仕事も遊びもどちらも「オン」! 社内クラブ活動が人生を豊かにする

「サバニ帆漕レース」に参加して見えてくること/株式会社アルファ・ウェーブ

2018年8月3日
沖縄・座間味〜那覇の慶良間海峡を渡る「第19回サバニ帆漕レース」が、6月23-24日に開催されました。そのサバニ帆漕レースに、会社のクラブチームとして参加しているのがシステム開発の「株式会社アルファ・ウェーブ」です。会社には数多くのクラブがあり、その活動が仕事だけでなく社員の人生そのものにも大きな影響を与えているといいます。

株式会社アルファ・ウェーブ 代表取締役社長 大指一郎さん。会社のコンセプトである「しっかり働き、しっかり遊ぶ」を体現するひとりだ

沖縄・座間味〜那覇の慶良間海峡を渡る「第19回サバニ帆漕レース」が、6月23-24日に開催されました。沖縄の伝統的な舟であるサバニ。時代の流れとともに姿を消しつつありましたが、海洋文化や造船・操船技術の保護・継承を目的に、2000年より毎年、大会は開催されてきました。そのサバニ帆漕レースに、会社のクラブチームとして参加しているのがシステム開発の「株式会社アルファ・ウェーブ」です。会社には数多くのクラブがあり、その活動が仕事だけでなく社員の人生そのものにも大きな影響を与えているといいます。レースのスタート地点である座間味村で、代表取締役社長の大指一郎さんに話を聞きました。

仕事も遊びもどちらも「オン」の企業文化

ーー座間味から那覇までを航海する「サバニ帆漕レース」に会社のクラブチームとして参加されています。

今回で7回目の参加です。当社には日本一を目指すヨット部もあるのですが、それとは違って主に社員が楽しめるマリンスポーツとしてサバニ帆漕チームができました。

ーー社内のクラブ活動が活発です。社員数約190人に対してHPに掲載しているだけでも12あります。

クラブは社員により自発的に生まれています。クラブ活動の始まりはまだ社員が20人ほどだった34年前の創業時に遡ります。当社のオーナー(河本二郎さん)がアクティブな人で、夏はシュノーケーリング、冬にはスキーと、社員を色々なスポーツに連れ出したことからです。その時から今までずっとアルファ・ウェーブには「オンとオフ」を楽しむ文化が続いてきました。私は創業2年目の新卒入社ですが、それから趣味を持つ意義を知ることになりました。

ーー会社のコンセプト「しっかり働き、しっかり遊ぶ」は創業時からあったんですね。

「オンもオフも充実」という言い方もありますが、オーナーと私の感覚だと、仕事も遊びもどちらも「オン」なんです。

沖縄・座間味〜那覇の慶良間海峡を渡る「第19回サバニ帆漕レース」に参加したアルファ・ウェーブのクラブチーム「えすぷり」のメンバーたち

趣味に打ち込む姿勢は仕事に通じる

ーークラブ活動で培われた経験は仕事にも良い影響を与えているのでしょうか。

今回のサバニ帆漕レースはその好例だと思います。大会出場に向けて練習を行うのですが、サバニに乗る頻度を考えるとそれだけでは足りないから、チームのメンバーが自発的にSUP(サップ=スタンドアップパドルボード)を始めたのです。サバニを漕ぐためにはバランスが必要です。それを体得するためにSUPでセンスを磨いていたのです。サバニを前に進めるのに当初は10分程でヒーヒー言っていたのが、相当うまくなりました。タフになりましたし、準備も怠らなくなりました。

趣味を持っている人はそれを長く楽しみたいと考えるものです。そのための身体のケアにも意識的になります。それは仕事でも同じです。ビジネスパーソンは日々の仕事に集中できるよう健康に気をつけますよね。もちろんそれだけではありません。仕事の目標を持つ、準備を整える、といったことは、趣味に打ち込む姿勢と重なります。

ーーコミュニケーションという点でもクラブ活動は有意義ですね。

「クラブライフ」は様々な点で役に立つと思います。例えば私の場合、ゴルフやヨットのクラブでの経験を振り返ることができます。そこでは、様々な人々と交わりを持つことで、技術だけでなく見識を広げたり倫理観なども学べます。会話の中から仕事につながることもあります。私が社長を任された時も、オーナーからは「クラブライフを楽しめ」とアドバイスされました。

私が社員に伝えたいのは「『リアル』に接して欲しい」ということ。当社の業務内容はIT、デジタルだけれど、俯瞰すると私たちの仕事は実はアナログなんです。システム開発という仕事は自分ひとりだけではやれません。お客様とのコミュニケーションのなかで、目標に向かってどういう風に業務をすすめるかを考えることが求められます。サバニレースにはある意味、そのプロセスが凝縮されていると思います。クラブ活動に参加することで社員の表情もよくなりました。レースを見ているだけでも「彼らは信頼できる」ということが伝わってきます。

