固定電話をITで生産性向上につなげる〜CTIを低価格で便利に

「おもてなし電話」はお客様とのコミュニケーション・プラットフォーム

2018年5月24日
中小企業や小規模事業者では、固定電話でのお客様とのやり取りが経営を支えています。ただ、共有化やデータ化などができず、効率が非常に悪いのが問題でした。生産性向上するにはどうすればいいのか? ITを使ってその答えを出したのが、株式会社シンカの「クラウドCTI『おもてなし電話』」です。シンカ代表取締役の江尻高宏さんに聞きます。
電話というとスマホを思い浮かべる時代です。しかし、固定電話を使わないと商売が成り立たない会社も数多くあります。中小企業や小規模事業者、個人商店では、固定電話でのお客様とのやり取りが経営を支えています。ただ、そのやり取りは記録に残らないため、共有化やデータ化などができず、効率が非常に悪いのが問題でした。生産性を上げるにはどうすればいいのか? ITを使ってその答えを出したのが、株式会社シンカの「クラウドCTI『おもてなし電話』」です。固定電話の特性を活かしながらITで無駄を省くというサービス、いま日本が求められている生産性向上ツールの決定版といえるかもしれません。シンカ代表取締役の江尻高宏さんに聞きます。

株式会社シンカ代表取締役 江尻高宏さん。「固定電話をIT化できれば、中小企業の生産性は上がるに違いない!」との思いから生まれたのが「おもてなし電話」だ

クラウドの登場がCTIを低価格で便利なツールに変えた

ーー「クラウドCTI『おもてなし電話』」ですが、わかりやすい単語とわかりにくい単語が組み合わさっています。

CTIという言葉は初耳かもしれませんね。CTIは「Computer Telephony Integration」の略で、コンピュータと電話を連動させ、情報を効率的に管理する技術のことです。電話がアナログからデジタルに変わり、電話で得た情報をコンピュータに飛ばし、コンピュータ画面で確認できるようになりました。1990年代、CTIは主に大手や中堅企業のコールセンターで導入されました。システム構築には何千万円、何億円とかかる多大な投資が必要で、当時は「高級なシステム」と呼ばれていたものです。しかし効率化の効果も非常に大きく大企業では一般的になりました。ただ、そんな金額では中小企業や小規模事業者にはとても無理なシステムでした。

ーーそんなCTIなのにおもてなし電話は月額の最低ラニングコストが9,800円です。何億もかかっていたサービスとは思えないほど安くなっています。

クラウドが出てきて、お金をかけずにシステム構築ができるようになったことが背中を押してくれました。「今ならうまくいく!」と2014年にサービスインをしてから3年半で、導入業者は100を超え、650社1000店舗・事業所に利用いただいています。

おもてなし電話の映像による案内

ーー街のお店や中小企業のオフィスでは、固定電話はいまだになくてはならない存在です。

しかし、その実際をよく見てみると、まったく効率的に使われていないことに気づきます。「いつものあれ」というような調子で取引先と電話している社長さんは日本中に大勢います。同じ取引先に別の社員が電話対応して「『いつものあれ』って何ですか?」と聞き返して先方に怒られたという笑い話のようなことが当たり前なんです。

ーー仕事が属人化してしまっていて、誰も引き継げない。

「いつものあれ」と聞いた時、ピンときたんです。電話をIT化できれば、中小企業の生産性は上がるに違いない、と。

夢を語るのはいつも中小企業だった

かつて中小企業向けのコンサルタントをしていた経験から「『中小企業が元気になれば、日本は変わる』と信じています」と語る江尻さん

ーーなぜ「中小企業」だったんですか。

私がCTIに出会ったのは新卒で入った株式会社日本総合研究所の時でした。そこで大企業向けのコールセンターのシステムを作っていました。その後、転職したのが株式会社船井総合研究所です。ご存知のように中小企業に特化したコンサルタントです。いつか起業しようと思っていたので、大企業とは対照的な中小企業を知っておきたいと考えてのことでした。
船井総研では、何千という中小企業の経営者と話をしました。中小企業に共通なのは、「ルールもない」「記録もない」「社長がワンマン」。でもそれが日本の中小企業なんです。そこはなんとかしないといけないのですが、一方でとても魅力的な面も見てきました。中小企業の社長は「夢を語る」んです。社員も生き生きと夢を語ることが多い。大手企業の社員は食事会のときでも、ビジネスの話ばかりでした。日本を変えるのは「夢」です。「中小企業が元気になれば、日本は変わる」と思っているのは、そんな経験からです。
私がITに魅せられたのは「Windows95」の登場がきっかけでした。マウスを動かしインターネットで世界中の人とやりとりできるようになり、ソフトウェア(当時はITという言葉は流通していなかった)で世界が変わる、日本を変えられると確信したのです。

