「水素水」をもっと日本の企業、事業所へ!〜 ウォーターライフケアという新発想

水素水を広く安価に提供するサーバー、開発秘話/ドクターズ・マン

2018年10月9日
昨年、東京都健康長寿医療センター研究所がガイドライン「健康長寿のための12か条」を発表しました。そのエビエンスブックでとりあげられたもののひとつが「水素水」です。病気の予防領域において水素の有効性が認められつつあることで、今、その存在に改めて光が当たっています。今回、紹介するのは、水素を安く簡単に提供する装置、水素水サーバーを開発・販売する「株式会社 ドクターズ・マン」です。

株式会社ドクターズ・マン 代表取締役の橋本総さん。病気の予防領域において有効性が認められつつある水素。ドクターズ・マンは「水素水」という今後、拡大が見込まれているジャンルに特化したビジネスを展開している

昨年、東京都健康長寿医療センター研究所がガイドライン「健康長寿のための12か条」を発表しました。そのエビエンスブックでとりあげられたもののひとつが「水素水」です。一時、マイナスイメージがつき業界全体が低迷しましたが、病気の予防領域において水素の有効性が認められつつあることで、その存在に改めて光が当たっています。今回、紹介するのは、水素を安く簡単に提供する装置、水素水サーバーを開発・販売する「株式会社 ドクターズ・マン」です。何もないところから始まった水素水サーバーの開発、そこには予想を超えるスケジュールや大幅に膨らむ開発費が・・・。ドクターズ・マンはその困難をいかに乗り越えてきたのでしょうか? 代表取締役の橋本総さんに話を聞きます。

水素水サーバー、まったくのゼロからの開発

ドクターズ・マンが独自に開発した業務用水素水サーバー。バブリング方式では業界唯一の特許を取得している

ーードクターズ・マンは「水素水」という今後、拡大が見込まれているジャンルに特化したビジネスを展開しています。

今年で14年目に入りました。昨年からを第二創業期と位置づけ、新たな気持ちでいます。

ーー水素水になぜ注目したのですか。

設立当初は医療法人による付帯施設事業のコンサルティングがメイン事業でした。

一般に「42条施設」と呼ばれているのですが、医療法の第42条に医療法人が併設していい付帯施設が定められています。疾病予防のために有酸素運動や筋力トレーニングなどをおこなう施設、例えばフィットネスクラブや温泉療法施設、老人ホームなどがこれにあたります。簡単にいうと治療だけでなく、その前段階として地域の皆さんのための予防療法施設は運営してもいいということです。

大学を出て銀行に勤めました。浜松町で外回りをしていたときに、実際に42条施設を運営している医療法人を担当していたんです。でもうまくいっている先生が少ない。志は素晴らしいんですが、経営としては難しい状況でした。そういう方々を手助けする商売にチャレンジしよう!という思いで独立、ドクターズ・マンを起業しました。

アメリカでは「メディカルフィットネス」という、医療機関による予防施設が当たり前のものとしてあります。当時私が考えたのは「日本でもやがて、フィットネスクラブを病院が運営する時代が来るだろう」ということでした。

ーーメディカルフィットネスクラブから水素水へ、その流れはどのように生まれたのですか。

病院の先生の話をうかがいながら施設をかたちにしていきました。その時、ある先生から「水素は健康の切り札になる」といわれたんです。

水素を体内に取り込む手段としては、直接吸引や点滴に入れるといった方法があります。つまり水である必要はありません。そこで考えるべきは「水素をいかに日常的に安く提供できるか」です。となるとやはり水に溶存させて経口投与するのが一番いいわけです。

当時、国内ではすでにアルミパウチや缶入りの水素水は発売されていましたが、まだ水素水は認知されておらず、高いものでした。じゃあ、水素水を安く飲める仕組みをつくろう! と行動を開始しました。

ーーまったくのゼロからの仕組みづくりだった?

