スマホとWiFiでお客様を招き寄せる! O2Oマーケティングの決定版登場

どこでもつながる「タウンWiFi」が、急成長WiFi市場を制覇する

2018年6月4日
スマホでの動画視聴の機会が増えるにつれ、通信量の節約となるフリーWiFiの需要が急激に高まっています。その状況を背景に、フリーWiFiを自動で検索/ログインし、全国35万スポット以上でWiFiにつなげるサービス「タウンWiFi」が今、爆発的に数字を伸ばしています。そのメリットは一般ユーザーだけでなく、飲食店やモール、商店街などの中小企業や小規模事業者の誘客ツールとして大きな効果を発揮します。スマホからお店への流れは小売店のマーケティングのあり方を一変する可能性を秘めています。株式会社タウンWiFi CEOの荻田剛大さんに聞きます。
スマホでの動画視聴の機会が増えるにつれ、通信量の節約となるフリーWiFiの需要が急激に高まっています。好調なインバウンドもフリーWiFiの設置を後押ししています。2020年には約6,500万人がユーザーとなると予測されているのです。その状況を背景に、フリーWiFiを自動で検索/ログインし、全国35万スポット以上でWiFiにつなげるサービス「タウンWiFi」が今、爆発的に数字を伸ばしています。そのメリットは一般ユーザーだけでなく、飲食店やモール、商店街などの中小企業や小規模事業者の誘客ツールとして大きな効果を発揮します。これまで測定が難しかったチラシをデジタル化してお客様に届け購買に確実につなげること。スマホからお店への流れは小売店のマーケティングのあり方を一変する可能性を秘めています。株式会社タウンWiFi CEOの荻田剛大さんに聞きます。

社内でスタッフと歓談するタウンWiFi CEOの荻田剛大さん。起業のきっかけは、スマホで速度制限にひっかかって「なんじゃこりゃ?」と疑問に思ったことがきっかけだった

全国にあるフリーWiFiをスマホで自動的にログイン

ーー「タウンWiFi」を早速スマホにインストールして使ってみました。すごく便利です。フリーWiFi(公衆無線LAN)はいろいろな所にありますが、いちいち登録をしないと使えないことに苛立っている人も多かったと思います。

世界中にフリーWiFiがありますが、提供会社はそれぞれ異なります。認証も方式も異なるわけです。しかしタウンWiFiがあればそれらをまとめあげて、どのWiFiルーターでも自動的にログイン接続できるようになります。この方式で特許もとっています。

今、日本で対応しているフリーWiFiは約35万箇所あります。アプリをインストールするだけで気づいたらつながっているという状態になります。

ーーフリーWiFiを提供している事業者の許可を取っているのですか?

このサービスはユーザーが行う手続きを代行しているだけですので、事業者は関係ありません。簡単に言うと会員登録の自動化サービスなんです。ただ、WiFiを今後も事業者の方に提供し続けてもらうため、WiFi事業者によりメリットがある仕組みを提供し始めています。

「タウンWiFi」のメリットは一般ユーザーだけでなく、飲食店やモール、商店街などの中小企業や小規模事業者の誘客ツールとして大きな効果を発揮する点にある。スマホからお店への流れは小売店のマーケティングのあり方を一変する可能性を秘めている

スマホから店舗に誘導、店舗のワイファイでさらに商品をプッシュ

ーー一般のユーザーにとっては便利だし、お金も節約できてうれしいわけですが、どうやってマネタイズするのですか。

WiFiの提供者に有料のツールを提供しています。現状、WiFiを設置している小売店や商店街、モールといった事業者は、WiFi設置による集客や売上向上を実感できていません。利用時に登録するメールに届くプロモーションメールや、接続時の事業者からのメッセージやバナーもほぼ見られていません。

そこで僕たちは、事業者様に特別なダッシュボードを提供し、自分の店舗の周りにいるユーザを可視化し、集客できるようにしています。具体的には、有料のツールを導入いただいた場合、WiFiに接続したときに出る通知に、メッセージを出せるようにしています。半径1キロ以内にいる人に「タイムセールで安いですよ」といった、今この場所で人を集めたい場合に特に効果的です。この仕組みは好評で収益もあがっています。