「クラブ活動に参加することで社員の表情もよくなりました。レースを見ているだけでも『彼らは信頼できる』ということが伝わってきます」(大指さん)

社員には深みのある人生を送ってほしい

ーー今時の社員は会社の課外活動に尻込みしそうですが。

若い人たちは草食系でおとなしいと言われますが、うちの社員は声をかけると「やってみたい」という人が大半です。たぶんこれまでそういった機会がなかっただけだと思いますよ。「楽しそうでいきいきしている」先輩たちの姿を見たり、話しかけられたりするなかで、クラブ活動を始めるようです。手前味噌ですが、お客様からも「気持ちのいい社員たちだね」とよく言われます。

ーークラブ活動を通して大指さんはいまだに気づきがあるそうですね。

「この会社に入っていなかったら、こんなに人生を楽しめたかな」と感じることがいっぱいあります。私は以前スキーをやっていたのですが、随分とご無沙汰していました。でも少し前、オーナーに「もう一回、スキーやってみたら」と誘われたんです。スキー板も貸してくれたのですが、道具もずいぶん進化していて、昔とは全然違う感覚で楽しめました。もしそのとき背中を押されていなかったら、スキーの楽しみを再発見することはなかったはずです。いまはもう週末ほとんど家にいないほどです(笑)。

当社のクラブのいいところはその分野の有識者がいることです。まったくの素人でも楽しさを伝えてくれる人がいる。私の二度目のスキーもオーナーが教えてくれました。自分の知らない世界やかつては苦手にしていた分野でも入っていけるきっかけがあるんです。

2016年のサバニレース授賞式より。大指さん(中央)とメンバー。「えすぷり」はサバニクラスで3位を獲得した。社員をいきいきさせるクラブ活動は仕事や人生そのものにもつながる。「お客様からも「気持ちのいい社員たちだね」とよく言われます」(大指さん)

ーー人生をエンジョイ(享受)するために、会社が存在しているかのようです。

「社員には深みのある人生を送ってほしい」。これは常々オーナーが口にする言葉です。その言葉を象徴する出来事がありました。以前、オリンピックを目指すセーラーを二人、社員として採用したのです。週の半分はヨットの練習をして、残りの半分はプログラマーの研修を受けるという契約です。しかし残念ながら彼らは日本代表にはなれませんでした。「支援してくれたのに申し訳ない」と彼らは結果報告に来ました。オーナーはそれに対して「君たちは他の人にない才能があるのだから、これからは純粋にセーリングを楽しんだらいいじゃないか」と声をかけたのです。結果がともなわなかったからといってやめてはいけない。それはとても悲しいことだと。その場にいた私は目頭が熱くなりました。野球やサッカーでもプロを目指しながら夢が叶わない人は大勢います。でもそこでその楽しさまで手放すことはないのです。

アルファ・ウェーブの様々なクラブ活動。34年前の創業以来、仕事も遊びもどちらも「オン」の企業文化が続いている

ーー大指さんが二代目社長に指名された理由は何だったのでしょうか。

仕事に対する技術やマネージメントというよりは、「オーナーがどんな会社にしたかったか」を理解している人間として指名されたのだと思います。アルファ・ウェーブを一番楽しんでいる、仕事もクラブ活動もどちらもオンというのが私だった。頭脳にほれて会社を託されたというわけではなさそうです(笑)。

ーー大指さん自身の現在のクラブ活動を教えてください。

フィッシング、野球、ヨット、フォトサークルに入っています。今、フォトサークルが人気なんです。先日は新宿御苑で撮影した写真を持ち寄りました。俳句の会みたいに皆で感想を言い合うんですが、これが本当に楽しいんですよ。


★おすすめ記事

  • ~社内コミュニケーションの秘訣~すべてはカンナがけから始まった/アキュラホーム

    時代を生き抜く強い企業とは何でしょう? すばらしい商品やサービスはもちろんですが、そこにいたる会社のなかでの社員どうしのコミュニケーションが、本当はいちばん大切なのかもしれません。仲間と笑い合える会社が、今元気です。「小さい」「予算がない」「時間が足りない」といった悪条件を、彼らはどんな発想で乗り越えていったのか? 明るく楽しい会社やリーダーの活動から解き明かしていきます。第六回は、自由設計で建てる木造注文にこだわりを持つ住宅建設業「株式会社アキュラホーム」の宮沢俊哉社長について、総務人事部人事課長 池沢篤人さん、総務人事部人事課担当課長 篠原亜梨沙さんにお話を聞きました。

  • ~社内コミュニケーションの秘訣~不良を優等社員に変えた教育

    時代を生き抜く強い中小企業とは何でしょう? すばらしい商品やサービスはもちろんですが、そこにいたる会社のなかでの社員どうしのコミュニケーションが、本当はいちばん大切なのかもしれません。仲間と笑い合える中小企業が、今元気です。「小さい」「予算がない」「時間が足りない」といった悪条件を、彼らはどんな発想で乗り越えていったのか? 明るく楽しい会社やリーダーの活動から、解き明かしていきます。第三回は、F1カーのエンジンパーツなどの表面処理を手掛ける「深中メッキ」の深田稔社長です。かつて社員を3度ヘッドハンティングされるほどの優れた社員教育のノウハウを解き明かします。

