POS革命から顧客革命へ。「失われた30年」を一気に取り戻せ!

「トレタ」が目指す飲食店の常連革命/外食ビジネスウィーク

2018年9月20日
なぜ外食産業の生産性は上がらないのでしょうか? それはイノベーションが起きていないことが原因です。1970年から85年頃にかけてはPOSレジというイノベーションが起きたことにより、飲食業は大きく成長しました。この「POS革命」以降飲食業の店舗運営には何のイノベーションも起きていません。いま必要なのは、業界のアップデートにあたる「顧客革命」をITやテクノロジーの力で実現することです。
 外食産業向けの飲食料品・設備・サービスが一堂に集結する商談展示会「外食ビジネスウィーク」が2018年8月28〜30日の期間、東京ビッグサイトで開催されました。

 今回の「外食ビジネスウィーク」では7つの専門展が開催され、飲食店経営者や開業予定者、バイヤーなどの業界関係者が多数来場。トレンド発信や需要想起の場として大きな期待が寄せられていることがうかがえる盛況ぶりでした。

 また利益拡大や集客力アップなどのノウハウやスキルが満載のセミナーも多数開催され、課題解決のヒントを求めて多数の聴講者が訪れました。

 今回の記事では8月29日に開催されたセミナー「「トレタ」が目指す飲食店の常連革命
テクノロジーを活用した新しい集客のあり方とは?」(中村仁さん/株式会社トレタ代表取締役)より、飲食店の常連客を増やすための方法についてレポートします。

株式会社トレタ代表取締役 中村仁さん。立ち飲みブームのきっかけとなった「西麻布 壌」、とんかつ「豚組」など繁盛店を経営。2013年には株式会社トレタを設立、iPad用の予約台帳アプリ「トレタ」をリリースしている

なぜ外食産業の生産性は上がらないのか?

 中村さんはパナソニック、広告代理店勤務を経て2000年に飲食店を開業し、立ち飲みブームのきっかけとなった「西麻布 壌」、とんかつ「豚組」、豚しゃぶ「豚組しゃぶ庵」など繁盛店を経営。特に「豚組」はツイッターを活用した集客の先駆けとして2010年の外食アワードを受賞しました。また2013年には株式会社トレタを設立、現在は同社の代表取締役としてiPad用の予約台帳アプリ「トレタ」をリリースしているほか、飲食店向けのセミナー講師なども勤めています。

 まず中村さんは「外食産業というのは非常に大きな雇用を生んでいるが、実際のところほとんど儲かっていない業界である」と、現在の外食産業が抱えている生産性の低さについてデータを用いて説明しました。

 なぜ外食産業の生産性は上がらないのでしょうか。中村さんによるとイノベーションが起きていないことが原因だということです。外食産業が非常に元気だった時代、1970年から85年頃にかけてはPOSレジの発明というイノベーションが起きたことにより、飲食業が一つの産業として大きく成長しました。現在も大企業と呼ばれるファミリーレストランや居酒屋などのチェーン店が続々と出てきたのもこの時期にあたります。

 この時期を「POS革命」と呼んでいますが、これ以降飲食業の店舗運営という観点で見ると何のイノベーションも起きていないと中村さんは指摘しています。たしかにインターネットやスマートフォンが登場し世の中のスピードはどんどん上がっているにもかかわらず、飲食店の現場ではFAXによる発注や紙の台帳による予約管理など80年代と変わっていないところが多々あります。これでは世の中の流れに太刀打ちできないので大量の人材を投入し、結果として長時間労働・ブラック化せざるを得ないと中村さんは見ています。

 そこで中村さんはPOS革命のあとの「失われた30年」を一気に取り戻すような、業界のアップデートにあたる「顧客革命」をITやテクノロジーの力を使ってやろうとしているのです。

POS革命のあとの「失われた30年」を一気に取り戻す「顧客革命」。ITやテクノロジーの力で業界をアップデートすることがいま、求められている

リピーターを増やすために〜「商品の時代」から「関係性の時代」へ〜

 中村さんの言う「顧客革命」とは顧客との関係性を重視する「関係性の時代」を作ることです。

 これまでのPOSの時代は要するに「商品の時代」であり、メニューや空間、接客などの商品を差別化することで伸びてきた時代であると中村さんは話します。つまり消費者のニーズや行動、例えば「外食したい」が「肉が食べたい」になり、さらに「○○産A5ランクの和牛が食べたい」と、どんどん細分化されることにより、飲食店の業態もニッチ化が進んでいききました。