ーーいわゆるチラシのようなものですね。

単にメッセージを出していただくだけでなく、タウンWiFiにはマーケティングツールとしての仕組みがあります。たとえばコーヒーショップがオープンしたことを伝えたい場合、伝えたいユーザーをユーザー属性と店舗からの半径で選択します。例えばそのコーヒーショップが駅の近くにあった場合、「●●駅WiFi」につながったということをユーザーのスマホに元々知らせているのですが、そのプッシュ通知の下にメッセージを出すことができます。僕たちはこれを「デジタルチラシ」と呼んでいます。次にそれを見たユーザーがコーヒーショップに行きショップのWiFiにつながることで、実際にチラシを見たユーザーが来店しているかがわかります。

「デジタルチラシ」のイメージ図(タウンWiFiの資料より) 「渋谷駅の●●WiFi」につながったことを知らせるユーザーへのプッシュ通知の下にメッセージを出す(画面右のスマホ画面)→それを見たユーザーがお店に行きそのお店のWiFiにつながることで、実際にチラシを見たユーザーが来店しているかがわかる

ーー想定外の成功事例があったとか。

コンビニが提供しているWiFiに「ネットで売れたあの本が今、このコンビニで買えます!」というメッセージを付与したところ、売上げがガツンと伸びたんです。その場で買える商品に対して効果が高いということがよくわかりました。

ーーO2O*ですね。「お客様の近くに気になる商品があります」という感じでしょうか。

もっと近い「目の前にあるよ」というレベルです。これを僕たちは「デジタルPOP」と呼んでいます。集客は駅近辺などターミナルにおいてデジタルチラシで行い、コンビニなど特定のお店に入ったタイミングで「WiFiに接続しました」→「その商品を売っています」というデジタルPOPを出すという流れです。
(*ネット上(オンライン)から、ネット外の実地(オフライン)での購買へと促す施策のこと)

ーー欲しい瞬間に欲しい商品がなければ、意味がない時代です。

コンビニでは棚をおさえても棚のなかでの競争が激しい。そこで差をつけるためにこのサービスを使ってくれています。デパートで販売しているアパレル関連も同様の効果が上がるものと思っています。

WiFiの効果をお店に知ってもらうためにルーターを無料配布

ーーチラシは「バラまく」という動詞とともに使われることが多いように、それが誰の手に渡ったかがわかりにくい広告手法です。

これまではWiFiを設置しても、それがどれだけ集客につながっているか把握できていませんでした。ネットの場合、1万円で1インストールあたりいくらといったようにCPI*を厳密に行うことができます。しかしリアルなチラシでは、何をきっかけに来店したのかの検知がむずかしい。(*CPI:ネットなどで1インストールあたりにかかる広告コストのこと)

タウンWiFiのツールでは、たとえば「1日予算1万円」とセットすると、1万人にデジタルチラシを表示して100人来店しました、という数字をきちんと出せます。この場合だと、ひとりあたり百円でお店に連れてきたことを示せるのです。予算を設定して入力すれば誰でも簡単にお客様をお店に連れてくることができるわけです。このツールは現在、テスト的に導入しており、今月(6月)から正式に始める予定です。

ーー集めたデータも収益源になりそうですが。

生データの販売はやりません。ユーザーの立場からすれば自分の位置情報を販売されるというのは気持ち悪いからからです。そのかわり、匿名化した上でのセグメント情報(コンビニによく行くユーザー)や統計情報(虎ノ門に来る人は男性が多いなど)の提供は実施します。これは、表示するメッセージの精度向上や新規の出店コンサルなどに活用する予定です。

ーーいま、WiFiルーターの無料配布キャンペーンを実施中ですね。

事業者の皆様に「WiFiを設置し、弊社ツールと連携するとお客さんが集まります!」ということを伝えるために始めました。オリンピックに向けて公共施設でのWiFiスポットは増えています。でもユーザーは飲食店やモールなどでもっと増やして欲しいと思っています。だったら「僕らが増やしていこうよ」と、WiFiルーターを希望する事業者に無償で送っています。おかげさまで、このところ月間で2000スポットのペースでどんどん増えています。今、累計で8000スポットです。

