マンガ・アニメと現実世界の境界にある「2.5次元文化」をビジネスに応用せよ!

コンテンツツーリズムの最前線、マーケットが広がる可能性は大きい/レジャージャパン2018

2019年2月1日
「2.5次元文化」とは、マンガ・アニメ・ゲームなどの2次元の虚構の世界と、身体性を伴った経験を共有する3次元の現実世界の境界にあるカルチャーのこと。舞台、ミュージカル、コスプレ、コンサートなどさまざまなコンテンツとして提供されていて、国内外を問わず熱狂的な支持を得ています。これらのコンテンツは、アニメの舞台となった街を訪れる「聖地巡礼」といったツーリズムとの相性もよく、海外でも強い人気を博しています。マンガ・アニメ・ゲームーーこれらのコンテンツを2次元だけではなく、2.5次元の世界で活用することが、地域活性やインバウンド誘致の新たなファクターとなりそうです。
 テーマパークやライブ・演劇、レジャースポーツ産業を網羅した専門展「レジャージャパン2018」が2018年12月5~7日の期間、東京ビッグサイトで開催されました。

 「レジャージャパン2018」は、テーマパークやレジャー施設の開発・運営のための設備・サービスの専門展「テーマパークEXPO」、ライブハウス・劇場・ホール向けの設備・サービスの専門展「ライブ&シアターEXPO」、レジャースポーツ・アウトドア向け設備・機器・サービスの専門展「レジャー&アウトドアEXPO」の3つの展示会で構成され、合計150社以上が出展、来場者は3日間で18,902名を記録しました。

 各専門展のテーマに応じたセミナーも多数開催され、第一線で活躍している講師によりレジャー産業における最新トレンドのツボをおさえた講義が行われました。

 今回の記事では12月7日に開催されたセミナー「2.5次元文化の広がりと国内外のファンの動向」(講師:須川亜紀子さん/横浜国立大学 教授)より、拡大する2.5次元文化とコンテンツツーリズムの関係性についてレポートします。

横浜国立大学都市イノベーション研究院教授の須川亜紀子さん。2.5次元文化に関しての論考を「ユリイカ」「美術手帖」などでも発表している。主な著書に『少女と魔法』〔NTT出版〕がある

虚構と現実の境界で生まれる「2.5次元文化現象」

 マンガ・アニメ・ゲームといった2次元のコンテンツは、日本が海外に誇ることのできる文化として挙げられます。「クールジャパン」とも呼ばれるこれらのコンテンツは、アニメの舞台となった街を訪れる「聖地巡礼」といったツーリズムとの相性もよく、海外でも強い人気を博しています。

 「特に最近では2次元の世界から飛び出し、舞台、ミュージカル、コスプレ、コンサートなどさまざまなコンテンツとして提供されており、国内外を問わず熱狂的な支持を得ています」と、横浜国立大学都市イノベーション研究院教授でポピュラー文化研究を専門としている須川亜紀子さんは話します。

 「2.5次元文化とは、マンガ・アニメ・ゲームなどの2次元の虚構の世界と、身体性を伴った経験を共有する3次元の現実世界の曖昧な境界で行われる文化実践です。虚構性が感じられる現実世界での実践、バーチャルな身体性とも言えます」

 須川さんによると最近は、マンガ・アニメ・ゲームを原作とし、キャラクターの再現性が高い作品を上演する「2.5次元舞台」の人気が高く、中には全公演に通う「全通」や全国公演を追いかける「遠征」をする熱狂的なファンも多いそうです。

コンテンツツーリズムとも相性が良い「2.5次元文化」

技術の進歩により、本来は物語の中だけで活躍していたキャラクターが、現実世界でも活躍するようになるのが2.5次元文化の特徴。原作のファンがそのことを楽しむことでさらに加熱していく。そこに2.5次元文化とコンテンツツーリズムを成功させるためのヒントがある

 そんな2.5次元文化の中でも有名な事例と言えば、作品の舞台となった街や地域を訪れる「コンテンツツーリズム」ではないでしょうか。2016年公開の映画『君の名は』に代表されるような、作品の舞台となった街を訪れる「聖地巡礼」のほか、最近では指定の場所を訪れてスマートフォンのカメラをかざすとアニメのキャラクターが現れて写真を撮ることができるAR(拡張現実)コンテンツも盛んに利用されています。

 これらが流行している背景について、須川さんは「まずネット環境の変化が挙げられます。SNSによる双方向のコミュニケーションやVR・AR技術の進歩によって、ファンの持つリアリティ感覚が変容しているんですね。そしてキャラクター中心消費。これは物語のキャラクターが、物語を飛び出してキャラクターとして独立し、例えばパチンコや脱出ゲームのようなさまざまなコンテンツに使われています。ファンは作品そのものよりもキャラクターを追いかけているイメージです。そしてこれらのコンテンツに気軽に参加できる文化ができあがっていることも大きな理由の一つと言えます」と説明。

 さまざまな技術の進歩により、本来は物語の中だけで活躍していたキャラクターが、現実世界でも活躍するようになる。そして原作のファンがそのことを楽しむことでさらに加熱していく。ここに2.5次元文化とコンテンツツーリズムを成功させるためのヒントがありそうです。

世界へと拡大する「2.5次元舞台」、観光プロモーションも有効

 最近では海外でも人気の高い「2.5次元舞台」。公演数は年々増加しており、2017年には171作が公演されたそうです。特に女性ファンが多い2.5次元舞台の楽しみ方は、前述のとおり「全通」や「遠征」だけではないと須川さんは話します。

 「SNSでキャストや他のファンと情報交換をしたり、2次元と3次元の人間関係の差を楽しむ、プロシューマーとしての創造と消費を楽しむファンが増えています。中でもトップオタクと言われるファンは、グッズの購入金額イコール「推し」(自分の好きなキャラクター)への愛であるとし、集めたグッズを積み上げた「祭壇」の写真をSNSにアップしています。グッズは1公演あたり最低1万円分購入するのが特徴です」

 また2.5次元舞台そのものも、日本国内だけでなくワールドツアーが組まれたり、ツアーのない国でもライブビューイングが上映されるなど、世界規模で拡大しているそうです。須川さんはこのことに対し「海外公演が行われても、本場である日本で見たいというインバウンドは多いので、彼らに対して観光プロモーションをすることも有効だと思います」と話しました。

 最後に須川さんは「オタク市場は拡大傾向にあります。特に20〜50代の有職者女性が強力なファン層になります。ワールドツアーやインバウンドもマーケットとしては大きいので、これらをうまく取り込むことが大事なのではないでしょうか」と締めくくりました。

 日本が世界に誇るコンテンツであり、海外でも広く受け入れられているマンガ・アニメ・ゲーム。これらのコンテンツを2次元の世界で楽しむだけではなく、2.5次元の世界で活用することが、地域活性やインバウンド誘致の新たなファクターとなりそうです。

2018年12月5~7日の期間、東京ビッグサイトで開催された「レジャージャパン2018」。テーマパークやライブ・演劇、レジャースポーツ産業を網羅し、来場者は3日間で18,902名を記録した

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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