 この「商品の時代」においては業態開発が一番重要であり、いかに斬新なものを提供するかというある種のクリエイティビティが、飲食業界での成功条件の一つとなっていました。しかしニッチ化を進め続けた結果、すでにこれ以上細分化できないというところまで来ています。またこういった商品につられてくるのは基本的に新しもの好きの新規顧客がメインであり、一度商品を消費したからといって次回も来てくれる保証はなく、常に新規顧客を集めるための業態開発を進めなくてはなりません。

 しかし「関係性の時代」ではこれまでの業態開発に対して、顧客体験を開発することに重点を置いています。例えば近年よく耳にするフェアトレード。フェアトレードそのものは顧客にとって付加価値をもたらすものではありませんが、フェアトレードを評価する顧客が増えれば、それはお店の持つ価値観やストーリーに共感する顧客が増えているということです。味やサービスといった商品よりも、お店と顧客とのつながりや関係性を重視する。これが「関係性の時代」だと中村さんは説明します。

 「したがって集客に関しての考え方も変わります。これまでの集客は新規集客と同義の認識でしたが、これからの集客はリピーター作りになります。またお店に来てもらう、これこそが本当の集客という考え方に変わっていくはずです」

お客様が再来店する確率は、来店3回目までにほぼ決まってしまう。いかに早い段階でお店側が顧客の存在を認識し、精度の高い接客対応を実現できるかがポイントとなる

ツールの導入で顧客革命を加速せよ!

 ところでリピーターというのはどのように生まれるのでしょうか。中村さんによると再来店する確率は、来店3回目までにほぼ決まってしまうそうです。したがって、いかに早い段階でお店側が顧客の存在を認識し、精度の高い接客対応を実現できるかがポイントとなります。しかしながら現場では来店2〜3回目の顧客を認識するのは難しいというのが現状です。

 そこでリピーターをきちんと獲得するために、中村さんは自社の製品であるiPadアプリ「トレタ」の導入を提案しています。「トレタ」は予約台帳アプリですが、予約管理だけでなく顧客管理もできるのが大きな特徴です。

「ずっと来ていただくお客様になってもらうために今日何ができるか? という姿勢でお客様との関係性を作っていく必要があります」(中村さん)

 中村さんは「トレタ」を導入することによって、大きく3つのステップで収益が改善すると説明します。まずはアナログ作業のコスト削減、そして機会損失の低減、最後に顧客データによる売上アップの3ステップです。

 これまでの紙ベースで管理していた予約台帳や売上情報をデータベース化することにより、そこに費やしていた時間やコストを削減することができます。またウェブ予約機能を備えているので営業時間外の予約が入っても取りこぼすことがありません。そして顧客情報をデータベース化しておくことにより、「その顧客が前回いつ来店し、今回は何回目なのか」「どんなアレルギーがあるか」などの情報を蓄積・参照することが可能となります。これにより個々の顧客に合わせたきめ細かいサービス、例えば「前回と同じでお願いします」という顧客からの要望にも簡単に応えることができるというわけです。

 「これまでの接客は今日満足してくれればリピートしてくれるはずだから、今日の接客だけをがんばろうという姿勢でした。しかしこれからは、ずっと来ていただくお客様になってもらうために今日何ができるか? という姿勢でお客様との関係性を作っていく必要があります。お店づくりに関しても業態をパッケージで作って終わりではなく、お客様との関係性を含めてお店というのは育っていくという考え方を持たないといけないということになります」

 繁盛する飲食店の条件が商品から顧客体験へとシフトしている今、顧客情報をきちんと管理することは今後避けることができない流れです。「トレタ」のようなITツールを取り入れることは、大きな差別化につながると言えそうです。

8月28〜30日の期間、東京ビッグサイトで開催された「外食ビジネスウィーク」。外食産業向けの飲食料品・設備・サービスが一堂に集結した

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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