もうインバウンド集客で悩まない!

訪日観光客を5年で40倍にした自治体もやっている、動画プロモーションの始め方【第1回】

2018年9月7日
インバウンドが増え続けています。全国の地方自治体やDMOなどの関係機関は、幅広い地域からの訪日外国人客を誘致するためにウェブサイトの外国語対応や、集客のためのプロモーションなど、情報発信に追われているはず。新連載では、訪日外国人に対して情報発信をしたいが、有効な手段が分からないというインバウンドマーケティング担当者のために、「今だからこそ実施すべき、動画広告のゼロから100まで」を、分かりやすくハウツーでご紹介していきします。

Who、誰に向けて情報発信するのか?(ターゲット)

 誰に向けて情報発信するのかは、上記のWhat(広告目的)と同じくらい慎重に考える必要がある。とはいえ、上記のリストの(カッコ)にあるように、実は、Whatが定まれば、自ずとWhoも決まる。冒頭の繰り返しになるが、デジタル動画広告の特徴は双方向通信にあるため、ターゲットさえ明確であれば、海外含め、情報を届けたいユーザーだけに狙いを定めた広告配信が可能である。ターゲティング手法については、話をシンプルにするために大きく分類すると、2種類あると考えていい。

① ユーザーをターゲットにしたもの(オーディエンスターゲティング)
② サイト(広告の掲載面)をターゲットにしたもの(コンテクスチュアルターゲティング)

 例えば、最近インバウンドマーケティングにおいて広告主様から最も多く依頼を受けるターゲットの与件として、「旅行先としての日本に関心がある層」、「欧米の富裕層」などがある。その場合、

① 「欧米の富裕層」については、欧米諸国から流入するIPアドレスを特定し、メディアのオーディエンスデータ(登録情報など)などを元に年収が高めな層に絞る(デモグラフィック)。「旅行先としての日本に関心がある層」については、ロンリープラネット、トリップアドバイザーなどのトラベルサイトや特集に頻繁にアクセスするユーザを「旅行に興味関心のある層」と推定し、「東京」「京都」「温泉」「浴衣」など日本と親和性の高いキーワードを検索したり、それを含むコンテンツを閲覧したユーザーは「日本関心層」であると仮説が立てられる。これが、オーディエンスターゲティングである。

② もう1つのターゲティング手法として、ターゲットの人物像をイメージしながら、来そうな場所(サイト、コンテンツ)を知見・仮説ベースで特定し、その近くに広告を表示する手法がある。例えば、旅行を考えているユーザーは、まずオンラインで情報収集を行う。その際、トラベル系のサイトを閲覧する可能性が高い。かつ、「東京」「京都」「温泉」「浴衣」といったキーワードが入っている記事を読んでいるのならば、目的地として、日本を検討している可能性が高いと推定できる。よって、そのキーワードを含む記事・コンテンツを解析し、近くに広告を露出させることで、ターゲットと接触する確率を高めることができる。これを、コンテクスチュアルターゲティングと言い、ウェブサイトなどで各ページ(コンテンツ)を読み取り、解析し、その内容に関連する広告/メッセージを表示すること、またはその仕組みを指す。

When、いつやるのか?(訴求時期)

 インバウンド市場において、需要がもっとも高まるのは7月、8月といった夏休み・バカンス期間。そして、10月の紅葉需要が喚起される時期である。言うまでもなく、どの国のインバウンド客がどの月・タイミングで増減するのか、いわばインバウンドカレンダーを押さえることは、戦略的に重要である。しかし、中長期での認知を獲得”する”キャンペーンについては、季節性を問わず、なるべく早く実施するが正解になる。実際、日本への旅行計画がある欧米インバウンド客を対象に、その訪問予定時期についてアンケートを取ったところ、7-8割の回答者は、1年以上前からプランニングを始めていることが分かった。(下図:当社調べ)

How、どんな内容・クリエーティブで訴求するか(訴求内容)

