SNS時代だからこそ「食」を地域活性化の起爆剤に!

食の集客は破壊力が大きい/レジャージャパン2018

2018年12月21日
オンラインビジネスが活発となり、リアルにおけるレジャー産業が転換期にある中、「食」をフックにした誘客が注目を集めています。バーチャルでは得ることのできない「抜きん出た感動消費体験」が食にはあるからです。食を地域活性化へとつなげるにはどのような視点が必要なのでしょうか? 横濱カレーミュージアムを成功させたテーマパークプロデューサーの池澤守さんのセミナーからひもときます。
 テーマパークやライブ・演劇、レジャースポーツ産業を網羅した専門展「レジャージャパン2018」が2018年12月5~7日の期間、東京ビッグサイトで開催されました。

 「レジャージャパン2018」は、テーマパークやレジャー施設の開発・運営のため設備・サービスの専門展「テーマパークEXPO」、ライブハウス・劇場・ホール向けの設備・サービスの専門展「ライブ&シアターEXPO」、レジャースポーツ・アウトドア向け設備・機器・サービスの専門展「レジャー&アウトドアEXPO」の3つの展示会で構成され、合計150社以上が出展、来場者は3日間で18,902名を記録しました。

 各専門展のテーマに応じたセミナーも多数開催され、第一線で活躍している講師によりレジャー産業における最新トレンドのツボをおさえた講義が行われました。

 今回の記事では12月6日に開催されたセミナー「“食”のテーマパーク化の最新動向と地域活性化」(講師:池澤守さん/株式会社池澤守企画 代表取締役 テーマパークプロデューサー、全国やきとり連絡協議会 アドバイザー、にぎわい空間研究所 アドバイザー)より、食による地域活性化のヒントについてレポートします。

テーマパークプロデューサーのの池澤守さん。これまでに、「ナムコ・ナンジャタウン」や「横濱カレーミュージアム」「自由が丘スイーツフォレスト」等、話題の施設の企画プロデュースを手がけ成功させてきた

「食」こそリアルな消費体験

 オンラインビジネスが活発となり、リアルにおけるレジャー産業が転換期にある中、「食」を軸にしたビジネスを展開して成功を収めてきたのが講師の池澤守さんです。

 池澤さんは株式会社ナムコ出身。テーマパーク「ナムコ・ナンジャタウン」やフードテーマパーク「横濱カレーミュージアム」「自由が丘スイーツフォレスト」等、話題の施設の企画プロデュースを手がけ成功させた経歴の持ち主です。2015年より現職に就任し、テーマ型エンターテインメント空間の企画やプロデュース、コンサルティングを行っています。

 池澤さんは「これまではリアルな店舗同士の競合だったが、今はもっと強力なバーチャル(フリーミアムモデル、ソーシャル、モバイル)を相手にしなくてはならない厳しい時代です。フリーミアムとは、基本的なサービスを無料で提供し、場合によっては広告収入で支えつつ、特別な機能やカスタマイズされた付加価値サービスを無償で提供するというもの。そのフリーミアムモデルが増えたことにより、有料でしか提供することができないリアルには無料を凌駕する何かが求められます。直接会って、一緒に遊んでコミュニケーションを楽しむというレジャー消費のニーズは、ソーシャルネットワーク上で満たされています。また暇つぶしのキャッシュポイントはモバイルに奪われているため、わざわざ足を運びたくなるような魅力がリアルのレジャーには必要です」と、レジャー産業の現状について解説しました。

 リアルのレジャーに求められるのは、バーチャルでは得ることのできない「抜きん出た感動消費体験」。そのヒントが今回のテーマである「食」にあると池澤さんは強調します。

 池澤さんによると、今の若い人はSNSというバーチャルでつながりつつ、飲み会や女子会、旅行といった「食」を中心にしたリアルでもつながっているとのこと。したがって、食をテーマ化した企画を起こし、話題を創出して集客できれば、地域活性化へとつなげることも可能であると池澤さんは話しました。

フードテーマパークで実証された集客力

食は老若男女、趣味嗜好を問わず集客できるテーマ。一坪当たり年間2000~10000人集客できる食は破壊力が大きい

 それでは「食」には実際にどれくらいの集客力があるのでしょうか?