水素には抗アレルギー、抗炎症、抗酸化作用の力があります。それを自分の心のエビデンスとして挑戦しました。当時主流だった缶入りの水素水ですが、問題が二つありました。ひとつは高いこと。1ml=1円、500mlだと500円もします。そしてもうひとつは、開封すると水素が抜けていくということ。ちょっとずつ飲むのがいいのですが、一回開けると水素は抜けてしまうんです。あるいは500mlをいっきに飲みましょうといっても水素は飲みだめができません。

そこで「つくりたての水素水を提供する機械」と「水素が抜けにくい容器」があれば、誰もが安く水素水を飲める! と考えたんです。理系でもない私の机上の空論から、水素水サーバーづくりがスタートしました。

(左)水素濃度を維持するために開発した水素水専用容器「H2-BAG」 (右)業界初の水素水タンクを搭載した水素水ステーション「DAYS」。個人・店舗・オフィスなどで水素ガスを安全かつ簡単に扱える

医療における予防領域、そのお手伝いをしたい

ーー何から手をつけたのですか?

水素水サーバーは世界中どこにもありませんでした。つくってくれる会社もありません。死に物狂いで可能性を探りました。清涼飲料水のドリンクサーバーと技術や構造は同じだから難しくないだろうと思って、試したりもしました。しかし水素ガスをただ混ぜるだけなのに、相当のノウハウがいることに気づかされました。直接、機械工場を訪問したり、世界中の情報を集めましたが、なかなか前に進みませんでした。

最終的には、既存のウォーターサーバーを改良する方法にたどり着いたのです。そこから道が開けました。水素水サーバー用に改良するための技術開発に時間とお金をかけました。完成までに5年、そして4,000万円以上の債務超過になり、経営的には危機的な領域に突入していました。

1号機は病院に置かせていただきました。ただ、量産という流れはなく、経営状況はまずいままでした。しかし運命的な出会いがあって、多店舗展開の大きなフィットネスクラブさんからお声がけいただき、25店舗に一斉導入させていただくことができました。ようやく光明が見え始めたのです。それを皮切りににフィットネスクラブ業界とつながって、水素水サーバーのメーカーとしての会社となることができたのです。

ーー5年目でようやく会社としての基盤が確立したわけですね。

経営面では困難を乗り越えられましたが、創業時の思いはいつも胸の内にありました。医療業界のお手伝いをしたい。水素水を普及させることで社会貢献をしたい。事業目的を明確にして社員と共有したい。それが私の思いでした。水素水が社会インフラとして将来、日本の全ての会社、全ての事業所にあるようにしたい。水素水を日常的に飲める環境をつくることが私たちの使命と決めていたのです。

ーー会社名はドクターズ・マンです。

医療機関に携わるひとの心の中にある「予防領域」、そのお手伝いをしたいという意味を込め「ドクターズ・マン(Doctors Man)」としました。会社のロゴに使っている「h」という文字は「ヘルス」と「ヒューマン」を表しています。

(左)創業10周年を記念して作ったポスター(創業は05年)。創業の地であるたまプラーザの外景が描かれている (右)会社名の「ドクターズ・マン(Doctors Man)」は、医療機関に携わるひとの心の中にある「予防領域」、そのお手伝いをしたいという意味を込めた。ロゴにある「h」は「ヘルス」と「ヒューマン」を表している

ーー昨年、東京都健康長寿医療センター研究所による「健康長寿のための12か条」のエビデンスブックでは、水素水がとりあげられました。

「健康長寿のための12か条」は、東京都が「日本は健康長寿の社会である」ために策定したガイドラインです。エビデンスブックがあり、そこに水素水についての記載があります。サプリなどの健康食品の知識や正しい利用法と並んで、パーキンソン病やアルツハイマーの予防として水素水の有効性に言及しています。

