人手をかけない売上アップ・お客様満足アップの切り札に! チャットボット徹底攻略【前編】

2018年9月6日
新規のお客様からの問い合わせは、商談につながる重要なきっかけです。また、既存のお客様からの問い合わせや手続きは、お客様の満足度を高め次の注文につなげるためのチャンスです。とはいえ、問い合わせに答えるだけでは売上にも利益にもつながりませんから、できれば省力化したいもの。お客様からの問い合わせへの対応や各種手続きの受付に、「チャットボット」を利用する企業が増えています。

 新規のお客様からの問い合わせは、商談につながる重要なきっかけです。また、既存のお客様からの問い合わせや手続きは、お客様の満足度を高め次の注文につなげるためのチャンスです。とはいえ、問い合わせに答えるだけでは売上にも利益にもつながりませんから、できれば省力化したいもの。お客様からの問い合わせへの対応や各種手続きの受付に、「チャットボット」を利用する企業が増えています。

メールや問い合わせフォームと電話の「いいとこ取り」が期待できる

 チャットボットの「チャット」とは「おしゃべり」という意味。ネットワーク上で文字による会話を交わすことをいいます。ラインのトークやフェイスブックのメッセンジャーなどが代表的です。「ボット」は「ロボット」の短縮形で、作業を自動化するためのアプリケーションを指します。つまり、チャットボットとは、「文字による会話を自動化するアプリケーション」という意味になります。

 お客様から企業へのコンタクトの手段は、従来、電話やメール、問い合わせフォームが利用されてきましたが、これらには一長一短がありました。電話による受付は、お客様から見ると、オペレーターが会話で対応してくれるため安心感があります。また、質問の回答に対して生じた疑問をさらに確認することで、会話しながら知りたいことや必要な手続きを完了させることができます。一方で、受付時間が限られていたり、混雑している時は話中になってなかなかつながらないといったデメリットがありました。これらは受付時間の延長や回線増設によってある程度は緩和できるとはいえ、企業側からすれば、費用の制約もあり簡単なことではありません。

 メールや問い合わせフォームは、24時間365日受付できますが、返信するのは人間です。即時返信ができるのは営業時間中だけで、夜間や休日に届いた問い合わせに対しては回答までに時間がかかり、お客様を待たせてしまいます。また、やりとりに即時性がないため、電話に比べるとお客様が必要な回答を得るまでに時間がかかることになりがちです。その結果、「購入を検討しているお客様が、問い合わせの回答を待っている間に買う気をなくしてしまい、商機をのがしてしまう」といったことが発生しがちです。

 チャットボットは、チャットによる応答を自動化することで、営業時間に関係なく24時間365日お客様からの問い合わせを受け付け、かつ対話をしながらお客様の知りたいことや、必要な手続きを完了させることができる、電話とメールの「いいとこ取り」をしたお客様対応を可能にするのです。

 チャットボットのもう一つの優れた点は、お客様が問い合わせをする敷居が、電話やメールに比べてとても低いということです。最近の若い人の中には、電話をかけることがほとんどないためなるべく使いたくないという人が少なくありません。また、メールは用件を簡潔にまとめる必要があるため、一度のメールで的確な答えが帰ってくるような質問をするのは難しいことが多いです。その点、チャットであれば、多くのお客様がLINEのトークなどでチャットの応答に慣れており、簡潔な言葉で話しかけるだけであとは会話をしながら自分の知りたいことに近づいていけるため、利用のハードルはとても低いといえるでしょう。

ウェブサイトの情報をチャットボットで活用

 では、実際に、チャットボットはどのようなやりとりをするのでしょうか。実例を見てみましょう。

 ひとつめの実例は、通信販売大手の「ニッセン」が問い合わせ窓口に導入したチャットボット「みこと」です。ニッセンのウェブサイトの「ガイド・QA・お問い合わせ」を開くと、チャットの入力画面が開きます。「みこと」というキャラクターが質問に回答します、とありますが、この応答はチャットボットが行っています。

ニッセンのお客様問い合わせ窓口「みこと」

 「送料について教えて」「注文した商品が届かない」など、質問を入力すると、さらに知りたい内容や状況を詳しく尋ねる質問と共に、選択肢が表示されます。あてはまるものを選ぶと、詳しい情報を提供するページのURLや、配送状況であれば配送状況確認ページのURLを案内します。また、提示されたページを確認しても更に確認が必要な時のために、問い合わせフォームのURLもあわせて案内します。

