ビッグサイトで開催されました。

  今回の「中小企業新ものづくり・新サービス展」は、「医療・福祉・生活・サービス・その他」「情報・通信」「繊維・木材・ガラス・土石」「紙・紙加工・印刷」「農林水産・食品・建設・工事」「化学・石油・プラ・ゴム」「鉄鋼・金属製品」「機械器具製造」の8つのゾーンで構成され、総勢733社が出展、来場者は3日間で37000名を超す盛況ぶりでした。

 また中小企業の課題解決に役立つセミナーも多数開催され、事業のヒントを求める聴講者で賑わいました。

 今回の記事では12月13日に開催されたセミナー「中小企業のクラウドファンディング活用の可能性について」(講師:中山亮太郎さん/株式会社マクアケ 代表取締役社長)より、中小企業のクラウドファンディング利用についてレポートします。

様々なクラウドファンディングサービス、それぞれの特徴は?

 「クラウドファンディング」という言葉を耳にすることが多くなりました。クラウドファンディングとは、新しい製品やサービス、あるいは世の中を良くするための仕組みといったアイデアやプロジェクトを実現するために、専用のサイトを通じて資金調達をする方法です。

 今回のセミナー講師である中山亮太郎さんは、クラウドファンディング「Makuake(マクアケ)」を運営する株式会社マクアケの代表取締役社長。2006年に株式会社サイバーエージェント入社後、社長アシスタント、メディア事業立ち上げを経て、2010年にはベトナムで現地のネット系スタートアップ企業への投資を担当。2013年に株式会社マクアケの前身である株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングを設立しました。

 新商品やサービスに出資してリターンとして商品を受け取るというイメージが強いクラウドファンディング。しかし中山さんによるとクラウドファンディングには、融資・不動産投資・ファンド・株式・寄付・購入の6つの要素があり、それぞれに特徴やリターンが異なるため、目的にあった手段を選ぶ必要があるそうです。

 「クラウドファンディングが全て同じものであると考えると間違いが起こります。例えるなら陸上競技の中にマラソンや短距離走があるようなものです。Makuakeは購入型のクラウドファンディング。消費者向けの新商品開発にフォーカスしています」

クラウドファンディングを使うメリットは?

Makuakeを使うことで得られるメリットは大きく4つ。製造前の早い段階で顧客を獲得できること。テストマーケティングでニーズが見えやすくなること。販路拡大の営業がしやすくなること。そして資金調達でキャッシュフローの改善につながること

 それでは企業がMakuakeを使うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。中山さんはまず従来の産業構造について説明しました。

 「従来の産業構造は、企画・試作・量産製造・流通展開というステップを踏んでいました。しかし本来は試作と量産の間に認知向上やテストマーケティング、実績作り、販路獲得のステップが必要なのです。しかしこれらは予算等の関係で実現するのが難しい。その結果、新製品を作ってもプロモーションの手段がないため、消費者に売れ筋以外の製品を知ってもらう機会が得られません。作ったは良いが売れる見込みがないため、既存の製品しか売らない。結果として、新製品が生まれないという悪循環になっています。そこで量産前の準備段階としてMakuakeを活用することで、本格デビュー前のブーストが可能となるのです」

 Makuakeの大まかな流れは次のとおりです。まず企業が企画中の製品をMakuakeサイトに載せます。Makuakeはその製品が製造可能がどうかを判断します。無事にプロジェクトがスタートしたら支援者は先行予約購入をし、製品が完成次第一斉に配送するという流れです。

 「Makuakeを使うことで得られるメリットは大きく4つあります。まず製造前に製品のストーリや特徴、メリットを詳細に伝えることができるので、早い段階で顧客を獲得できること。そしてテストマーケティング。サイトにはユーザーがさまざまなコメントを書き込むことができるため、ターゲットのニーズが見えやすくなります。またプロジェクトが成功すれば実績になるため、販路拡大の営業がしやすくなります。最後に資金調達。製造前に売上が入ってくるため、それを資金にすることができ、キャッシュフローの改善につながります」

クラウドファンディングを成功させるコツ

BtoBメーカーが高い技術を使ったBtoC向け製品をアピールする場としてクラウドファンディングを使うことは効果があります(中山さん)

 クラウドファンディングはその性質上、資金が集まらなければ失敗ということもありえますが(Makuakeでは目標額に届かなくても、欲しいという人が一人でもいれば成功というケースもあります)、資金集めを成功させるためのコツはあるのでしょうか。中山さんは「企業はついつい優れた技術や自分たちのこだわりをアピールしがちです。そこをぐっと堪え、誰が使うのかをイメージし、どんなベネフィットやメリットがあるのかをきちんとアピールすることが成功を左右するキーファクターとなります」と説明しました。

 また今回は「中小企業新ものづくり・新サービス展」ということで、BtoBメーカーのクラウドファンディング活用についてもいくつか話がありました。

 「クラウドファンディングは消費者向けの新商品開発がメインなので、BtoBの商品開発や加工技術のための資金調達は銀行から借りたほうが良いと思います。ただし、BtoBメーカーが高い技術を使ったBtoC向け製品をアピールする場としてクラウドファンディングを使うことは効果があります。また最近ではMakuakeで売れるという実績が銀行の融資判断にも使われるケースも増えています。Makuakeではプロのキュレーターと一緒に製品のストーリーや見せ方を考えることができるので、ものづくりは得意でもアピールするのは苦手……という方でも安心して利用することができます」

 最後に中山さんは「Makuakeは新商品創出を加速する仕組み、コンシューマーありきの仕組みですが、今後はものづくりとものづくりのマッチングのようなことができれば、と考えています」と締めくくりました。

 大企業もテストマーケティングに利用するというMakuake。企業の規模に関わらず製品・サービスを作ることができるかどうかがポイントとなるので、アイデア次第でさまざまな活用ができるのではないでしょうか。

中小企業がものづくり補助金を活用して開発した新製品・サービス・技術などの成果が集結する「中小企業 新ものづくり・新サービス展」。2018年12月11~13日の期間、東京ビッグサイトで開催された

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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