HRテクノロジーを駆使して付加価値につなげる人事部へ!

テクノロジーを活用できる人材がビジネスに直結する!/総務・人事・経理ワールド

2018年8月13日
「HRテクノロジー」を活用する企業が増えています。HRテクノロジーとはIT技術を使い採用や人材育成、労務管理などの人事業務を行うことができるテクノロジーのこと。テクノロジーというと理系のイメージが強いわけですが、文系の人材でも十分に活用することができるのでしょうか?
 企業・自治体・病院などの総務・人事・経理・経営者を対象に、組織運営に必要なサービスが一同に集結する展示会「総務・人事・経理ワールド」が2018年7月11〜13日の期間、東京ビッグサイトで開催されました。

 今回の「総務・人事・経理ワールド」では、何かと話題になっている働き方改革や健康経営、RPA活用などをキーワードにさまざまな製品・サービスが展示され、3日間で61,000人以上が来場。職場の抱えているさまざまな課題に対する意識の高さがうかがえる盛況ぶりでした。

 また各分野の第一人者による多数のセミナーも連日開催され、最新の業界動向や事例を学ぶべく、多くの人が聴講に訪れました。

 今回の記事では7月6日に開催されたセミナー「企業の成長をドライブするHRテクノロジーの最新動向」(岩本隆さん/慶應義塾大学 大学院経営管理研究科 特任教授)の講演より、HRテクノロジーの動向とその活用方法についてレポートします。

HRテクノロジーの第一人者である岩本隆さん(慶應義塾大学 大学院経営管理研究科 特任教授)。「HRテクノロジーを企業が使う際のポイントは、人のさまざまなパラメータをデータ化し活用すること」と語る

テクノロジーで何ができるかを理解できれば、むしろ文系の方が有利

 近年日本国内でも「HRテクノロジー」を活用する企業が増えています。HRテクノロジーとはIT技術を使い採用や人材育成、労務管理などの人事業務を行うことができるテクノロジーのことです。

 今回のセミナー講師であり、HRテクノロジーの第一人者である岩本隆さん(慶應義塾大学 大学院経営管理研究科 特任教授)によると、HRテクノロジーという言葉は実は20年前から存在しており、もともとは給与システムや労務管理などについてITを使って管理することから始まっていたそうです。

 ところでなぜ最近になってHRテクノロジーが注目を集めているのでしょうか? いま世界中で「第4次産業革命」が進行していると岩本さんは話します。近年よく耳にするようになった金融サービスに関する「FinTech」や、スポーツ業界で使われている「SportTech」といった「xTech(クロステック、「x」は掛け算の意味)」と呼ばれるテクノロジー活用が各業界で盛んに行われており、HRテクノロジーもこのxTechの一つなのです。

 これらテクノロジー活用の背景には生産性向上という課題があります。生産性は付加価値/コストの計算式で表すことができます。生産性を上げるためには、不要なことを戦略的にやめる(分母であるコストを下げる)、そして一人ひとりのスキルを高めてチーム力を上げ、イノベーションを起こす(分子である付加価値を高める)必要があります。これを実現するためには、付加価値の低い仕事をAIやRPAに任せることでコストを下げつつ、テクノロジーを活用できる人材を増やして新しい価値を生み出すことが重要です。

 そのため海外では「テクノロジーを活用できるスキルを持つ人材がエコノミー(ビジネスに直結する)になる」とも言われているそうです。日本でも政策として「生産性革命」と「人づくり革命」が進められていますが、テクノロジーを活用できる人材の育成が求められているのです。ところでテクノロジーというと理系のイメージが強いわけですが、文系の人材でも十分活用することができるのでしょうか?

 「テクノロジーの進化によって、誰でも使えるようになっています。例えばスマートフォンは仕組みを理解していなくても使うことができます。それと同じことで、テクノロジーを使って何ができるかを理解できれば、むしろ文系の方が有利になることもあります」(岩本さん)

テクノロジーは今、誰でもが使えるものになっている。「テクノロジーで何ができるかを理解できれば、むしろ文系の方が有利になることもあります」(岩本さん)

HRテクノロジー活用のポイントは目的を明確にすること

 このようなHRテクノロジーを企業が使う際のポイントについて「シンプルに言うと人のさまざまなパラメータをデータ化し活用することです。どんなデータを整備し、どのような分析をして、何をアウトプットするか、この3つがポイントになります」と岩本さんは強調しました。

 まず整備すべきデータ。従来は数値やテキストをデータ化していましたが、スマートフォンなどの技術を使うことで音声や画像、映像だけでなく行動データや生体データなども簡単に収集できるようになっています。

 次にどのような分析を行うか。統計分析、機械学習、ディープラーニング、AIといった分析方法がありますが、これらの技術は現在世界中で急速に進化していて、特にAIについては作りたいものの構想をロジックに落とし込むことができれば誰でも使うことのできる「AIの民主化」の時代になっています。

 最後にアウトプットですが、こちらもいろいろなテクノロジーが出てきています。ダッシュボードにわかりやすく表示することはもちろん、XR(VR、AR、MRの総称)を使うだけでなく、データ分析を進めることでアウトプット予測やレコメンデーション表示、さらには分析結果をもとにとったアクションの結果を学習させ解決策を提示させることまでできるようになるそうです。ここで重要なのは何を目的にどのようなアウトプットするかをきちんと決め、使うべき適切なツールを選択することでしょう。

 「HRにおけるデータ収集・分析・アウトプットの各分野にクロステックで開発されたテクノロジーが流れ込んできて、さまざまなHRテクノロジーのツールが出てきています」(岩本さん)

いろいろなテクノロジーが出てきているが、重要なのは何を目的にどのようなアウトプットするかをきちんと決め、使うべき適切なツールを選択すること

HRテクノロジーにより企業の成長をドライブするには?

 岩本さんによるとHRテクノロジーを使って企業の成長をドライブさせるには3つのポイントがあるとのことです。一つ目は人材に関する経営課題に優先順位をつけること。採用・育成・配置・異動だけでなく、生産性の高い組織づくり、エンゲージメント、健康経営など人事の領域は広いため、まずは優先順位をつけることが必要になります。

 二つ目は経営課題解決のためにどんなデータが活用できるかを把握すること。すでに社内で持っているデータだけでなく、新たに集めるべきデータを整理して考えます。三つ目はHRテクノロジーを活用できる人事部門を作ること。具体的には人事部門にデータサイエンティストを置いてデータ分析をさせる、HCM(人材管理)アプリケーションの最新動向を把握することなどが必要になります。

 最後に岩本さんは「これからは人事部門もテクノロジーのリテラシーや経営を学ぶ必要があります。事務作業はテクノロジーに任せ、人にしか出せない付加価値のある仕事にシフトする。人事の働き方を改革することが重要となります」と締めくくりセミナーは終了しました。

 さまざまなテクノロジーの進化によって企業の生産性を高めることが簡単になってきています。逆に言うとこれらのテクノロジーを使いこなすことができなければ、時代の波に取り残されてしまう可能性があるのです。人事部門に限らずテクノロジーを使うことのできる人材確保、そして育成が企業にとって急務と言えるのではないでしょうか。

企業・自治体・病院などの総務・人事・経理・経営者を対象に、組織運営に必要なサービスが一同に集結する展示会「総務・人事・経理ワールド」

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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