健康睡眠が日本の生産性を上げる! 寝具業界を変える高品質適正価格のマットレス

日本の“睡眠文化”に新たな価値を吹き込む/ライズTOKYO

2018年7月23日
これまで機能性敷布団やマットレスといえば高額なものが多く、一部の人にしか手の届かない高級品という印象でした。しかし反発性能が高い素材のマットレスの登場によって、その壁が崩されようとしています。そんな活性化する寝具業界にあって、『良い寝具を正しい価格で』をうたい、急速に消費者の支持を集めている企業があります。2011年創業の「ライズTOKYO」です。

ライズTOKYO株式会社 代表取締役社長 宮崎誠司さん。活性化する寝具業界にあって、『良い寝具を正しい価格で』をうたい、急速に消費者からの支持を集めている

近頃、様々な場所でベッドのマットレスやその広告を見る機会が増えていませんか? 量販店だったり、アスリートが登場していたり、機能性がうたわれていたり・・・。これまで機能性敷布団やマットレスといえば高額なものが多く、一部の人にしか手の届かない高級品という印象でした。しかし反発性能が高い素材のマットレスの登場によって、その壁が崩されようとしています。何よりも価格がリーズナブルなこと。それが市場を広げる大きな要因となりました。そんな活性化する寝具業界にあって、『良い寝具を正しい価格で』をうたい、急速に消費者の支持を集めている企業があります。2011年創業の「ライズTOKYO」です。ライズTOKYOがクローズアップされているのにはもうひとつの理由があります。現代人にとっていかに眠ることが大切であるか? この問いかけへのの答=「健康睡眠」が徐々に消費者の心を捉えているのです。ライズTOKYO株式会社 代表取締役社長の宮崎誠司さんに聞きます。

健康ブームが活性化させる寝具業界

ーー寝具というジャンルのなかで、特にマットレスなどの機能性寝具が人気を集めています。

機能性寝具というより健康ブームが導いた状況かもしれません。睡眠と健康の関連でいえば、昨年の新語・流行語大賞のトップ10にも「睡眠負債」が入りました。

以前の寝具業界はあまり目立たない存在でした。しかし、世の中の健康志向が牽引する形でビジネスが活性化しています。そのことによって「健康寝具は高額だ」「一部の富裕層のためのもの」という壁が壊れ、一般に身近になったのです。

ーー機能性をフィーチャーするという点では、ファストファッションの流れと同じですね。

アパレル業界に比べると10年ほど遅れてはいますが、トレンドも取り入れるようになり、お客様がより身近に感じられるジャンルになってきました。「ひんやり寝具」というような今まで想像がつかなかった商品も売れています。10年ほど前の百貨店の寝具・ベッド売り場を思い出してみてください。手の届かない高額商品が並び、お客様が立ち寄り難い雰囲気でした。いまでは家電量販店でも寝具売り場があります。商品の幅が広がり寝具業界はさらに活性化していくはずです。

良い寝具を正しい価格で

「高額で手の出ない製品を、品質は保ちつつカスタマイズして適正価格で提供する」。これがライズTOKYOのモットーだ

ーーライズTOKYOは『良い寝具を正しい価格で』を掲げ、寝具会社のなかでも存在感を高めています。

高額で手の出ない製品を、品質は保ちつつカスタマイズして適正価格で提供することがモットーです。ライズTOKYOは、いまある「もの」に、新たな素材やデザインや価格を掛け合わせることで、新たな価値を生みだしてきました。そのハイブリッドな発想力が、私たちの強みだと思います。お客様は「もっといい商品」「もっと安い商品」を探してネット検索します。そこで私たちの商品にたどり着くといういい流れが生まれています。

もちろん競合社も増えています。しかしこれまで寝具については競争もなかったし、商品を検証する方法もありませんでした。それがネットによるオープン化で誰の目にも明らかになってきたのです。そして競争も激化してきました。

ーー「睡眠文化」についての発信をされていますね。

日本の消費者は世界一厳しいとよくいわれます。そのため「もの」だけにこだわるのではなく、「こと」が重要になってきます。製品をつくるにあたっては睡眠のあり方、もっといえば健康まで掘り下げないとお客様に届かないのです。私たちは質の高い睡眠を「健康睡眠」と呼んでいます。もちろん寝具がすべてを補えるわけではありませんが、睡眠の質によって明日のパフォーマンスにどれほど影響があるかなどをお話ししています。

ーー寝具と健康を結びつけて考えるきっかけは何だったのでしょうか。

私は30歳のとき胃がんで入院しました。生きるか死ぬかを経験したことで、健康の大切さを痛感しました。それが健康寝具を考えるスタートでした。病を克服した時に「私は生かされている」と神様に告げられたような気持ちになりました。私が生かされた意味は人の役に立つため。今の自分にとっては、それが「健康睡眠」を伝えることなんです。