 ここで注目したいのが、チャットボットはいくつかの質問と回答のやりとりの後、質問の回答が記載された自社ウェブサイトのURLを案内しているということです。ウェブサイト上に既に様々な情報を掲載している企業の場合、お客様から寄せられる問い合わせへの回答は、既にサイト上で提供されていることがほとんどなので、ある意味当然といえるでしょう。

 ウェブサイトを整備する目的の一つは、人手をかけずにお客様自身が24時間いつでも必要な情報にアクセスできるようにしたい、ということです。しかし、情報にアクセスできないお客様自身が自分で正しいページを見つけることは困難なのが実際です。だからお客様は電話やメールで問い合わせをしてきます。

 ニッセンの「みこと」は、お客様の質問を手がかりに、ウェブサイト上の必要な情報に誘導していくことで、「24時間人手をかけずにお客様が必要とする情報を提供する」ことを可能にしています。

「お知らせ」と連動した手続きで忘れない

 2つめの事例は、ヤマト運輸のLINE公式アカウントを用いた荷物問い合わせ機能です。ヤマト運輸では、メールとウェブで配達予定通知や再配達依頼などの手続きを提供していた「クロネコメンバーズ」とLINEを連動し、LINEのトークでも同様のサービスを提供しています。ヤマト運輸の公式アカウントと友達になることで、荷物の配送予定、不在通知などがLINEで届きます。これに対して、受け取り日時の変更や再配達依頼が簡単にできます。

ヤマト運輸LINE公式アカウントによる荷物配送予定の問い合わせ

 公式アカウント(チャットボット)の質問に回答していくことで、受取日時変更や再配達依頼の手続きが完了します。質問の順序は不在配達票を見ながらフリーダイヤルに電話を掛けた時と同じなのですが、LINEの着信を見てトークを確認したらそのまま手続きができるので、「後でやろう」と思っていてうっかり忘れるようなことが減ります。時間指定によって不在配達が減れば、ヤマト運輸にとっては大きなコスト削減につながるので、メリットがあるのです。

簡単なことはチャットボット、より詳しくは人が答えるハイブリッド運用

 3つめの事例は、LINEを活用した保険相談サービスです。ライフネット生命では、LINEやFacebookメッセンジャーで、チャットボットで保険に関するQ&A社やお客様にあった保険を選ぶ「ほけん診断」「保険料見積」を提供しています。

ライフネット生命のチャットボット活用

 ライフネット生命のチャットボットの特徴は、平日の営業時間内であれば、チャットボットから人間の保険プランナーに応対を切り替え、詳細な個別サービスを案内していることです。まずはチャットボットで基本データを収集してお勧めの保険サービスの選定までしているので、いちから人が話を聞くよりもスムーズに話が進みますし、一度診断してからさらに詳しく話を聞きたいというお客様なので、より確度の高い商談ができます。ライフネット生命では、チャットボットの導入後、見積請求数が導入前の1.5倍になったのだそうです。

AIを使ってより有能なボットに進化

 一昔前のチャットボットは、あらかじめ登録した問いと答えをセットにしたデータを用意しておき、入力された質問と一致する質問があれば答えを返すというものでした。しかし、実際の人間が行うチャットでは、例えば時刻を聞くにしても「今何時?」「何時?」「今の時刻」「時間を教えて」など、さまざまな言い回しがあります。そのため、問と答えをセットにする方式では、「ちょっとした言い回しの違いがあっても同じことを聞いている」という判断ができず、自由に入力された質問に対して適切に回答するのは困難でした。

 これに対して、事例として紹介したような、既にビジネスで実用化されているチャットは、AI(人工知能)によってより高度な応答が可能になっています。質問文の表現のゆれを判断して正しく答えたり、あらかじめ登録されていなかった質問に対しても類似の質問を探して答えを推定するなど、より人間に近い受け答えができるようになっています。

 後編では、チャットボットの種類や、チャットボット作成に利用できるさまざまなサービスを紹介します。(【後編】に続く)

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執筆者: 板垣朝子 - Organnova(オルガノーバ)主宰
独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野およびサイエンス分野を中心を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannovaを立ち上げる。

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