システム導入だけではうまくいかないデジタルマーケティング――その現状と問題点をレポート!

MAやDMPの導入、でもその前に/Japan IT Week 2018秋

2018年11月30日
MA(マーケティングオートメーション)やDMP(インターネット上のデータを管理するためのプラットフォーム)の導入を検討している企業が増えています。今回の記事では、「Japan IT Week」での講演から、業態の異なる三社によるデジタルマーケティングの現状や効果的な活用方法へのアイディアをピックアップします。

国内最大級のIT展示会「Japan IT Week 2018秋」。2018年10月24〜26日の期間、幕張メッセで開催された

 国内最大級のIT展示会「Japan IT Week 2018秋」が2018年10月24〜26日の期間、幕張メッセで開催されました。

 「Japan IT Week」は年3回開催される複数の展示会を合同開催するイベントで、今回はAI・業務自動化展など10の展示会が開催(AI・業務自動化展、店舗ITソリューション展、IoT/M2M展、通販ソリューション展、ビッグデータ活用展、データセンター展、モバイル活用展、Web&デジタルマーケティングEXPO、情報セキュリティEXPO、クラウド コンピューティングEXPO)。来場者数は3日間で53,212人を記録しました。

 イベント当日は出展企業によるブース展示や相談ブースのほか、様々なテーマでセミナーが開催。会場が満席となるセミナーも多く、注目度の高さがうかがえました。

 今回の記事では、10月25日に開催されたセミナーの中から「デジタルマーケティング最新動向」をテーマに、マーケティングオートメーションやデータドリブンマーケティングの最新事情についてレポートします。

売上げを向上させるための営業のデジタル化とは?

 最初に登壇した福田康隆さんは、米国セールスフォース・ドットコムに入社し、日本市場におけるオペレーションを担当後、05年に日本法人に着任。専務執行役員兼シニアバイスプレジデントとして日本市場における成長を牽引してきました。2014年6月よりマルケト日本法人の代表取締役社長に就任。マルケトの日本市場進出を成功に導き、2017年10月よりアジア太平洋日本地域担当プレジデントを務めています。

 福田さんは、「営業の立場からみたマーケティング」をテーマに話を進めました。これまでの業務経験を元に、リード(見込み顧客)の獲得から注文の獲得、失注した顧客への再アプローチまで含めた営業プロセスの全体像の説明を交えながら、SFA(営業支援システム)やMA(マーケティングオートメーション)といったアメリカで始まり世界中に展開していった営業・マーケティングを効率化する仕組みについて紹介しました。

 「経営者が売上げをどうやって向上させるかを見ているのに対して、担当者はどのような施策を打つかという枝葉の議論をしているケースが多い」とデジタルマーケティングの現状を分析し、営業プロセスの全体像をしっかりと設計すること、そのプロセスを効率化・自動化するためにSFAやMAといったシステムを導入するべきだという問題提起に多くの聴衆が頷いていました。

10月25日に開催されたセミナー「デジタルマーケティング最新動向」。マーケティングオートメーションやデータドリブンマーケティングの最新事情が語られた

マーケティングの視野を広げるための“生活者発想”

 続いて登壇した安藤元博さんは、博報堂の執行役員として博報堂DYグループの“生活者データドリブン”マーケティングの中核推進組織を率いています。

 安藤さんからは「データドリブンマーケティングの全体像」として、マーケティングは会社の売上の向上を目指すものなので、自社サービスの顧客から得られるデータだけ分析しても不十分であること、さまざまなデータを集めて組み合わせ使う必要があるという指摘がありました。

 さらに、長期的な売上げ向上を考えるためには、自社サービスと直接競合する類似サービスだけを見ていては不十分であり、ユーザーの日々の生活をイメージする「生活者発想」の重要性を強調しました。「生活者」が日々どのようなことを考えているかを想像することで、自社サービスの潜在的な顧客にリーチできる効果的なマーケティングができるというのです。

Web&デジタルマーケティングEXPOも同時開催。この分野の注目度がうかがえる

あなたの会社はデータを使いこなせているのか?

 最後に登壇した石黒不二代さんは、ネットイヤーグループ株式会社の代表取締役社長兼CEOであり、現在、内閣官房「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」本部員、経済産業省「産業構造審議会」の委員も務めています。

 まず冒頭で、「データ活用のために導入されたDMP(データマネジメントプラットフォーム)をうまく活用できていない企業が多い」と、デジタルマーケティング導入企業の多くが抱える本質的な問題点を指摘しました。

 次に例をあげて語ったのは、開発面で工夫をして商品やサービスに組み入れる「グロースハック」を早い段階で行う重要性についてです。ツイッター(登録時に5人フォローさせることで離脱を防げる)、ドロップボックス(友人から紹介されたユーザーの方が継続利用率は高いので、紹介キャンペーンを強化できる)といった実例から読み取れるのは、開発段階からデータ分析を基に効果の大きい施策を見極め実装し、多くのユーザー数を確保した後に初めて細かいニーズに応えるためのデータ活用を行うことであり、PDCAサイクルを継続的に回すことを推奨しました。

 データ活用の事例では、ユーザーの行動履歴を細かく分析する重要性を強調。新作が出たらとりあえず購入するケースが多い顧客にはプッシュ通知をする、ネットショッピングで気になる商品をとりあえずカートに入れる顧客には、カートに入れた商品を繰り返しショッピングのページに表示して購買を促すなど、ユーザーの細かな癖を把握してそれを考慮した施策を打つべきだと語りました。

広いセミナー会場は満席。デジタルマーケティングへの問題意識と取り組みへの真剣なまなざしが印象的だ

 今回のセミナーでは、業態の異なる三社からのテーマ設定をもとに、デジタルマーケティングの現状および効果的な活用方法へのアイディアが提供されました。MAやDMPのシステム導入を検討している企業は、いま一度自社の状況を振り返り、先に手を打つべきことがないか見直してみる必要がありそうです。
(レポーター/HANJO HANJO編集部)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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