タピオカドリンクをもっと身近に〜郊外から攻めて十代の人気を獲得!

日常で愛されるスウィーツのためにBULLPULUが選んだ逆転の発想とは?

2018年5月25日
いま、台湾発のタピオカドリンクがブームです。原宿や代官山では海外資本が続々と専門店を出店しています。そんな中、タピオカドリンクを郊外からじわじわと人気商品にしている日本の中小企業があることをご存知でしょうか。そこにはどんな戦略があったのでしょうか。J・Jの忠岡鴻謹社長に聞きます。
いま、台湾発のタピオカドリンクがブームです。原宿や代官山では海外資本が続々と専門店を出店しています。そんな中、タピオカドリンクを郊外からじわじわと人気商品にしている日本の中小企業があることをご存知でしょうか。神奈川県の(株)J・Jが展開するチェーン店「BULLPULU(ブルプル)」は、亀有や川崎、武蔵小杉など、都心部ではないエリアで高校生を中心に圧倒的な支持を得ています。そこにはどんな戦略があったのでしょうか。J・Jの忠岡鴻謹社長に聞きます。

株式会社J・J 忠岡鴻謹 取締役社長。「いい製品はを作ってるのだけど、お金まわりがうまくいかない」と、声をかけられて経営に関わることになった。当初は「タピオカ?」と思っていたそうだが、いまではスウィーツ業界の魅力にとりつかれている

スウィーツは庶民の楽しみ、だから郊外から店を始めた

ーー原宿や表参道などオシャレスポットで台湾発のタピオカドリンクが流行っています。

10年前にも一度タピオカブームがあったんです。それはやがて廃れていったのですが、昨今の台湾ブームに乗っかって、再びタピオカが注目されるようになってきました。これまではタピオカスウィーツ単独でのお店はなかったのですが、モールでも専門店が受け入れられるようになってきました。

BULLPULUは6年前に亀有の「アリオ」というモールで初めて出店しました。そのお店が「はじけた」んです。売り上げはずっと右肩上がりです。タピオカはブームを超えて、定着したように思います。

ーースウィーツ業界の面白さはどんなところにあるのでしょう。

テレビで取り上げられるような一過性のブームに興味はありません。私たちはスウィーツの聖地である原宿には出店してきませんでした。亀有や石神井などの郊外が中心です。逆に地域の日常に受け入れられたときに、スウィーツに関わる仕事が「あぁ、これは面白い!」と思えるようになりました。おかげさまで週末になるとお店は行列になっております。たい焼きのようにスウィーツは庶民のものですし、それがスウィーツの面白みでもあります。

ーーもともとタピオカという食材をご存知だったのですか。

初めて見た時は「タピオカ? これを人間の体に入れていいのか?」と思ったくらいです(笑)。

ーー忠岡さんはなぜJ・Jに関わることになったのでしょうか。

「いい製品を作ってるけど、お金まわりがうまくいかない」と、声をかけられて経営に関わることになりました。亀有店が当たって、2号店、3号店とお店を次々と開いたはいいのですが、お金の算段ができていませんでした。原料は海外(台湾)からの仕入れ=現金前払いなので、キャッシュフローがうまくいかなくなってしまったのですが、金融機関との関係もできていませんでした。そこで私が入って整理をつけたというわけです。

ーーJ・J以前には、実家である町工場の事業承継で苦しい日々があったと聞きました。

大学を出て会社勤めを2年ほどしていたのですが、家業の町工場を継ぐことになりました。職人としてのこだわりを持って経営していたのですが、就任5年程で中国製の安い製品が大量に押し寄せてきてどうにもならず、10年目に精算をしました。その大変だった時期、知らず知らずのうちに「経営」が身についたように思います。

BULLPULUの製品のこだわりは、台湾から仕入れているタピオカのもちもち感と茶葉。現地視察を重ね、日本人に受け入れられる味を追求している。一番安いドリンクが350円。ワンコインでおつりがくるという価格が、若い世代を中心に支持されている

