100年続く企業を目指せ! 信念の不動産会社の格闘記

人生最高の高額商品を仕事にする喜び〜「ハウスコーポレーション」〜

2018年5月29日
東京オリンピックを前にして、不動産業界は活況を呈していますが、浮き沈みの激しい業界の代表とも言えます。そんな不動産業にあって、安定して好業績を出し続けている会社が横浜にあります。(株)ハウスコーポレーションはビルを多数所有、ストックの構築により不況にも耐えうる経営を実践してきました。ハウスコーポレーション代表取締役の柿内一浩さんに聞きます。
東京オリンピックを前にして、不動産業界は活況を呈しています。しかし時代を振り返ってみれば、バブルの崩壊やリーマンショックでの大暴落などもあり、浮き沈みの激しい業界の代表とも言えます。しかしそんな不動産業にあって、安定して好業績を出し続けている会社が横浜にあります。(株)ハウスコーポレーションはビルを多数所有、ストックの構築により不況にも耐えうる経営を実践してきました。人生で最も高い買い物である不動産を扱う仕事の真髄とは何なのでしょうか? その問いかけの先にはお客様と歴史を刻むことに喜びを感じる薩摩人がいました。ハウスコーポレーション代表取締役の柿内一浩さんに聞きます。

株式会社ハウスコーポレーション 代表取締役の柿内一浩さん。浮き沈みの激しい業界にあって、好業績を出し続けてきてこれたのは「『100年続く』不動産会社を目指してきたから」だという

「100年続く」不動産会社になるために

ーー浮き沈みの激しい不動産業界にあって、ハウスコーポレーションはなぜ好業績を維持してこられたのでしょうか。

「『100年続く』企業にするにはどうすればいいか?」をちゃんと考えてきたからじゃないでしょうか。不動産は人が暮らし働く場所だから、お客さんとは長く付き合う企業でなければなりません。売った相手がなくなってしまったら、メインテナンスもできなくなります。右から左へ売って終わりの商売では長続きしません。

具体的なビジネスの方法としては「家賃収入」を重視してきました。ビルを買ってテナントから賃料を得る。時間はかかりますが、確実に安定した収入がはいってきます。目先の金ばかりを追っていてはダメです。

会社を立ち上げる前から数えると35年間、私は不動産業界で働いてきました。今から30年程前、バブル経済が崩壊して同業他社の多くが潰れていきました。不動産業界は儲かるのも早いけれど潰れるのも早い。自己破産した経営者も見てきました。中小で生き残るのは大変です。そういった経験の重みもあるかもしれません。

ーー振り返ってみて、厳しい時期はありましたか。

今から19年前に横浜駅西口に7階建てのビルを買った時ですね。金融機関からの借入れができず、大変でした。その時はテナントが入ってくれたことで融資にこぎつけました。でも私は苦労とは思っていないんです。人と接するのは楽しいことですからね。

ーー不動産業を生業にしようと思ったのはなぜですか。

人生を物語るような「高額な」商品を扱いたかったんです。最も高い買い物と言えば、土地や建物・住宅です。大学を卒業して不動産会社に入り、その後大手に移りました。ただその会社では仲介が私の担当だったんです。私は、自分で土地を仕入れてメーカーとして家を建てて売りたかったんです。

ハウスコーポレーションが所有するビルや分譲する住宅。厳しい時期も乗り越えて来た。「私は苦労とは思っていないんです。人と接するのは楽しいことですから」と柿内さんは語る

ーー30代で社長に就任されました。

37歳のときです。この業界は30代で創業しないとダメ。40代のスタートはない。50代でリタイアしようと思っていたので、そこまででお金を返せるように創業してすぐにビルを買ったんです。ビルは今、個人で持っているビルも併せて16棟あります。景気の悪い時にビルを買って、それを売らなかった。当時、こんなやり方をする同業者はいませんでした。
1999年の金融不安の時に横浜西口のビルを買いました。競売にかかっている中古で2億2千万円ほどでした。バブル期、建築当初は20億円以上の物件です。そのビルは今、5億円以上の値がついています。

土光敏夫さんに会いにいった学生時代

ーー起業しようと思ったのはいつ頃のことなんですか。

親父がよく不動産の相談を受けていた事もあり、いつかは経営者になろうと考えていました。そういう思いもあり、大学生の時に、土光敏夫さんに会いに行きました。自宅の住所を調べて、直接自宅に会いに行ったら家に上げてくれたんです。

ーーすごい行動力ですね!

