成功するダイレクトマーケティングは「デジタル」と「紙」の併用!

相乗効果で顧客獲得を最大化する〜「CCCマーケティング」の事例から〜/販促・マーケティング総合展

2018年7月17日
デジタルだけが時代のすべてではありません。古いと思われている紙メディアが今、見直されています。紙とデジタルを組み合わせたPRや広報が効果を上げています。メディアの枠にとらわれない柔軟なダイレクトマーケティングについて、「CCCマーケティング」の成功事例からひもときます。
 販促・マーケティングに関わる商材を比較検討しながら揃えることができる総合展示会『販促・マーケティング総合展』が2018年7月4日〜6日の期間、東京ビッグサイトで開催されました。
 販促EXPO、店舗販促EXPO、営業支援EXPO、広告宣伝EXPO、Web販促EXPOの5つの専門展で構成された『販促・マーケティング総合展』では、販促に関わるチラシやDMの印刷サービス紹介や、ノベルティや什器、POP、デジタルサイネージなどの見本が数多く展示され、3日間で訪れた来場者は38420人と大盛況。また業界の第一線で活躍している講師陣による業界動向や事例が学べるセミナーも多数開催され、こちらも多くのビジネスパーソンで賑わいました。

 今回の記事では7月6日に開催されたセミナー「デジタル×リアル これからのダイレクトマーケティング」の講演より、デジタル時代における紙のDMの活用事例についてレポートします。

CCCマーケティング株式会社 マーケティングプランニングユニット ユニット長 石井大樹さん。「紙のDMはターゲットの好きなタイミングで情報を届けられるメディア」と語る

Tカード情報を蓄積したデータベースと紙のDMを組み合わせて顧客獲得

 セミナーのテーマは「デジタル時代のDM(ダイレクトマーケティング)戦略」。ありとあらゆるものがデジタルデータ化されている現代社会ですが、デジタルが万能というわけではありません。紙メディアも利用することによって、相乗効果が高く柔軟なマーケティング戦略が可能となります。

 今回、講師として登壇したのはCCCマーケティング株式会社のマーケティングプランニングユニット ユニット長である石井大樹さん。CCCマーケティング株式会社は蔦屋書店やレンタルのTSUTAYAでお馴染みのカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社のグループ会社です。

 TSUTAYAといえば、すぐに思いつくのが「Tカード」です。TSUTAYAだけでなく、コンビニやガソリンスタンドなど全国88万店舗でポイントを貯めることができるTカードは、2018年5月末のアクティブ・ユニーク会員数が6700万人。実に日本人の2人に1人が持っている計算になります。

 そしてTカードは単に利用者がポイントを貯めるだけのカードではありません。利用者がカードを使うことによって購買データや属性(年齢・性別・居住地域・子どもの有無など)、さらにはテレビと連動することによって視聴データまでを収集し、「ビッグデータ」としてデータベースに蓄積することができるのです。CCCマーケティングではこのデータベースを分析・活用しながらDMやウェブ広告などのさまざまなマーケティングを手がけているそうです。

 例えばCCCマーケティングでは「Tカード会員6700万人の属性や購買データを掛け合わせることで販促に活用できる」という旨のDMを休眠クライアント180件に送ったところ、41件との商談に成功(レスポンス率22.7%)し、さらに6社で受注が確定したという事例があったそうです。大きな特徴は「クライアントの業種別に9種類用意」したDMを、開封率が高く直感的に理解できる「絵本」の形で作ったということです。ちなみにこのDMは2018年3月の日本DM大賞で金賞を受賞しました。

 「紙というのは活用次第で高い訴求力をもたせることができます。この人を動かす力をデジタルとどう併用していくかがこれからのDM戦略の課題となります」(石井さん)

販促・マーケティングに関わる商材を比較検討しながら揃えることができる総合展示会『販促・マーケティング総合展』

紙のDMがデジタル広告よりも優れている3つのポイント

 ところでデジタル全盛の現代において、なぜ紙のDMはこれほどまでに強く人を動かすことができるのでしょうか?

 石井さんは他のメディアよりも紙のDMが優れている点として、3つの特徴を紹介してくれました。1つ目は住所と名前が書かれていて自宅に届くという「個人の特定性」。2つ目は視覚・聴覚だけでなく五感に訴える「リアルなモノが届く」ということ。そして3つ目はどんどん流れていくテレビやウェブの広告と違い、紙のDMは手元に残るという「寿命」。これはウェブを閲覧している、あるいはテレビを見ているときにパッと差し込まれる広告とは違い、捨てない限り自分の好きなタイミングでDMを見ることができるということを意味します。

 また近年のデジタル広告はランディングページに飛ぶ母数を増やすためのKPIとして、「いかにクリックさせるか」というところに重点が置かれています。スマートフォンを見ていたら突然広告が表示され、意図せずにクリックしてしまった……という経験は誰にも一度はあるのではないでしょうか? その結果「デジタル広告は見たくないし邪魔なもの」という認識が生まれています。これもデジタル広告より紙のDMの方が優れている理由の一つかもしれません。

 「ターゲットの好きなタイミングで情報を届けられるメディアというのはなかなかありませんが、紙にはそういう力があります。ですからこういう部分を上手に使わずに、わざわざ郵送コストをかけてDMを送るのはもったいない、ということを意識する必要があります」(石井さん)

日々進化を続けるデジタルメディアと、リアルな「モノ」である紙のDM。特徴がはっきりしている今こそ、それぞれが持つメリット・デメリットを理解し、最善の一手を打ち出す必要がある

一つのメディアに頼っていては顧客を獲得することはできない時代

 前述のような「デジタル広告は邪魔なもの」という認識は、デジタルだけですべてを完結させようとした結果生まれた矛盾である、したがってこれからは紙のDMとの組み合わせが必要であると石井さんは話します。

 例えばオンラインショッピングで顧客がカートに商品を入れたまま離脱した場合、24時間以内に商品DMを発送するという取り組みを行っている企業があります。このようにターゲットに対して即時性の高いアプローチをして反応率を上げることが重要となります。

 またデジタル時代の現代において、リアルなイベントによる体験がマーケティング上の重要なポイントとして注目を集めています。例えばモーターショーなどの大きなイベント会場で「Tカードを機械に通したら5ポイント差し上げます」という企画をすると、来場者が80万人いたらそのうちの8万人、つまり10%の人はカードを通すそうです。カードを通すことで属性情報を始めとするさまざまな情報を可視化できるので、その情報を元にプロモーション活動と連動させることが可能となります。このようにデジタル上では味わうことのできないリアルな体験は想像以上に大きな力を持っています。その場限りで終わらせず、いかにイベント後のアプローチにつなげるかを考える必要がありそうです。

 最後に石井さんは「この情報は紙でとか、デジタルから取るといったことを生活者は意識していません。あくまで購買プロセス上、適切なタッチポイントがあるというだけです。また生活者も賢くなり、情報やツールがあふれている中で単一のメディアだけで行動を起こさせるのは難しくなってきています。したがって購買プロセス全体の中でどのメディアに何の役割を持たせるかをきちんと設計し、それぞれに適切なKPIの設定・検証が必要となるでしょう」と締めくくりました。

 日々進化を続けるデジタルメディアと、リアルな「モノ」である紙のDM。特徴がはっきりしている今こそ、改めてそれぞれが持つメリット・デメリットを理解し、最善の一手を打ち出す。これこそがデジタル時代に求められるDM戦略なのではないでしょうか。

(レポーター/HANJO HANJO編集部 川口裕樹)
執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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