タウンWiFiのスマホでの主な流れ(タウンWiFiの資料より) ●「Wi-Fiに自動接続」/接続可能なWiFiをアプリが探して接続してくれるため、外出先でもWiFiにつながるようになる→●「Wi-Fiに自動ログイン」/WiFi接続後に必要な会員登録/ログインをアプリが自動で行ってくれる→●「Wi-Fi設置のリクエスト」/Wi-Fiを設置して欲しいお店を、タウンWiFiのアプリ内からリクエストすれば、順次Wi-Fi設置の交渉を行う。設置してくれる施設にはWi-Fiルーターを無料でプレゼント

とにかくユーザーのことを考える

ーーそもそもフリーWiFiに目をつけたのはなぜですか。

4年ほど前に自分のスマホで速度制限にひっかかって「なんじゃこりゃ?」と疑問に思ったことがきっかけです。速度制限はネットを我慢するということです。それでは、コンテンツやサービスを提供している事業者がどんなにがんばっても努力が無駄になり、インターネット業界の損失だと思ってはじめました。フリーWiFiは数多くあるので、どこでもWiFiな世界をつくれればいいんじゃないか、という風に考えたのです。

もともとは起業する気はありませんでした。前職の楽天在職中に考えていたサービスなので社内で発案したのですが、コンセンサスが得られなかった。じゃあ自分でやろうということで独立しました。今になって振り返ると「思い切ったことをしたな」と。

ーー楽天の皆さんは「しまった!」と思っているんじゃないですか。

(笑)まだまだそんなレベルではありませんが、そう言ってもらえるくらい頑張らないと、と思っています。ぼくは楽天が大好きなんです。今の自分の一挙手一投足は楽天時代に培われたものだと感謝しています。

海外戦略も進行中。すでにアメリカ、台湾、香港、マカオで、タウンWiFiはつながる。「海外ユーザーもどんどん獲得していきたい」(荻田さん)

ーー自分で立ち上げた「株式会社タウンWiFi」ですが、会社の文化や制度はどうありたいと考えていますか。

すべて「フラット」でありたい。給料は全員が同じ金額で、上がる時も下がる時も全員一緒。年齢や社歴も関係なしです。チームでサービスを良くできれば、社員全員の給料が上がるようにしました。

「とにかくユーザーのことを考えよう」と言っています。ユーザーに近い人ほど正しい判断をする。だから承認プロセスもありません。

ーー人を採用するときに何を重要視していますか。

うちのカルチャーにフィットしているかどうか。これを測るために、スタッフ皆と2〜3日一緒に働いてもらいます。一緒に働いてみて、お互いにいいなと思えたらはじめて採用しています。

大事なのは「自走」できることです。これは実は楽天用語なのですが、誰かに聞く人ではなく、自分で解決できる人でないと。

ーー荻田さんは「世の中の理不尽が嫌い」とおっしゃっていますね。

理不尽というとオーバーですが、たとえば、ウェブサイトの会員登録ページで電話番号や住所を入力する時に、全角半角問題で“怒られる”こと。そんなことは会社側が後でサーバーでトリミングすればいいだけです。「まじ、考えてねーな」とイライラさせられます。もっとユーザーのことを考えろよ、といつも思いますね。そういうのをなくして、いいサービスをつくりたいですね。

ーー荻田さんにとって「いいサービス」の定義は何なのでしょう。

サービスの提供者側が裏で頑張って、その結果ユーザー側は難しいことはなにもさせずに、ベネフィットを享受してもらうことです。


  • ■ニュース深堀り!■集客に成功するSNSの正しい使い方

    企業PRにLINEやTwitter、FacebookなどのSNSが積極的に利用され始めている。16年8月16日にICT総研が発表した「2016年度 SNS利用動向に関する調査」でも、SNS利用者数は17年には7000万人を超える見通し。テレビや雑誌が苦境にある中で、企業によるプロモーションの場はリアルからウェブへと拡散し続けているが、その中においてもSNSがトレンドとして注目度を高めている。

執筆者: 加藤陽之 - HANJO HANJO 編集長
コンピュータ関連の出版社からキャリアを始め、カルチャー雑誌などの編集長を歴任。これまで数多くの著名人をインタビューしてきた経験を活かし、HANJO HANJOでは中小企業経営者の深く掘り下げた話を引き出し続ける取材の日々。