「私利私欲に走らないのはなぜですか?」など私の色々な質問に答えてくれました。いまでも悩んだ時には鎌倉にある土光さんのお墓参りに行きます。経営者として土光さんは一番尊敬しています。不動産業界は派手過ぎでいけない。何と言っても「メザシの土光さん」ですからね。

ーー毎年、社内外の関係者を招いた大きな懇親会を開いているとか。

年に2回、3日間から1週間かけて、横浜の当社保有のゲストハウスに取引先や関係者を100〜200人招待して懇親会を開いています。もちろん費用はすべて当社が負担し、すべておもてなしいたします。仕事を出す側も受ける側もともにお声がけするので、弁護士、税理士の先生もいれば、取引先、取引のある金融機関の野球部がバーベキューをやっていたりします。ビジネスの肩書きを崩して無礼講でやりたいので、役割の分担はありません。家族連れもOKです。子どもさんも喜んでくれています。不動産業は「人のことを考える」仕事なんです。

写真は創業20周年を記念して催した「感謝の集い」。ハウスコーポレーションでは毎年、社内外の関係者を招いた大きな懇親会を開いている。仕事を出す側も受ける側もともに招く。ビジネスの肩書きを崩しての無礼講での交流が「柿内流」

ーー柿内さんは鹿児島のご出身ですが、大河ドラマ『西郷どん』はご覧になっていますか。

鹿児島県人は皆見ています(笑)。主演の鈴木亮平さんは私の中ではまさに西郷さんのイメージ通りです。きっと西郷さんはあんな風に朗らかでおおらかだったと思いますよ。オープニング映像にある滝のシーンはうちの実家からクルマで20分ほどのところにあるんです。鹿児島に帰った時によく見に行きますが、いつも感動して帰ってくるんです。

カーネギーの『人を動かす』を読み続けてきた

ーー今日はビジネスでの愛読書をお持ちいただきました。

カーネギーの『人を動かす』が一番の愛読書です。この本は大量に買っていて、社員皆に一冊あげるんです。CDとカセットテープ版もあるので、「暇なときにクルマのなかででも聞きなさい」といっています。営業のバイブルですね。

ーーどういうところがいいんでしょうか?

「こう言われたら、こう見る」「こう言ったら、こうなる」。つまり、人の行動をどう分析するかを語っているんです。ある意味、人の心理の裏をつくということですね。行動心理学の先駆けじゃないでしょうか。今でも時々読んでいます。忘れた頃に読むんです。時代の流れでサービスは変わっても人間自体は変わりませんからね。大学のゼミの教授から紹介され、もう38年間、読み続けていることになります。

柿内さんの愛読書はカーネギーの『人を動かす』。人の行動をどう分析するかを語る本書は、柿内さんにとって営業のバイブルだ。大学のゼミの教授から紹介され、38年間、読み続けているという

ーーシェアハウス「かぼちゃの馬車」事件がありました。不動産を買うときに何を心に留め置かないといけないのでしょうか。売る側からのアドバイスを聞かせてください。

不動産は高額商品なので、全体をよく見てよく考えることが必要です。そのためにはセカンドオピニオンを大事にするべきです。悪い不動産屋はお客さんを洗脳して買わせます。「かぼちゃの馬車」は30年家賃保証とうたっていましたが、5年でも難しいのに、そんなことができるわけがない。もし不動産業界の友人がひとりでもいれば、すぐに忠告してくれていたはずです。だからセカンドオピニオンなんです。昔はよく「友達を持つなら医者と弁護士」と言われていましたが、そこに不動産屋を加えたほうがいい。見つけられないなら、ネットの相談サイトでもいいと思います。

ーー不動産業界はいま活況を呈していますが、この先をどう予測されますか。

東京オリンピックの前、2019年10月に消費税が10%に増税される可能性が高い。オリンピック前には建物は完成しているので建設ラッシュは止まります。大きな仕事は出てきません。そうするとオリンピック前くらいから景気が悪くなるのではと案じています。私としてはこれまで通り不動産業に徹して、自然体でビジネスを進めていき、今までの経験を生かして、将来は企業の再生の仕事もしたいですね。

東京オリンピック景気にわく不動産業界だが、この先は不透明だ。そんな時代だからこそ情勢に動じないようにしたいと語る柿内さん。「これまで通り不動産業に徹して、自然体でビジネスを進めていきたい」



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執筆者: 加藤陽之 - HANJO HANJO 編集長
コンピュータ関連の出版社からキャリアを始め、カルチャー雑誌などの編集長を歴任。これまで数多くの著名人をインタビューしてきた経験を活かし、HANJO HANJOでは中小企業経営者の深く掘り下げた話を引き出し続ける取材の日々。

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