地域活性の切り札になるか? 自然共生型アウトドアパーク「フォレストアドベンチャー」人気上昇の秘密

森を活用、遊休森林や夏季スキー場を体験型施設に/レジャージャパン2018

2019年1月28日
「フォレストアドベンチャー」をご存知でしょうか? 元々はヨーロッパ発の「自然共生型アウトドアパーク」を指す名称ですが、その特徴は森を森のまま活用できる商業施設という点にあります。大規模な開発が不要なので、遊休森林や夏季のスキー場を有効利用するのに最適です。日本でも2006年に自然共生型アウトドアパーク「フォレストアドベンチャー」が山梨県富士山麓にオープンし、現在までに30ヶ所を超えるパークがオープンしています。日本にはまだまだ自然豊かな場所が数多く残っています。自然共生型アウトドアパークを地域活性につなげるにはどんな道筋が考えられるのでしょうか?
 テーマパークやライブ・演劇、レジャースポーツ産業を網羅した専門展「レジャージャパン2018」が2018年12月5~7日の期間、東京ビッグサイトで開催されました。

 「レジャージャパン2018」は、テーマパークやレジャー施設の開発・運営のための設備・サービスの専門展「テーマパークEXPO」、ライブハウス・劇場・ホール向けの設備・サービスの専門展「ライブ&シアターEXPO」、レジャースポーツ・アウトドア向け設備・機器・サービスの専門展「レジャー&アウトドアEXPO」の3つの展示会で構成され、合計150社以上が出展、来場者は3日間で18,902名を記録しました。

 各専門展のテーマに応じたセミナーも多数開催され、第一線で活躍している講師によりレジャー産業における最新トレンドのツボをおさえた講義が行われました。

 今回の記事では12月7日に開催されたセミナー「自然共生型アウトドアパーク、フォレストアドベンチャー」(講師:田桑正樹さん/有限会社パシフィックネットワーク 取締役)より、森林の有効活用方法や地域活性に最適なフォレストアドベンチャーの事業内容についてレポートします。

有限会社パシフィックネットワーク 取締役の田桑正樹さん。日本では現在までに30ヶ所を超えるフォレストアドベンチャーパークがオープンしているが、そのすべての設計・施工に関わってきた

ヨーロッパ発祥、日本でも人気上昇中のアウトドアパーク

 近年、全世界で人気が高まっているアウトドア。中でも木々の間に張られたワイヤーロープを滑車を使って滑り降りる「ジップライン」や、木の上に設置されたコースを渡り歩く「ツリートップアドベンチャー」は年々利用人数を増やしています。

 日本でも2006年にパシフィックネットワーク社による自然共生型アウトドアパーク「フォレストアドベンチャー」が山梨県富士山麓にオープンし、現在までに30ヶ所を超えるパークがオープンしています。そのすべてのフォレストアドベンチャーパークの設計・施工に関わってきた田桑正樹さんが今回のセミナーの講師です。

 フォレストアドベンチャーとは、「専用の安全装具(ハーネス)を装着して高所を移動し、最後は特殊な滑車を使って地面に降りる遊びです。特徴としては森を森のまま活用できる商業施設であること。大規模な開発が不要なので、遊休森林や夏季のスキー場を有効利用するのに最適です」と田桑さんは説明します。

 このような森林アドベンチャーはヨーロッパやアメリカを中心に1990年代から広まりました。フランスには700ヶ所、ドイツには400ヶ所、アメリカには1000ヶ所以上もの森林アドベンチャーがあるそうです。

 また田桑さんは「パシフィックネットワーク社によるフォレストアドベンチャーのアウトドアパークはフランチャイズシステムです。ですから土地の所有者、事業者、運用者の組み合わせはさまざま。このようなフランチャイズは世界的にもあまり例がありません」とビジネス面での特徴について解説しました。

 「2006年にオープンしたときは1年間で1453人のお客様にご利用いただきました。2018年8月現在、運営する28ヶ所のフォレストアドベンチャーに47万人ものお客様にご利用いただいています。これまでの累計利用者数は242万人ですが、現在までに重大な事故は0件です」と田桑さんは話しました。常にリスクがある遊びであるにもかかわらず、大きな事故が起きていないということは、危機管理に対する意識の高さの現れと言えるでしょう。

パシフィックネットワーク社によるフォレストアドベンチャーのビジネスの特徴はフランチャイズシステムのアウトドアパークであること。土地の所有者、事業者、運用者の組み合わせはさまざま。このようなフランチャイズは世界的にもあまり例がない

フォレストアドベンチャー好調の理由とは?

