困難な時代に求められる"経営の本質"とは?/第1回「経営デザイン認証」認証式

経営の設計図を描き、「ありたい姿」に向けて経営を進化させていくこと

2018年12月25日
「日本経営品質賞」の活動を支える経営品質協議会により、今年度から新たに創設された「経営デザイン認証」。日本国内の企業やNPO などの組織が「経営をデザイン」することにより、生産性の改善・改革や事業承継の活性化がその目的です。
 「経営デザイン認証」は、「日本経営品質賞」の活動を支える経営品質協議会により、今年度から新たに創設された認証制度です。日本国内の企業やNPO などの組織が、「ありたい姿」「現在の環境認識」「変革課題」など経営の根幹となる部分を設計し「見える化」すること――「経営をデザイン」すること――により、生産性の改善・改革に取り組むことや事業承継を活性化することを、その目的としています。今回の記事では、記念すべき第1回の認証式の模様をレポートします。

経営品質協議会により、今年度から新たに創設された認証制度が「経営デザイン認証」だ。「経営をデザイン」することにより、生産性の改善・改革に取り組むことや事業承継を活性化することを、その目的としている

 12月14日、第1回「経営デザイン認証」の認証式が帝国ホテルで開催されました。

 認証式では、経営品質協議会代表の森田富治郎氏(第一生命保険特別顧問)が挨拶を行い、経営デザイン認証委員会共同委員長の片野坂真哉氏(ANAホールディングス社長)が審査を総括するとともに認証組織を発表。そして、認証組織を代表して楽天コミュニケーションズ代表取締役会長兼社長の平井康文氏と、セキュリティリサイクル研究所代表取締役社長の北村真氏が認証を受けての所感とこれからの展望を述べました。

"これからの経営設計図"を描くことの大切さ

経営品質協議会代表の森田富治郎氏(第一生命保険特別顧問)

 認証状授与に先立ち挨拶をしたのは、経営品質協議会代表の森田富治郎氏(第一生命保険特別顧問)です。

 事業承継がままならないという後継者不足、生産性上昇率の鈍化――。いま日本において数多くの組織が直面している困難についてから、話ははじまりました。

 困難を打開するためには、「いま一度、事業の魅力を掘り起こし、改善・改革・革新を通じて、付加価値の創造に取り組むことが不可欠」なのだと森田氏は力説しました。

 続けて、日本の経営環境をめぐる危惧を述べました。まず語られたのは国外の状況についてです。トランプ政権発足を機として保護主義の動きが強まり資本主義が大きな転換点を迎えている中で、「日本の企業組織も大きな横風を受ける可能性」があることを指摘しました。一方、国内に目を転じてみれば、企業の品質不正やガバナンスなどの問題が多発している状況があります。「これは経営者が現場を見きれていない、本質を見ていないために発生しているものだと、極めて深刻に受け止めている」(森田氏)。この様な状況であるからこそ、「横風を受けても倒れない強靭な経営体質づくり」が重要になってくるのだと、「経営デザイン認証」の意義について森田氏は強く説きました。

認証組織に期待する3つのこと

経営デザイン認証委員会共同委員長の片野坂真哉氏(ANAホールディングス社長)

 続いて、経営デザイン認証委員会共同委員長の片野坂真哉氏により、認証組織の発表が行われました。第1回の「経営デザイン認証」では、8組織が上位認証である「ランクアップ認証」(※1)を、1組織が「スタートアップ認証」(※2)を取得しました。
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※編注
1.「ランクアップ認証」/「ありたい姿」の達成に結びつく成果の指標、目標が見える化され、実践していると認められた企業を認証する
2.「スタートアップ認証」/「ありたい姿」「現在の環境認識」「変革課題」を組織として見える化できていると認められた企業を認証する
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 認証組織の発表とともに、審査総括として以下の3つの「認証組織へ期待すること」が述べられました。

 1つ目は「『これからの経営設計図』をしっかりと社内に浸透させること」。描いた「ありたい姿」を具現化していくためには、「一人ひとりが本当の意味で腹落ちして現場で行動すること」が不可欠となるからです。

 2つ目は「課題を解決するだけではなく、課題を創造するということ」。既に明るみに出て眼前にあらわれている課題に対応するだけではなく、「社会で何が課題となっているかということに気付く」という視点の重要性が説かれました。

 3つ目は「『お客さまは誰か』ということを深く理解すること」。「理念浸透経営」と、顧客の深い理解にもとづいた「真の顧客第一主義」が、本当に表現されているのか。それをいま一度見直しながら、顧客と接する中で得たものを深く経営に刻み込むこと。それが組織の魅力をより強めていくことにつながるのです。

認証は"終わり"ではなく、"旅"は続く

楽天コミュニケーションズ代表取締役会長兼社長 平井康文氏。同社は「ランクアップ認証」を取得した

 経営デザイン認証組織の代表者と経営デザイン認証委員、審査員による記念撮影をはさみ、認証組織を代表して、「ランクアップ認証」を取得した2組織の代表者が壇上に上がり、認証を受けるまでの過程や、認証を受けてのこれからの展望について話しました。

 最初に登壇したのは、楽天コミュニケーションズ代表取締役会長兼社長の平井康文氏です。楽天コミュニケーションズは、固定系通信サービスやモバイル、クラウドサービスなど様々なソリューションを提供する楽天グループのICT事業の会社。バイリンガル化された体制で世界各国から最先端の技術を導入し、業界初の様々なサービスをスピーディーに顧客に届けてきた実績と組織能力が評価されました。

「2016年12月から"クオリティージャーニー"という名のもとに、全マネージャーとパフォーマンスエクセレンスの果てしない旅を始めた」(平井氏)。今回の認証取得を「大変光栄なこと」と前置いた上で、「ジャーニーという名のごとく、これで終わりではなく引き続きデジタル化、イノベーションという軸足をもって、経営と事業の拡大、パフォーマンスエクセレンスの実現に向けて努力を続けたい」とこれからの展望を述べました。

「全員参加型経営」の第一歩

セキュリティリサイクル研究所の代表取締役社長 北村真氏。同社は「ランクアップ認証」を取得した

 続いて登壇したのは、セキュリティリサイクル研究所の代表取締役社長の北村真氏です。セキュリティサイクル研究所は、1996年に創業され、現在では約1000社に文書管理のサービスを提供している東京都の会社です。時代を先取りする文書管理サービスや、組織改革・従業員の働きがいへの取り組みなどが評価されました。

 今回作成した「これからの経営設計図」は、従業員のみならず、従業員の家族や取引先の銀行、ビジネスパートナーにも読んでもらったそうです。「それによって、社内の団結力・チームワーク、そして社外の方々の私たちの会社への協力体制が醸成されてきたと思っている」(北村氏)。しかし現在、せっかく作り上げたその「これからの経営設計図」を「取り壊しにかかっている」とのことです。「これは自分が作ったものなので、今度は全員で経営設計図の"バージョン2"を作っている。私たちの会社は『全員参加型経営』ということを経営理念に盛り込んでいるが、その第1歩になろうかと期待しながら取り組んでいるところだ」と述べ、挨拶を締めくくりました。
 「経営デザイン認証」が提唱すること、それは状況がもたらす変数に左右されることのない「普遍の経営の最適解」を求め実践していくことに他なりません。不確実性や多様性に満ちた時代、それに取り組む意義は非常に大きいと言えるのではないでしょうか。
(レポーター/HANJO HANJO編集部 藤川貴弘)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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