 動画戦国時代とも言われる現在において、多くの地方自治体が、風光明媚な景色や垂涎なグルメなど、まちの自慢を走馬燈のように観せる動画を制作し、その再生回数に一喜一憂している。日本を良く知らない旅マエ客からするとすべて同じように見えてしまい、選ぶ必然が持てず、もったいない結果につながってしまうことが多いと感じる。

 そういった意味でも、正しく現状を把握することは、動画のクリエイティブの訴求ポイントも左右する重要な作業であると言えるだろう。例えば、ターゲット層とのファーストコンタクトの機会を作り、まちの存在を知ってもらうためには、関心がなくても思わず目を留めてしまうようなインパクトのある動画コンテンツが有効で、走馬燈のような内容よりは、“ここにしかない”“ここを知ってもらいたい”訴求ポイントをしっかりと検討して、伝えたいメッセージをシンプルにすることが重要である。

 ある程度認知を獲得できたら、少しでも興味を持ったターゲット層(潜在顧客)のために、動画広告の受け皿として、ホームページやランディングページ(LP)と連動させ、動画広告で気になったシーンに関する具体的な情報が探せるような導線を作ることが、次のマーケティングステージに進めるかどうかを大きく左右する。せっかくホームページやランディングページ(LP)に誘導してきたユーザーを逃さないためにも、プランニングの役に立つ分かりやすいコンテンツやアクセスなどの説明動画を掲載するなど、訪問を意識し始めたユーザーに対して十分な情報提供ができるウェブサイトになっているかどうか、どんな情報があるとより良いのか具体的にヒアリングを行うのも手である。

Where、どこに広告を出すのか?(メディア選定)

 クリエイティブが出来たら、次は、それを正しいターゲットに届けることが配信の重要な役割である。ちなみに、アメリカでは、クリエイティブと配信は、「キング x クイーン」と表現されるほど、掛け算のどちらかが欠けても広告効果が最大化されないと考えられている。

 動画広告のフォーマットには、大きく分けて、動画コンテンツ内に流れるもの(インストリーム)や、テキスト、編集記事の中に流れるもの(アウトストリーム)があり、掲載先もYouTubeから、Facebook、InstagramやTwitterといったソーシャルプラットフォームのみならず、当社のようにソーシャルプラットフォームの外にある全てのジャンルのプレミアムウェブサイトをネットワーク化したプラットフォームもある。どのプラットフォームも、素晴らしいメディアで高い宣伝効果がある一方で、強みと弱みがある。大事なのは、キャンペーンゴールを達成するために、誰に観てもらいたいかを明確にし、それに対して、一番有効なソリューションを検討することなので、“なんとなくみんながやっているから、とりあえずYouTube/Facebook” とならないよう、まずは、前述のWhatを明確にしてから、広告代理店などに相談(ブリーフィング)するのが良いだろう。

How much、いくら?(予算)

 テレビCMに対して、デジタル動画広告は数十万〜数百万単位の少額の予算からも実施が可能で、ハードルは決して高くはない。実際、当社へのお見積相談は、数十万〜数千万と振れ幅があり、ピンからキリまでである。しかし、予算額の多寡よりも、実現したいことに対する適正予算を知ることがより重要であり、限られた貴重なリソースをどこに投資するのか、戦略的な集中と選択を可能にするためにも、まずは、広告の目的(What)を明確化し、より本質的なKPIを追求することが欠かせないのではないだろうか。

 次回、第二回では、今回お話したポイントを具体的な事例として、当社で実施した訪問意向が+175%となる高い結果を出した兵庫県豊岡市城崎温泉の事例についてお話ししたい。

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執筆者: 岩本香織 - GlassView Japan合同会社COO
ニューヨークに本拠地があり、グローバルでブランディング動画広告配信ソリューションを提供するGlassViewを日本に展開。入社以前は、日産自動車のグローバル商品戦略マーケティング部門を経て、消費者インサイトアナリストとして、世界戦略車を担当。広告主視点に立ったメディアプランニングやKPI設定、市場のニーズに即したB2Bやインバウンドプロモーションに特化したメニュー開発にも携わる。慶應義塾大学総合政策学部卒。台湾生まれ、日英中台湾語を話すマルチリンガル。

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