「12か条」を読んですぐ、エビデンスブックを自主的に同業者に配りまくりました。厚生労働省も水素による治療を先進医療に認定しています。予防領域における水素水の価値が認められようとしているのに、残念なことに業界全体が気づいていないんです。おととし、国民生活センターでの商品テストで水素水は否定的に伝えられ、マーケットががくんと落ちました。プレイヤーも6割もいなくなってしまいました。ひどい売り方をしていた会社があったことは確かですが、逆に淘汰されたことで業界がより健全になり、目的も明確化されました。今回の12か条をきっかけにようやく回復期に向かえそうです。

経営方針は「年功序列、終身雇用」

ーー大学を出てすぐはサラリーマンとして銀行勤めでした。

橋本家はもともと岐阜にルーツがあります。父方は木材問屋を戦前からやっていました。母方は繊維業を営んでいて、「ガチャ万」(織機をガチャンと織れば万の金が儲かる)の時代だったと聞いています。なんとなくですが「自分で商売をやりたい」という血が流れていたのだと思います。10年でサラリーマン生活に区切りをつけて、起業しました。

ーーホームページの経営理念のコーナーでは筆文字で「感謝」「心」「志」の3つが力強く書かれています。

戦争のない日本で、やったもん勝ちの日本で、生きているだけでももうけものです。社員には「幸せだ」という思いを爆発させてほしいと思っています。仕事が楽しかったら人生はめちゃくちゃ楽しい。だから社員にとって何が得意なのか、あるいは何が好きなのかを探してあげたい。社員採用の時も「機械の知識がなくてもがんばれる力があればそれでいい」といっています。うちの若い社員のほとんどが入社後に電気の資格をとっています。勉強して自信がつけば得意になるし、得意になればまた好きになるわけですから。

「生きているだけでももうけものの日本。社員には『幸せだ』という思いを爆発させてほしいと思っています」(橋本さん)

ーー経営方針は「年功序列、終身雇用」。ベンチャーとしては珍しいですね。

いやいや、これは絶対です。戦後日本の高度成長期の強さと現代のひ弱さを考えると、そこにはひとの心の力が大きく関係していると思うのです。ひとのもつ本来の力がいま、失われつつあるのではないでしょうか。同じ釜の飯を食って同じ時間を共有しなければ、会社は絶対に強くなりません。終身雇用、年功序列というシンプルなやり方を、皆さんなぜ採らないのかと思います。もちろん社員のあいだで能力に違いはあります。でも凸凹を皆で助け合えば全体で強くなれる。「苦しみは薄めて、喜びは皆で」の精神です。社員には「金のことと家族のことは常に相談しなさい」と伝えています。「金と健康」は社員全員と私との約束です。

ーー社長になって14年。リーダーとして自分に課していることは何ですか。

会社で一番頑張ることだと思っています。無理しているわけではなく、頑張ることは楽しいですし、仕事が充実すると休みも人生も充実することを知っているからです。

ーー最近では海外にも事業展開していますね。

海外からの問い合わせが多くなりました。ロシア、ドイツ、中国、タイ、ベトナムといった国々です。今年の5月に初めて中国の展示会に出展しました。会ってすぐに300台の発注をいただくなど、反応はすごくよかったです。しかし私たちの所期の目的は、会社、事業所を中心にして、日本に水素水を行き渡らせることです。まだ啓蒙段階の状態ですから、予防領域で「水素はこんなにいい」ということを国内でもっと伝えていきたいと思っています。

経営方針は「年功序列、終身雇用」。「同じ釜の飯を食って同じ時間を共有しなければ、会社は絶対に強くなりません」(橋本さん)

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執筆者: 加藤陽之 - HANJO HANJO 編集長
コンピュータ関連の出版社からキャリアを始め、カルチャー雑誌などの編集長を歴任。これまで数多くの著名人をインタビューしてきた経験を活かし、HANJO HANJOでは中小企業経営者の深く掘り下げた話を引き出し続ける取材の日々。

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