外食産業は立ち止まったら終わり、これからも挑戦を続けていく

ーー「グランツリー武蔵小杉店」が現在絶好調です。高層マンションはブームですし、そこに併設されているモールには子どももたくさん来ています。そこがビジネスチャンスです。
グランツリー武蔵小杉店は、1杯約400円で月500万円売り上げています。平日・週末関係なくコンスタントに売れています。亀有店は高校生のお客様で毎日賑わっています。

このところ、タピオカスウィーツ業界では、外国資本で黒船のように続々と日本に入ってきています。しかし、私たちは同じ土俵で戦うつもりはありません。これまで通りのやり方を踏襲しながら、旗艦店を作り認知度を高めようと考えています。デベロッパーさんからは都心部と郊外、両方から新店のお話がきていますが、現在経営戦略を練っているところです。

いまはメインが十代のお客様です。そのベースは変えませんが、外食産業は立ち止まったら終わりですから、この先は高級層にも挑戦したいと思っています。

ーーBULLPULUの製品のこだわりを教えてください。

タピオカのもちもち感にこだわっています。それと茶葉。ミルクティーの茶葉も台湾から仕入れています。難しいのは現地の味にこだわりすぎてしまうと、日本人に受け入れられない場合があることです。そのため、台湾の他店視察・試飲は、より多数が好んだ商品を参考にするようにし、私の主観は入れず、最も多く社員が「美味しい」と選んだ商品を基準にしています。

ーー気軽に買える値段も魅力ですね。

一番安いドリンクが350円。基本的にはどのドリンクも500円超えません。ワンコインでおつりがくるという価格にしています。これが600〜700円だったら、お客様は「う〜ん」となってしまうはずです。企業努力によるコストパフォーマンスです。

BULLPULUの店舗ディスプレイについては、ブランディングは変えずに地域性や場所性を考慮に入れる方法をとっている。アパレル業界におけるVMDの考え方を店舗づくりに応用している

人材の「材」は財産の「財」

ーー出店場所によって店舗のディスプレイが異なっています。

地域マーケティングもありますし、モールからの要望もあります。ブランディングは変えずに地域性や場所性を考慮に入れるという方法です。「これは?」と思ったらスピード感を上げてすぐに変えています。

ーーファッション業界における店舗設営でのビジュアルマーチャンダイジング(VMD)の手法に似ています。

店舗は場所の雰囲気やスタッフの表情などで変わってきます。私はアパレル業界で働いていたこともあり、VMDの考え方をBULLPULUにも応用しようと思っています。タピオカドリンクが定番化するのか、また一過性のもので終わるのかはまだわかりません。しかし変化があってもそれに対応できるように「腰の軽さ」は持っておきたいと思っています。

「外食産業は立ち止まったら終わりですから、この先は高級層にも挑戦したい」と自社工場を前に語る忠岡さん。これまでのやり方をベースにしながら新たな展開で認知度を高める戦略だ

ーービジネスが順調ないま、次は何を実行しますか。

経営のポイントは「人材」だと思っています。BULLPULUの第一世代であるいまの店長さんはとても頑張ってくれています。彼らに続く第二世代を作りたい。ややもすればブラックだと思われてしまう外食産業ですが、頑張れば次のステージに向かえるという仕組みを作りはじめています。未来が感じられる目標を設定して、社員のモチベーションを上げたい。人材の「材」は財産の「財」です。「ヒト・モノ・カネ」のうちお金の部分が解決したので、次は人の成長に投資をしていきます。

執筆者: 加藤陽之 - HANJO HANJO 編集長
コンピュータ関連の出版社からキャリアを始め、カルチャー雑誌などの編集長を歴任。これまで数多くの著名人をインタビューしてきた経験を活かし、HANJO HANJOでは中小企業経営者の深く掘り下げた話を引き出し続ける取材の日々。

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