お金をかけなければ、知恵が生まれる

2017年9月28日
会社は、何が何でも利益を上げなければならない。当たり前と言えば当たり前のことであるが、時として忘れてしまう、あるいはないがしろにされてしまっていることが、あるように思う。お客様へのお役立ちも、社員の幸せも、すべては利益があって初めて言えるのだ。
 会社は、何が何でも利益を上げなければならない。当たり前と言えば当たり前のことであるが、時として忘れてしまう、あるいはないがしろにされてしまっていることが、あるように思う。

 公的な組織でない限り、誰もあなたの会社の存続を保証してはくれない。自力で生き抜き、何としても継続していかなければならないのだ。その会社の継続の源になるのが、利益である。会社は利益があってこそ、さらにはその資金の裏付けがあってこそ、継続していくことができる。お客様へのお役立ちも、社員の幸せも、すべては利益があって初めて言えるのだ。

 では、会社が利益を上げるためにはどうしたらよいか? それは、利益の算式を見ればすぐにわかる。

 【利益=売上ー経費】

 売上より経費が少なければ、必ず利益が出る。とても単純な話である。ここで言う「経費」には、仕入から人件費、販管費、そして金利まで、すべての経費が含まれている。したがって、利益を上げたければ、次の2つのことを考えればいい。

 1.いかに、売上を上げるか
 2.いかに、経費をかけないで会社を経営するか

 あまりにも単純であるが、物事の真理とは本来、このようにシンプルなものである。

 会社経営を始めて数年が経ち、経営が軌道に乗り始めると、どうしても経費をかけ過ぎてしまう傾向がある。創業当初は資金の余裕がないため、「とにかく少しでも切り詰めなければ」という意識が働き、経費をかけない経営をしていたはずである。

 ところが、ふと気づけばオフィスを広いところに引っ越していたり、戦略のないままに多くの社員を採用したり、また最新の機械や設備、備品を購入したり、社長室を個室にしたり、交際接待が多くなっていったりと、あげたらキリがないほどお金をかけ過ぎる経営をしていることが多い。

 会社の利益を確保するためには、意識してお金をかけない経営をするべきである。経費をかけないことを強く意識していた創業当初を思い出し、まずその点から見直してみてほしい。

 本当に広いオフィスは必要なのか。その前に、整理整頓やスペースの使い方を工夫するべきではないか。多くの社員を採用する前に、仕事の効率化に取り組んでいるのか。社長室を個室にするよりも、社員と同じように大部屋にデスクを置いたほうが、会社全体が見えて全社一丸となれるのではないか。そして、交際接待。この時代に、果たして交際接待で仕事がいくつも決まるのだろうか……。

 こうしたかかり過ぎている経費を、社長は勇猛果敢にカットすべきである。知らず知らずのうちに継続し、固定化している経費を切り捨てる勇気を持ってほしい。見てみぬふりをしてかさんでいった経費に、正面から闘いを挑むつもりで。

 もちろん、必要なもの、重要なものには経費をかけるべきだが、ムダなもの、なくてもいい経費は、毎月あるいは定期的にすべてを見直すことだ。棚卸しと一緒で、定期的に経費の棚卸しをすることで、「ムダな経費を絶対に許さない!」という姿勢を、ハッキリ表わしていかなければならない。

 経営に必要なことは、お金をかけることではなく、知恵を絞ることである。広告宣伝にお金をかけないでも、自社の製品やサービスを拡げていく方法はないか? どうやって口コミを生み、広めていくか? これらを日々考えていくことである。

 新製品を売り出そうとしたとき、お金をかければ簡単に広告を出すことができる。しかし、広告を出すと決めてしまったら、出すことを前提にした知恵しか浮かんでこなくなる。それよりも、まずはお金をかけないで何ができるかを必死に考えることだ。それがまず大事。

 お客様に送る商品にチラシを同梱しよう、最初の数カ月は無料サンプルや特典をつけよう、お客様紹介キャンペーンをやろうと、いろいろなアイデアが湧いてくるはずだ。


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 お金をかけないことの効果は、実は経費を削減するだけには留まらない。さまざまな創意工夫、知恵を働かせられる、という副次的な効果があるのだ。お金をかけないとしたらどうしたらいいのか、それを懸命に考えることで、とんでもないすばらしいアイデアが生まれる可能性がある。

 一番いいのは、今いるお客様に一生懸命に尽くして喜んでもらうことだ。実際に自分の会社の商品を使い、サービスを受けてくれているお客様を喜ばせることが、自社の最大の広告になる。お客様に喜んでいただければ、お客様の口から口コミが生まれる。どこかで話したり、紹介してくれたり、自然と広まっていくはず。お客様が新しいお客様を連れてきてくれるのだ。そのために、どうしたら今いるお客様に喜んでもらえるかと、皆で知恵を働かせて考えていくことである。

 弊社の顧問先でも、継続して長く儲けているところは、お客様がお客様を呼んでくる流れができている。お客様も喜び、新しいお客様も増える。これこそ、お金をかけないで最大の効果を得る最強の営業活動である。

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執筆者: 北岡修一 - 
東京メトロポリタン税理士法人 統括代表。25歳で独立以来、税務会計業務を基本としつつも、経営診断、人事制度の構築支援、システム導入支援などコンサルティング業務にも携わってきた。現在は「会計理念経営」を掲げ、「会計を良くすると、会社が良くなる!」をモットーに、誠心誠意、中小企業を支援している。主な著作に『社長の「闘う財務」ノート ~ 社長の数字力が会社を鍛える』(プレジデント社)、『事業の引継ぎ方と資産の残し方・ポイント46』(共著/あさ出版)がある。

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