 日本国内にも広まりつつあるフォレストアドベンチャーは、なぜここまで好調なのでしょうか。

 「先ほども申し上げたとおり、現在まで重大な事故が起きていません。実は各フランチャイズからヒヤリハット(重大な事故にはならなかったものの、事故になってもおかしくない事象)を吸い上げ、全体にフィードバックしているのです。これが高い安全実績の理由です。またパークの設置は規制の対象になりにくく、保安林でも作ることができます。投資と回収のバランスが良いのも大きな特徴です」と田桑さんは話し、「現代の人はスリルやアクティブだけでなく、自然を味わいたい、自然体験をしたいという欲求が少なからずあると思います。これもフォレストアドベンチャーがお客様に受け入れられている理由といえるでしょう」と続けました。

 またフォレストアドベンチャーを運営していくうちに、いろいろなサブコンテンツが生まれていると田桑さんは話します。

 「例えば木の上に小屋を作るツリーハウスは、フォレストアドベンチャーの特徴的なサブコンテンツといえます。パーク内の備品保管や事務所、受付などの機能性を重視したものや、イメージを重視して遊具の一部にツリーハウスを設けるなどの実績を通じて、ツリーハウスに関するノウハウが蓄積されています。このノウハウはフォレストアドベンチャー以外のビジネスにも活用しています」

 このように、単に施設を拡大するだけでなく、危機管理の情報共有やさまざまなノウハウの蓄積こそが、フォレストアドベンチャー好調の鍵を握っているようです。

フォレストアドベンチャーが数を増やしていくにつれ、派生する様々なサブコンテンツも生まれてきた。木の上に小屋を作るツリーハウスはその最たる例

次に期待できるのは「トレイルアドベンチャー」!

 また田桑さんはフォレストアドベンチャー以外にもさまざまなプロダクトについて説明してくれました。

 「フォレストアドベンチャー・モバイルコースという商品があります。その名の通り持ち運ぶことができる組み立て式のフォレストアドベンチャーです。屋内外問わず設置できますので、イベントやショッピングモールなどのアトラクションとしてご利用いただけます。また、モジュラーパンプトラックという、持ち運び可能なBMX(バイシクルモトクロス)のダートコースもプロダクトとして用意しています」

 さらにアドベンチャーパークの将来について、田桑さんは「今注目しているのはトレイルアドベンチャーです。ヨーロッパやアメリカでは、スキー場やリゾート地にマウンテンバイクトレイルを整備し、それを目玉にした誘客を行っている地域が多いのですが、日本には初心者でも楽しめるような整備されたマウンテンバイクトレイルがないのです。しかし潜在顧客は多く、マウンテンバイクツーリズムの可能性は大いに期待できます。マウンテンバイクを活用した地域活性プランにもなると思います」と話し、「日本には多くの自然資源があります。この自然資源とアウトドアアクティビティをかけ合わせ、多くのお客様にまた森に来てもらうこと、成功するアウトドアのビジネスモデルを作っていきたいと思います」と締めくくりました。

 日本国内でも地方に行けばまだまだ自然豊かな場所が数多くあります。この資源を活かし、共生していくことが、地域活性につながっていくのかもしれません。

「今注目しているのはトレイルアドベンチャーです。日本には初心者でも楽しめるような整備されたマウンテンバイクトレイルがないが潜在顧客は多く、マウンテンバイクツーリズムの可能性は大いに期待できます」(田桑さん)

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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