インタビュー新着記事

  • 生牡蠣を世界ブランドに変えるコンサルティング!挑戦こそが企業を再生させる

    欧米に比べて保守性が語られることが多いのが日本企業です。しかし、そんな日本の企業文化に、風穴を開けようとするスタートアップのコンサルティング企業があります。それは「挑戦」と「蓄積」を組み合わせた社名を持つ「TRYFUNDS(トライファンズ)」です。いま手がけるのは上場後わずか2年で債務超過に転落していた牡蠣の生産販売会社の立て直しです。そこには一体どんな挑戦があるのでしょうか。

    2018年6月13日

    インタビュー

  • 100年続く老舗建設会社の4代目は元テレビマン。伝統と革新で時代とあゆむ

    日本には数多くの「100年企業」があります。そこには底通する「何か」があります。今回ご紹介する株式会社三木組は、明治30年に福井県に創業、大正12年、横浜に進出し、昨年120周年を迎えた「100年企業」です。5年前に創業家から三木康郎さんが4代目社長として就任、元テレビ局員という新たな視点から会社の変革に乗り出しています。三木社長に話を聞きます。

    2018年6月7日

    インタビュー

  • 100年続く企業を目指せ! 信念の不動産会社の格闘記

    東京オリンピックを前にして、不動産業界は活況を呈していますが、浮き沈みの激しい業界の代表とも言えます。そんな不動産業にあって、安定して好業績を出し続けている会社が横浜にあります。(株)ハウスコーポレーションはビルを多数所有、ストックの構築により不況にも耐えうる経営を実践してきました。ハウスコーポレーション代表取締役の柿内一浩さんに聞きます。

    2018年5月29日

    インタビュー

  • タピオカドリンクをもっと身近に〜郊外から攻めて十代の人気を獲得!

    いま、台湾発のタピオカドリンクがブームです。原宿や代官山では海外資本が続々と専門店を出店しています。そんな中、タピオカドリンクを郊外からじわじわと人気商品にしている日本の中小企業があることをご存知でしょうか。そこにはどんな戦略があったのでしょうか。J・Jの忠岡鴻謹社長に聞きます。

    2018年5月25日

    インタビュー

  • 固定電話をITで生産性向上につなげる〜CTIを低価格で便利に

    中小企業や小規模事業者では、固定電話でのお客様とのやり取りが経営を支えています。ただ、共有化やデータ化などができず、効率が非常に悪いのが問題でした。生産性向上するにはどうすればいいのか? ITを使ってその答えを出したのが、株式会社シンカの「クラウドCTI『おもてなし電話』」です。シンカ代表取締役の江尻高宏さんに聞きます。

    2018年5月24日

    インタビュー

  • 次に来るのはバスのシェアリング、目指すは旅行業の民主化

    今、ビジネスを大きく成功させるために必要なのは、パイを奪い合うことではなく、新たなパイを生み出す「新業態」の開発です。では、どうすれば成功する新業態を生み出すことができるのでしょうか? 急速に広がるシェアリングビジネスに登場したのが、貸切バスの手配を手がける「ワンダートランスポートテクノロジーズ株式会社」です。代表取締役の西木戸秀和氏に話を聞きます。

    2018年5月17日

    インタビュー

  • アサヒグループホールディングス会長 泉谷直木氏に聞く②/経営者は「山頂の松」に学べ

    顧客価値を創出するための、卓越した経営。それを実践するロールモデルとなる組織・団体を表彰するのが、1995年に設立された「日本経営品質賞」です。この活動を支える経営品質協議会の副代表を務めるのが、アサヒグループホールディングス株式会社代表取締役会長の泉谷直木氏です。インタビュー後編では、変革の時代に多くの課題に直面する中小企業経営者が持つべき考え方や信念についてお話を伺います。

    2018年5月11日

    インタビュー

  • アサヒグループホールディングス会長 泉谷直木氏に聞く①/新しく始まった「経営デザイン認証制度」とは?

    顧客価値を創出するための、卓越した経営。それを実践するロールモデルとなる組織・団体を表彰するのが、1995年に設立された「日本経営品質賞」です。この活動を支える経営品質協議会の副代表を務めるのが、アサヒグループホールディングス株式会社代表取締役会長の泉谷直木氏です。前編では日本経営品質賞に取り組む意義や目的と2018年度より新しく始まる「経営デザイン認証制度」について、そして、後編では変革の時代に多くの課題に直面する中小企業経営者が持つべき考え方や信念について、お話しを伺います。

    2018年5月9日

    インタビュー