経営は、毎日、毎月、コツコツと。

2018年7月11日
経営者が現場で陣頭指揮を取り、肌感覚で対応できるのは成長前の初期段階だけです。会社が成長するにつれ、経営者は日々の数字を確認していくことが求められます。

 「継続こそが力なり」や「毎日コツコツと地道に努力を続けることが成功への近道」といった言葉を、仕事の現場や子供に言い聞かせているのをよく耳にします。実は経営も毎月コツコツと積み重ねることが重要です。
 
 経営者が現場で陣頭指揮を取り全てを把握している初期段階においては、自身のアタマの中にすべての情報・状況がインプットされているので、経営数字をコツコツと見ることはそんなに必要ありません。
 
 しかし会社が成長すると、従業員も増え、やがて自分以外の人間に仕事を任せることになります。そうすると経営者は現場の情報からどんどん疎くなってしまいます。

 では、成長期に入り現場と距離ができたとき、経営者はどういう態度で経営にのぞむべきなのでしょうか。

 まず最低でも月次でしっかり損益計算書を正確に作成するべきです。「前月との変動はなにか?」「変動の原因はなんなのか?」「前年同期比でどう比較できるか?」。

 毎月コツコツとこれらの分析を続けていき、「いいこと悪いこと」「短期的に対応しなければいけないこと」「長期的に対応していくべきこと」など経営課題を常に設定・改善していくことが大事です。
 
 時代は以前とは比べ物にならないほどのスピードで変化しています。年次の損益計算書をみて「去年よりどうだった」というような悠長な対応では、会社が時代から取り残されることは明らかです。現代のビジネスの速度感で考えれば、取り返しのつかない事態を招く可能性すらあります。

 中小企業の多くは10年以上生き残れないとよく言われます。仮にいま黒字だとしても、全体の数字をしっかり見ていくことができないと、経営課題の気づきすら生まれてこないでしょう。そしてそのまま会社が立ちいかない状況に陥ることになってしまうかもしれません。

 短期的な即応能力、次に来る長期的な設備投資、そのための資金調達・・・経営課題は次から次へと押し寄せてきます。その場しのぎではなく、毎月コツコツと積み重ねた経験と情報量が適時の経営判断を可能にするのです。
 
 月次で数字がとれていますか? 日次で売上げ数値があがっていますか?

 経営者が必要とする情報をすぐに取れる体制にしていきましょう。会社を成長させるためには、肌感覚の経営からコツコツと数字を見ることへと経営者自らが変わっていくことが求められるのです。
  • 会計ってなんだろう?

    4月から新年度の企業さんも多いかと思います。これを機に「会計ってなんなんだろう?」をあらためて考えてみてはいかがでしょうか。

執筆者: 李 日生 - プレジデントタイム株式会社 代表
慶應義塾大学経済学部卒業後、公認会計士試験合格、監査法人トーマツ国際部に入社・配属。国際企業(商社・通信事業会社・運輸会社等)の連結会計やM&Aを担当、中小企業の経営コンサルティングも数百社経験する。現在はプレジデントタイム株式会社、神宮前アカウンティングファーム株式会社、株式会社H HOLINGS、有限会社ルーベ、神宮前会計を主宰。会計・税務・経営・飲食・不動産等、実際の経営者として代表取締役視点で多岐に及ぶ経験を重ねている(「頭でっかちの机上の空論が大っ嫌い」を自認)。近刊に『忙しい社長を救う経理改革の教科書』(幻冬舎)がある。

コラム新着記事

  • 富裕層経営者は予防が大事!

    会社経営には最大限の労力を惜しまない経営者でも、自分自身のマネージメントは疎かになっていることがよくあります。金融商品、遺産相続、健康管理・・・。自分で対策をとることに限界がある領域については、外部の専門家に相談してあらかじめ予防することで、大切なものを守るべきです。

    2019年12月2日

    コラム

  • <シリーズ>「地方創生」2期へ! 1期を検証する⑤

    地方創生の最重要課題である東京一極集中の是正に関し、政府は達成の目標時期を2024年度に先送りする方向で調整しているといいます。地方はどうすれば東京への人口流出を防ぎ、流入する人を増やすことができるのか。今回は新幹線開業を契機に多くの民間投資を呼び込み、変貌するコンパクトシティ富山市を例に今後、地方に求められるまちの魅力、価値とは何かを考えます。

    2019年11月22日

    コラム

  • こんにちは。クラウドサービス「カイクラ」の江尻です

    株式会社シンカ代表取締役社長の江尻高宏さんによる連載。今回は看板サービスであるクラウドCTIの名称変更という大発表です。使い慣れたサービス名を、江尻さんは今なぜ変えるのでしょうか? その決断に至る心のあやを語ってくれました。

    2019年11月18日

    コラム

  • 特撮ドラマ『仮面ライダーゼロワン』 AIは人類にとって敵なのか味方なのか?

    「AIは人類にとって敵なのか味方なのか?」と気になる人に是非オススメしたいのが日曜朝9時から放送されている『仮面ライダーゼロワン』(テレビ朝日系)だ。主人公はAI企業の2代目社長! アンドロイドが社会に普及した世界を舞台に、暴走したアンドロイドを止めるため、仮面ライダーゼロワンに変身して戦う物語だ。

    2019年11月8日

    コラム

  • 株式会社シンカができるまで Vol.6 ~ベンチャーはこうして世に羽ばたく~

    株式会社シンカ・江尻高宏さんのコラム、シリーズとして会社創業時から現在にいたる汗と涙の道のりを振り返ります。何が成功を導いてくれたのか? 何が足りなかったのか? どんな出会いがあったのか? どんな発想で切り抜けたのか?・・・ベンチャー企業創業者だからこそ語ることのできるリアルストーリーです。第6回は前回に引き続き人材採用についてです。2人目以降は順調に採用できるはず・・・と思いきや、まったくうまくいかなかった創業初期の人材採用を振り返ります。

    2019年10月28日

    コラム

  • 斜めから見る〜今月の一冊 ⑩『マリア・シャラポワ自伝』

    ビジネスでは他人とつながったほうが良い結果が出る──この指針はあらゆるケースで全面適用に近づいているようにみえます。しかし本当にそうなのでしょうか? それでグローバルなサバイバル競争を勝ち残れるのでしょうか? ひとりきりになったときに、普段からどうすればよいのかーー今回おすすめしたいのは、個人の競争戦略の教本として読み応えだっぷりな『マリア・シャラポワ自伝』です。

    2019年10月15日

    コラム

  • 映画『記憶にございません!』ある日突然、自分が総理大臣をやることになったら?

    国民的映画監督の三谷幸喜が今回映画の題材に選んだのは総理大臣。しかも記憶を失った総理大臣! 着想のきっかけは「ごくごく普通の人間が、突然総理大臣になったらどうなる?」だったといいます。主人公を演じる中井貴一の悪戦苦闘は、若い頃の理想を見失ってしまったビジネスパーソンへのメッセージにもなっています。

    2019年9月30日

    コラム

  • <シリーズ>「地方創生」2期へ! 1期を検証する④

    地方創生戦略の重点項目の一つ、デジタル活用共生社会「society5.0」。しかし、地方に行けば、情報リテラシーの格差が見られます。スマートフォンやSNSの普及により新たな人とのつながりやバーチャル・コミュニティが形成される一方、リアルな地域のつながりは希薄化、地域コミュニティ力は減退しています。今回は地域SNSを使い、新たな地域のつながり、コミュニティの活性に挑む、若き起業家の挑戦に着目、地域におけるデジタル活用の手法を追いました。

    2019年9月24日

    コラム