中小企業こそ導入したい! 最近話題の「RPA」って何?

2018年8月2日
中小企業にとって、「人材採用」による人的リソース不足の解消はなかなか解決しない問題です。解決できなければ、現在自社で働いている社員により効率よく多くの業務を担ってもらう他はありません。とはいえ、それぞれの社員が働ける時間には限りがあります。「働き方改革」の流れの中、仕事が増えるからといって労働時間を増やすようなやり方は、時代に逆行しているといえるでしょう。人を採用せず、今いる社員の労働時間も増やさず、人的リソースに対処する。そのための切り札として今期待されているのが、RPA(Robotic Process Automation)です。

 東京商工会議所が2017年に実施した「中小企業の経営課題に関するアンケート」では、約6割の中小企業が人員の過不足状況について「不足」と回答しており、また73.8%の企業が売上拡大に取り組む上での課題として「人材の不足」を挙げています。中小企業にとって、「人的リソースの不足への対応」は重要な経営課題となっています。

 しかし一方で、少子高齢化に伴い労働人口は減り続けています。中小企業にとって、「人材採用」による人的リソース不足の解消は困難であると言わざるを得ません。

 現在自社で働いている社員により効率よく多くの業務を担ってもらう他はないのです。とはいえ、それぞれの社員が働ける時間には限りがあります。「働き方改革」の流れの中、仕事が増えるからといって労働時間を増やすようなやり方は、時代に逆行しているといえるでしょう。

 人を採用せず、今いる社員の労働時間も増やさず、人的リソースに対処する。そのための切り札として今期待されているのが、RPA(Robotic Process Automation)なのです。

24時間飽きずに正確に作業を続ける、ソフトウェアロボット

 RPAとは、人間の代わりにコンピューターの画面上のアプリケーションやシステムを操作して業務を行う「ソフトウェアロボット」によって、主に事務職の社員が行う定型的なコンピューターの操作を自動化する仕組みです。

 事務職の社員がコンピューターを操作して行う業務の中には、伝票の処理やメール本文から社内システムへのデータ転記など、一定の規則に沿って行う定形業務が数多くあります。言い換えると、「マニュアルに沿って正しく実行すれば、誰でも同じ結果が得られる」業務とも言えます。

 「現状でも社員にできることを、わざわざお金をかけて自動化する必要は無いのではないか」と思われるかもしれません。それでも今、多くの企業がRPAに関心を持っているのは以下のような理由があります。

1)人件費が削減できる
 担当者が行っていた作業を自動化するのですから、当然、そのためにかけていた時間は不要になります。担当者は空いた時間に別の仕事ができるようになります。また、ソフトウェアロボットには休憩が必要ありません。従って、勤務時間など関係なく業務を続けることが可能です。人間であれば1日8時間しか働けず、繁忙期に仕事が終わらず残業することになれば時間外手当が発生しますが、ソフトウェアロボットであれば24時間働き続けることが可能で、追加のコストは不要です。

一方でソフトウェアロボットには休憩が必要ありません。従って、勤務時間など関係なく業務を続けることが可能です。人間であれば1日8時間しか働けないところを、ソフトウェアロボットであれば24時間働き続けることが可能で、追加のコストは不要です。

2)作業が一定・正確でミスが無い
 どんなに簡単で定型的な作業であっても、人間であればついうっかり間違うことがあります。ミスを見逃さないためのチェック工程の工数や、ミスを見逃してしまった時のやり直し工数などを考慮しておく必要があります。ソフトウェアロボットであれば、与えられた仕事は一定のペースで正確にこなします。そもそもの元データの間違いなど例外処理が必要な時にのみアラートを出して人が確認するようにすれば、間違いに伴うさまざまな無駄が削減できます。

3)ルーチンワークに飽きて辞めたりしない
 特に中小企業にとって深刻な問題は、採用し、教育して、仕事を任せられるようになった人材が離職することです。離職の原因はさまざまですが、「単調な定形業務の繰り返しで成長を感じられない」という理由を挙げる社員は少なくありません。たとえ会社にとって必要不可欠な業務であっても、それが社員にとってやりがいにつながるとは限らないのは大きな課題です。
 ソフトウェアロボットはずっと同じ仕事を任せていても、決して自分から「辞めます」とはいいません。定形業務はソフトウェアロボットに任せることで、社員にはもっとやりがいや成長を感じられる業務に時間を割くことができるようになります。結果として、離職率を下げ人材への投資効率を大きく向上することにつながるといえるでしょう。

担当者が自分で自動化に取り組める

 企業において、手作業で行われている定形業務にはどのようなものがあるでしょうか。具体的に挙げてみると、帳簿入力、伝票作成、お客様向けの販促、請求などの定形メールの発送、経費チェック、顧客データ管理、受発注システムへの入力、営業支援システムへのデータ入力、決まったウェブサイトや社外システムに接続して定期的にデータを収集する業務などさまざまです。

 人間がこれらの業務を行う時には、パソコンに向かって画面を見ながらキーボードやマウスを操作します。多くの場合はウェブブラウザ、エクセル、ワード、自社開発の業務アプリケーションなど、複数のアプリケーション間でデータ連携して使用し、アプリの起動と終了、IDとパスワードの入力、コピー&ペーストなどの作業が伴います。

 これらの業務は、一定のルールに従って繰り返し行われてはいますが、1回ごとにタイプする文字列が違ったり、コピーする文章の量が違ったり、入力されている内容によって都度判断が必要だったりします。また、1件1件を見ると数十秒〜数分程度とそれほど時間もかかりません。わざわざ情報システム部門のリソースを割いて自動化するには費用対効果が見合わない、あるいは他に優先順位の高い業務があるとしてこれまでシステム化が見送られてきました。

 RPAの特徴は、業務をよく知っている担当者が、自ら業務のルールや処理内容をコンピューターに覚えさせ、自動化が実現できることです。そのために、業務の手順や処理内容を覚えさせるための「RPAツール」と呼ばれるソフトウェアを使用します。

 RPAツールを使用すると、フローチャートを作成する、画面の操作を「記録」する、ウィザード方式(画面上に表示される質問に順次回答していくことで設定を完了する方式)でルールを設定するなどの方法で、アプリケーションの決まった部分に文字を入力する、エクセルの表の中から特定の項目を会計ソフトに転記する、ウェブサイトにアクセスして必要な情報があればコピーしメールで送信する、など、コンピューターを操作して行う作業を自動で行うことができます。人間が読んで分かる作業手順書に従って、RPAツールを使ってコンピューターに覚えさせるだけで、プログラミングの知識が無くても操作が自動化できるのです。
執筆者: 板垣朝子 - Organnova(オルガノーバ)主宰
独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野およびサイエンス分野を中心を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannovaを立ち上げる。

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