執筆者: 加藤陽之 - HANJO HANJO 編集長
コンピュータ関連の出版社からキャリアを始め、カルチャー雑誌などの編集長を歴任。これまで数多くの著名人をインタビューしてきた経験を活かし、HANJO HANJOでは中小企業経営者の深く掘り下げた話を引き出し続ける取材の日々。

インタビュー新着記事

  • 地方創生、こんなITが欲しかった! 地域経済の好循環をウェブで実現させる会社

    地方創生の切り札と目されるIT。都市部の大企業では、AI、ロボット、IoTが導入され、様々な業務を自動化しつつありますが、地方にはまだその恩恵は行き渡っていません。しかし、3Dプリンタやドローンの登場など、テクノロジーの民主化がその壁を打ち破ろうとしています。それら最新のITをウェブの技術を使って、ローカル・コミュニティーの活性化につなげようとするソフト開発会社があります。東京大学在学中に創業し、今年で11年目を迎えた「株式会社リアルグローブ」です。

    2018年8月10日

    インタビュー

  • IoTを本気で日本に普及させる! 通信インフラを牽引する異色ベンチャー

    「IoTの時代が到来した」。ここ数年来、この言葉を幾度となく耳にしてきました。しかし騒がれているわりには、日本でIoT製品を目にすることはあまりありません。日本のIoTビジネスがなかなか進展しない理由のひとつが、通信インフラが整っていないことにあります。この状況を変える通信サービスで注目されているベンチャー企業があります。昨年、起業した「センスウェイ株式会社」です。

    2018年7月30日

    インタビュー

  • 健康睡眠が日本の生産性を上げる! 寝具業界を変える高品質適正価格のマットレス

    これまで機能性敷布団やマットレスといえば高額なものが多く、一部の人にしか手の届かない高級品という印象でした。しかし反発性能が高い素材のマットレスの登場によって、その壁が崩されようとしています。そんな活性化する寝具業界にあって、『良い寝具を正しい価格で』をうたい、急速に消費者の支持を集めている企業があります。2011年創業の「ライズTOKYO」です。

    2018年7月23日

    インタビュー

  • マニュアルを革新する! 会社独自のノウハウを「見える化」で組織は進化する

    マニュアルと聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか? 電化製品やPC関連、あるいは接客のための読みづらい手引書・・・。しかし、そんなマニュアルのイメージを一掃し、新たなビジネスサービスとして提供している会社があります。「2.1」は会社に眠っている独自のノウハウをマニュアルによって可視化〜習慣化させ、業務の効率化や社内コミュニケーションの活性化をサポートすることで注目を集めています。

    2018年7月6日

    インタビュー

  • 得意分野に一点集中!ダイレクトメールで奇跡を起こす印刷会社【後編】

    縮小する印刷業界にあって、ダイレクトメールに一点集中することで売上げを伸ばしているのが「株式会社 ガリバー」です。後編では、代表取締役の中島真一さんの半生に焦点をあて、何が現在の会社経営につながったかを探ります。

    2018年6月22日

    インタビュー

  • 得意分野に一点集中! ダイレクトメールで奇跡を起こす印刷会社【前編】

    衰退する産業のひとつとしてよく取り上げられる「印刷業」。しかし、業界全体が厳しいなかでも、活路を見つけ、蓄積したノウハウと資産で、印刷の新たな未来を提示する会社があります。横浜にある「株式会社 ガリバー」です。そこには「一点集中」の戦略がありました。

    2018年6月20日

    インタビュー

  • 生牡蠣を世界ブランドに変えるコンサルティング!挑戦こそが企業を再生させる

    欧米に比べて保守性が語られることが多いのが日本企業です。しかし、そんな日本の企業文化に、風穴を開けようとするスタートアップのコンサルティング企業があります。それは「挑戦」と「蓄積」を組み合わせた社名を持つ「TRYFUNDS(トライファンズ)」です。いま手がけるのは上場後わずか2年で債務超過に転落していた牡蠣の生産販売会社の立て直しです。そこには一体どんな挑戦があるのでしょうか。

    2018年6月13日

    インタビュー

  • 100年続く老舗建設会社の4代目は元テレビマン。伝統と革新で時代とあゆむ

    日本には数多くの「100年企業」があります。そこには底通する「何か」があります。今回ご紹介する株式会社三木組は、明治30年に福井県に創業、大正12年、横浜に進出し、昨年120周年を迎えた「100年企業」です。5年前に創業家から三木康郎さんが4代目社長として就任、元テレビ局員という新たな視点から会社の変革に乗り出しています。三木社長に話を聞きます。

    2018年6月7日

    インタビュー