中小企業の生命保険活用法! 

2018年9月12日
中小企業経営者で生命保険について理解しているかたは意外と多くありません。今回はそんな保険の入り方についてです。

 中小企業経営者で生命保険の入り方について理解しているかたは意外と多くありません。今回は保険について少しお話をさせていただきます。
 
 一番に認識すべきなのは、保険は「金融商品」であるということです。法人加入の法人保険は、特に金融商品としての役割が非常に大きいことが前提になります。
 
 テレビをつけると、生命保険CMが色々な商品を勧めてきますが・・・

 保険に入るその前に人間ドックを毎年受けることが実は最も重要です。中小企業にとって一番重大な役割をもつ経営者が健康を害していると会社が立ちいかなくなるからです。

 自動車には車検制度があり、皆さんも自動車をしっかり車検を通すことでメンテナンスしているはずです。中小企業にとって経営者は大事な大事なエンジンです、そのエンジンが動かなくなると考えるだけでも恐ろしくなります。「人間ドックの費用がもったいない」などといっていると、取り返しのつかない事態を引き起こしかねません。
 
 話がそれました。生命保険に話を戻しましょう。
 
 まず、会社ではなく経営者個人の保険についてから始めてください。保険をかけることによって、現在の自己貯金でまかなえないリスクを、お金の面で万が一に備えるという使い方をすべきです。そうすることで身内に迷惑をかけることを回避するのです。(そう考えると、だれも扶養していない新卒の会社員が高額の死亡保険にはいる必要なんて本当はないのです。)
 
 周りの人々にとって金銭的に最も重くのしかかるのは、寝たきりになることだと思います。言い方は何ですが、ぽっくり逝ってしまえば必要なのは葬式費用ぐらです。

 寝たきりのリスクとして高いのが三大疾病とよくいわれます、そのため入院保険等で三大疾病に対応できるものについては加入しておくことが必要です、掛け捨て型で十分だと思います。(保険料が割高な貯蓄型や健康お祝い金が出るようなタイプはお勧めしません。)
 
 死亡保険を考える場合は、ご家族に借入が残らないように住宅ローン等の借入をおこし、保険で不慮の事態をカバーするのがいいと、私はよくアドバイスをしています。(実は住宅ローンの裏側には死亡保険がセットされていることが多く、契約者の死亡で借入が全額保険でカバーされている場合も多くあります。)
 
 では、会社としての保険加入はどうすればいいのでしょうか。ここでは、会社の資産づくりや節税といったように個人の保険とは全く別の考え方が必要になってきます。

 会社でどうしても保険に入っておかないといけない理由ってなんでしょう?

 保険をかけることがビジネスを回す手段のひとつになっている会社はありません。保険に入っておかないといけない理由って実はないのでは? とも思えてきます。

 とはいえ、将来発生する役員への退職金手当や経営者の不慮の事故等のリスクに備えるために保険を考えることは決して悪いことではありません。
 
 会社として借入をおこしたら、是非、同額の貯蓄型保険への加入を考えてください。借入をおこして新規投資をする初期段階では、仮に借入した経営者にもしもの事態が生じたら借入負担が大きなリスクになります。

 借入返済が進み、事業拡大で従業員も多くなると、その責任も大きくなります。借入に対するリスクは軽減していますが、その他のリスクは増えているでしょう。しかし保険でカバーできている余力もありますし、保険積立金が積み上がり、それを会社の資産形成として考えることもできるようになります。
 
 役員の退職金手当のために保険を使う場合には、月々積み立てる代わりに別に保険を積み立てるので、金融商品としての役割が大きくなります。保険料が高い安いではなく、ご自身が退職して退職金を受け取りたい年齢前後に最大の返戻率のある商品にするのが一番合理的です。それはお付き合いや人的関係で決めるものではありません。

 節税効果という話もよく耳にします。しかし保険を解約した際には解約金に税金が発生します。同時に退職金等の支払で税金が発生しないようにしっかりと計画する必要があります。そうしないと「こんなはずじゃなかったのに・・・」ということになりかねません。
 
 保険を契約する際には、毎期の節税の効果、経営者自身の退職時の報奨金、会社の長期計画までのスケジュール等を、ぜひしっかりと計画してください。

★おすすめ記事

  • 経営は、毎日、毎月、コツコツと。

    経営者が現場で陣頭指揮を取り、肌感覚で対応できるのは成長前の初期段階だけです。会社が成長するにつれ、経営者は日々の数字を確認していくことが求められます。

  • 会計ってなんだろう?