ーー「ITで日本の中小企業の生産性を世界一に」というミッションを掲げていますね。

正直なところ、まだまだ中小企業の生産性は低い。それはITをとことん使いこなしていないからです。生産性向上を図るにはITしかありません。でも中小の経営者の多くが「IT嫌い」です。だから「電話」なんです。スマホは今、誰もが持っています。中小の社長さんも普通にチャットや検索をしています。これまでなら自社に戻って調べていたことが手元でできるようになったことで、ITの意味に気づいたはずです。きっかけがあったらもう大丈夫です。ITも使いこなせるようになります。きっかけが電話(スマホ)ならば、会社の固定電話もIT化すればいいんです。固定電話のIT化が、中小企業でITを活用する突破口になると思っています。

おもてなし電話の画面イメージ(不動産業のパターン)より。「お客様の氏名や会社名」「写真・画像の表示」「共有メモ」「電話番号と前回の着信日&トータルの着信回数」「お客様の基本情報」などが固定項目として表示される。過去の購入履歴などの自由項目も設定できる

おもてなし電話はコミュニケーションのプラットフォーム

ーーおもてなし電話は「クラウド」が重要です。

クラウドのいい点は様々なデバイスと連結できることです。パソコンだけでなく、タブレットやスマホでも見ることができます。私たちがおもてなし電話を「コミュニケーションのプラットフォーム」だと言っているのは「つながる」ことが最終的な目的だからです。例えばお店が休みでも、お客様からお店に電話がかかってきたことが手元のスマホでわかります。おもてなし電話の画面から、お客様へショートメッセージを送れることはもちろん、関係者にも一斉メールが送れます。そういった機能は他社のサービスにはありません。

デジタルメールが苦手な高齢のお客様には形のあるDM(ダイレクトメール)も送れます。つまり挨拶ハガキの郵送です。ボタンひとつで契約している業者につながり、宛名書きから挨拶の文面、ハガキのデザイン、そしてポスト投函まですべてをやってくれます。おもてなし電話を使えば、お客様との電話がスムーズに、そしてショートメッセージやDMを送ることで、これまでできなかったお客様とのつながりが簡単にしかも深くできるんです。

今以上に中小企業を忙しくさせても仕方がありません。ITを使ってできることはITに任せることで、もっといろんなことを中小企業ができるようになるんです。

日本文化のいいところは残しつつ、無駄なところや効率化できるところはITに任せるーー「おもてなし電話」のロゴを筆文字でにした理由はそんなところにある

ーー電話という口頭の会話や伝達を入り口にして、様々なコミュニケーションが生まれるわけですね。

私は電話は決してなくならないと思っています。実際ウェブ上での予約サイトがこんなに溢れているのに、電話で予約する人はいなくなりません。それは生の声による双方向のコミュニケーションだからです。電話だと、予約をお互いの確認により完了させることができます。そこには安心感が生まれます。

日本のおもてなしの特徴は少々非効率だけれどそれでもサービスしてしまう点にあります。一方、効率的であるデジタルは突き詰めると人に冷たい印象を抱かせてしまう。デジタル一辺倒は日本には合わないと思うのです。日本文化のいいところは残しつつ、無駄なところや効率化できるところはITに任せるーーおもてなし電話はITを使ったサービスですが、ロゴを筆文字にしたのはそこを表現したかったからなんです。

次は介護関連の職場環境を改善したい

ーー使っているお客様からの反応を教えてください。

「電話での仕事をスタッフが楽しいといってくれる」という感想を多くいただいています。社外だけでなく社内のコミュニケーションもうまくいっているということだと思います。すごくうれしいですね。

今好調なのは、住宅不動産、自動車業界、士業、クリニック/メディカル系のお客様です。どんどん増えています。高単価商品・サービスは、購入にいたるまでに何度も接客が続くため、コミュニケーションの力のあるおもてなし電話が評価されているのだと考えています。今後、注目しているのは介護関連です。経営側は「働きやすい職場環境の提供」を目標としています。問題なのが特に電話でのクレームです。クレームの電話対応でお客様の名前を確認したり、これまでの流れを知らなかったりすると怒鳴られたりすることがあります。従業員にとって電話のストレスが高いんです。そんな状況をおもてなし電話は改善できると思っています。

日本語と英語のふたつを大切にして命名した会社名「シンカ(Thinca)」。「常に考え続ける会社でありたい」というシンク(Think)、深く考え続ける「深化」、そして常に成長し続ける「進化」ーーそれが会社名に込められた思いだ

ーー今後の目標を教えてください。

ITはまだまだ進化します。あと20年ほどで2〜3段階、新たなステージがくるはずです。私たちはコミュニケーションとITのふたつはブレないようにしたいと考えています。

会社名である「シンカ(Thinca)」は日本語と英語のふたつを大切にして命名しました。「常に考え続ける会社でありたい」というシンク(Think)、深く考え続ける「深化」、そして常に成長し続ける「進化」です。考え続けることでしかお客様に喜んでもらえるサービスは提供できません。そして知識を知恵にするためには考えることが必要です。最高のサービスを提供するために考え続け、深化し、進化していきます。

執筆者: 加藤陽之 - HANJO HANJO 編集長
コンピュータ関連の出版社からキャリアを始め、カルチャー雑誌などの編集長を歴任。これまで数多くの著名人をインタビューしてきた経験を活かし、HANJO HANJOでは中小企業経営者の深く掘り下げた話を引き出し続ける取材の日々。

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