 池澤さんは自身が手がけてきた「横濱カレーミュージアム」と「ナンジャ餃子スタジアム」を事例として取り上げました。

 横濱カレーミュージアムは横浜・伊勢佐木町に作られた娯楽ビルの上階に、カレーの名店を集結させたフードテーマパークです(2007年閉館)。このスタイルはラスベガスのカジノにヒントを得たと池澤さんは話します。

 「ラスベガスでは、ホテルで集客しカジノにお金を落とさせています。食を使って集客し、娯楽施設で集金をする。それが横濱カレーミュージアムを作ったきっかけになっています」

 横濱カレーミュージアムはテレビや雑誌に取り上げられたことで一気に話題となり、初年度来場者は168万人を記録。また、プロムナード効果によって、地元商店街である伊勢佐木モールへ足を運ぶ人も前年比130%に達しました。これは食が娯楽になるフードエンターテインメント市場の創出と言えるでしょう。

 また「ナンジャ餃子スタジアム」は2000年頃低迷していた「ナムコ・ナンジャタウン」の集客のために作られたフードテーマパーク。日本各地のご当地餃子を集結させたことが大きな話題となり、前年度115万人だったナンジャタウンの来場者はオープン年度には197万人に増加、さらに翌年は230万人にまで増えたそうです。

 「食は老若男女、趣味嗜好を問わず集客できるテーマです。また面積あたりの集客力も高く、一坪当たり年間2000~10000人集客できます。これは大型テーマパークの数十~数百倍。それだけ食の集客は破壊力が大きいと言えます」

SNS時代こそ集客に食を活用すべし!

インスタ映えがトレンドの現在、食のおいしさよりも華やかさやインパクトが重視される

 ただし食のテーマパーク化にもトレンドがあります。2000年頃のフードテーマパークに始まり、B級グルメ、ショッピングセンターのフードコート充実や名店の誘致、食品メーカーのミュージアムやアンテナショップの登場、肉フェス、キャラクターカフェなど、時代の流れとともに食のトレンドは大きく変化しています。

 そして今はのトレンドはご存知の通り「インスタ映え」。普段あまりお金を使わない若者が、「インスタ映え」や「いいね」のためにお金も時間も使う時代です。食のおいしさよりも華やかさやインパクトを重視。どこかに出かけたついでに食の写真を撮るのではなく、「インスタ映え」する食を目的に出かける人が増えています。

 池澤さんはSNSの「いいね」のために必要なものが6つあると説明しました。「まずはインスタ映えメニューが生み出せるか否か、オシャレ・カラフル・大きい・意外などがキーワードになります。2つ目は肉フェスのような仲間とシェアして楽しめるライブな共感。3つ目は自分だけの食が楽しめるパーソナライズ。4つ目は漫画やアニメなどのキャラクター活用。5つ目は一つのジャンルにこだわること。ピーナッツ三昧で有名な木更津の道の駅・うまくたの里やワンカップ酒を集めた恵比寿のバーのような形態ですね。そして最後は熱心なファンに楽しんでもらい拡散してもらうアンバサダーマーケティング。これらがSNS時代の食に求められるものです」
 さらに今後はリアルとバーチャルを融合した「リバーチャル空間」が食の可能性を広げると見ている池澤さんは、最後に「遊びというのは飽きられます。常に驚きに挑戦しないと勝ち残れません。斬新さ、意外性、嬉しい驚きを次々と生み出し、食の力でリアルビジネスの活性化を仕掛けましょう」と締めくくりました。

 現在は食べること以上に「食」そのものが娯楽になっている時代です。時代の流れとともに移り変わる食のトレンドを読み取り、うまく自分のビジネスに取り込むことこそが、集客の可能性を大きく広げる起爆剤となるのではないでしょうか。

2018年12月5~7日の期間、東京ビッグサイトで開催された「レジャージャパン2018」。テーマパークやライブ・演劇、レジャースポーツ産業を網羅し、来場者は3日間で18,902名を記録した

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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