機能性マットレスが話題になり始めた時、各社の製造原価を調べたんです。「あれ? そんなに高くない」。製品自体はすごくいい。でももっと安い価格で販売できるのになぜこんなに高いのかという疑問がわきました。これではかつてと同様、一部の人にしか届かなくなってしまう。この状況を自分が変えたいと考え、ライズTOKYOで健康寝具をつくることにしたのです。

働き方改革から「睡眠改革」へ

ODMメーカーとして鍛えられたのが生産のローコストオペレーションだ(写真は工場)。「質を保ちながら他社よりも圧倒的に価格を抑えた製品を生むことができました」(宮崎さん)

ーービジネスとして成功する確信はあったのでしょうか。

私には根拠のない自信が常にあるんです(笑)。生産のローコストオペレーションはB2BのODMメーカーとして鍛えられました。コスト競争力はあったんです。価格とはかかったコストの足し算です。それで計算すると正しい価格になるわけです。その結果、質を保ちながら他社よりも圧倒的に価格を抑えた製品ができました。

認知がない分、信頼を得るまで苦労することは覚悟していました。しかし、ものだけでなく睡眠の必要性を伝え続ければ、絶対にお客様に伝わると思っていました。ひとつだけでなく、何本かの販売ルートを確保しました。B2Bではホテルや学校との取り組みなどがあります。

ホテルとベッドというと、高級ホテルを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかしそれは日常とはかけ離れています。私たちが取り組みたいのは一般の方が泊まるホテルです。けれども、普通のホテルには、まだ機能性マットレスがあまり導入されていません。特にビジネスホテルは、お客様の滞在時間8時間のうち6時間が睡眠に当てています。「寝るための場所なのだからそこを充実させましょう」とお話ししています。

最近力を入れているのが企業への福利厚生関連です。セミナーやレクチャーなどのキャラバンをやっています。働き方改革から休み方改革への流れのなか、そこに「睡眠改革」も入れていきたい。ビジネスパーソンのパフォーマンスをあげないと生産性も上がりません。

ーー睡眠のセミナーや講習会など、地道とも言える活動です。

遠回りが一番の近道なんです。もし創業すぐに成功していたら、何かちょっとしたことできっとつまづいて終わっていたと思います。

最近力を入れているのが企業への福利厚生関連だ。セミナーやレクチャーなどのキャラバンを開いている。「働き方改革から休み方改革への流れのなか、そこに『睡眠改革』も入れていきたい」(宮崎さん)

買う側に立った品質のありかたが求められる時代

ーー桑田真澄さんや高橋尚子さんと製品開発の取り組みをされていますね。

現役バリバリのアスリートに出ていただくのは私たちのやりかたではありません。桑田さんも高橋さんもともに有名選手でしたが、いまは引退されています。ライズTOKYOはすべての人のための寝具メーカーです。アスリートとしての視点を踏まえながら、「父親として」「女性として」「学生として」などの多様な視点から商品を開発し、睡眠の大切さを伝えたいのです。

ーー宮崎さんも高校球児だったとか。

学校は違いますが、私は桑田さんより2つ学年が下です。高校は甲子園に出場できました。ぼくはアルプススタンドだったんですけどね(笑)。高橋さんは実は同じ高校出身なんです。

桑田真澄さんや高橋尚子さんと製品開発の取り組みを行っている。「アスリートとしての視点を踏まえながら、『父親として』『女性として』などの多様な視点から商品を開発し、睡眠の大切さを伝えたい」(宮崎さん)

ーー価格競争も激化しています。ものづくりとのバランスはどう取りますか。

すべてはお客様視点です。買う側に立った品質のありかたが求められる時代です。利幅が足りないので何かを削るということはしません。そんなことをするくらいなら製品をつくらないほうがいい。為替の変動や配送運賃の値上げで製造コストが上がることもありますが、そうなったらそれをお客様にきちんと説明して、その分をいただけばいいのです。価値を認めていただけたら、お客様は買ってくださいます。逆にコストが下がったら下げればいいんです。全部直球でいいんです。

健康寝具を知らない方はまだたくさんいらっしゃいます。その存在や適性な価格を知れば、必ず興味を持っていただけるはずです。まだまだ伸びしろがあると思っています。

宮崎さんが健康寝具を考えるスタートは、胃がんで生きるか死ぬかを経験したことだった。病を克服し「私は生かされている」と考えるようになったという。「私が生かされた意味は人の役に立つため。今の私には、それが「健康睡眠」を伝えることなんです」


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執筆者: 加藤陽之 - HANJO HANJO 編集長
コンピュータ関連の出版社からキャリアを始め、カルチャー雑誌などの編集長を歴任。これまで数多くの著名人をインタビューしてきた経験を活かし、HANJO HANJOでは中小企業経営者の深く掘り下げた話を引き出し続ける取材の日々。

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