    4月から新年度の企業さんも多いかと思います。これを機に「会計ってなんなんだろう?」をあらためて考えてみてはいかがでしょうか。

執筆者: 李 日生 - プレジデントタイム株式会社 代表
慶應義塾大学経済学部卒業後、公認会計士試験合格、監査法人トーマツ国際部に入社・配属。国際企業(商社・通信事業会社・運輸会社等)の連結会計やM&Aを担当、中小企業の経営コンサルティングも数百社経験する。現在はプレジデントタイム株式会社、神宮前アカウンティングファーム株式会社、株式会社H HOLINGS、有限会社ルーベ、神宮前会計を主宰。会計・税務・経営・飲食・不動産等、実際の経営者として代表取締役視点で多岐に及ぶ経験を重ねている(「頭でっかちの机上の空論が大っ嫌い」を自認)。近刊に『忙しい社長を救う経理改革の教科書』(幻冬舎)がある。

コラム新着記事

  • TVドラマ「きのう何食べた?」 性的マイノリティともし同僚や友達だったら・・・

    近年、性的マイノリティを主人公にした作品が、世界中で作られるようになってきています。テレビ東京の『きのう何食べた?』もまた男性カップルの日常を描いたドラマです。自分がもしも性的マイノリティの同僚や家族、あるいは友人だったら、どういう距離感で接するべきか? を常に考えさせてくれるのが、本作の魅力です。

    2019年5月24日

    コラム

  • 斜めから見る〜今月の一冊 ⑧『昭和ノスタルジー解体ーー「懐かしさ」はどう作られたのか』

    前回の改元や世紀がわりのビジネスチャンスには上手くやれていた「ノスタルジー需要コンテンツ戦争」。改元からひと月も経っていないのに“過去形”で言うのは、負けが確定したからです。「すべての世代が当事者」のノスタルジー市場のなかで、今次どうして負けたのか? 今回紹介するのは、その分析用そして今後の戦略策定用の参考資料としての一冊です。

    2019年5月17日

    コラム

  • 株式会社シンカができるまで Vol.1 〜ベンチャーはこうして世に羽ばたく〜

    株式会社シンカ・江尻高宏さんの連載、今回からはシリーズとして会社創業時から現在にいたる汗と涙の道のりを振り返ります。何が成功を導いてくれたのか? 何が足りなかったのか? どんな出会いがあったのか? どんな発想で切り抜けたのか?・・・ベンチャー企業創業者だからこそ語ることのできるリアルストーリーです。

    2019年5月9日

    コラム

  • NHK大河「いだてん~東京オリムピック噺~」 失敗から後続の人々は学び、次の時代へと進む

    オリンピックと日本人の関わりを描いた大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK)。戦国時代でも幕末でもなく、明治末から昭和にかけての日本を描く、とても画期的な挑戦です。誰かが最初に始めたからこそ道は生まれる。失敗から後続の人々は学び、次の時代へと進んでいきます。オリンピックを通して脚本の宮藤官九郎が描こうとしているのは、引き継ぎの連鎖なのです。

    2019年4月26日

    コラム

  • 「損して得取れ」のすすめ

    スタートアップで成長できている会社、継続できている会社の特徴は何なのでしょうか? これまでに数百の中小企業を見てきた李日生さんが、経験に基づいて検証します。

    2019年4月22日

    コラム

  • 在留外国人300万人時代!先進例に学ぶ、多文化共生のまちづくり(愛知県豊橋市)

    2018年末現在、日本に在留する外国人は273万人、前年比約17万人(6.6%)増で過去最高を記録。6年間で約71万人増加しました。今年4月の改正出入国管理法施行により、今後5年間で最大約35万人が増加すると見込まれていますが、このペースでいけば、2年を待たずに300万人を突破する可能性もあります。今後、多様な国や地域の人々とどう共生していくのか、日本社会のあり方が問われています。水津陽子さんの今回のコラムでは、人口の約5%を占める外国人住民との多文化共生のまちづくりに取り組む先進地にフォーカス。今後あるべき地域と外国人との関わり、多文化との共生について考えます。

    2019年4月15日

    コラム

  • 会話における必要な“非効率”

    デジタルはあらゆるものを効率化しました。しかし、心理学の「ザイアンスの定理」は「相手の人間的な側面が見えると感情が深まる」と述べています。人と人のつながりで進めていくのがビジネスだとするなら、つながりを深めるために、会話にはある程度の“非効率”が必要なのです。

    2019年4月8日

    コラム

  • 中堅・中小企業向け求人広告「中間管理職劇場 〇〇の女」はじまる!

    「女性の管理職が活躍している会社は、働きやすい会社」――HANJO HANJOで様々な中堅・中小企業を取材していて強く感じたことのひとつです。そんな女性管理職にスポットあてることで、新卒・第二新卒に向けた新しいタイプの求人広告が就活サイト・キャリタス就活2020内にて今日からはじまります。

    2019年3月18日

    コラム