余裕資金をつくるには?

2017年12月7日
江戸時代の終わりから昭和まで生きた本多静六氏は、独自の蓄財法で莫大な財産を築きあげた。その要となるのが、本多式「4分の1天引き貯金法」である。通常の収入は収入があったときに強制的に4分の1を天引きしてしまい、残りの4分の3で生活をするようにする。
 個人でも会社でも、余裕を持って生活する、経営をするためには、ある程度の余裕資金が必要である。ギリギリの状態で経営していたのでは、不測の事態に陥ったときにすぐに行き詰ってしまうからだ。

 余裕ができたら貯めればよい、ということでは、余裕資金など到底できない。余裕がないときから貯める努力をしていかなければ、なかなか余裕資金は貯まらないものだ。これが、余裕資金のつくり方の基本である。

 江戸時代の終わりから昭和まで生きた本多静六氏は、独自の蓄財法で大学教授でありながら莫大な財産を築きあげた。その要となるのが、本多式「4分の1天引き貯金法」である。

 読んで字のごとく簡単な貯金法だ。要は、通常の収入は収入があったときに強制的に4分の1を天引きしてしまい、残りの4分の3で生活をするようにする。有無を言わさずに、どんなことがあってもやり続けることがミソである。

 そして、「臨時収入については100%貯金せよ」ということだ。

 これを実践すると、確実にお金は貯まる。しかし、なかなかできないのが、人間である。己の欲望と闘い、相当の決意と覚悟が必要だ。本多氏はこう語っている。

 「貯蓄生活を続けて行くうえに、一番のさわりになるものは虚栄心である。いたずらに家柄を誇ったり、いままでのしきたりや習慣にとらわれることなく、一切の見栄さえなくせば、4分の1天引き生活くらいは誰でもできるもの」

 これを続けていくためには、見栄が邪魔をするというのである。さらに、次のようなことも述べている。

 「とにかくお金というものは、雪だるまのようなもので、初めはほんの小さな玉でも、その中心になる玉ができるとあとは面白いように大きくなってくる。少なくとも4分の1天引き貯金をはじめた私の場合はそうであった。だから私は、確信を持って人にも勧めてきた。どんなにつらい思いをしても、まずは千円をお貯めなさい」
(以上、『私の財産告白<新装版>』本多静六・実業之日本社より)

 当時の千円は、今の数千万円のことである。「お金は雪だるま」という発想がおもしろい。逆に言えば、借金もまた雪だるまのように増えていくものであるが...。

 本多氏のこの考え方は個人の貯蓄のことだが、会社でも応用できるのではないだろうか。大きな雪だるまをつくるためにも、まずはとにかく数千万円を貯めることから始めてみてほしい。

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執筆者: 北岡修一 - 
東京メトロポリタン税理士法人 統括代表。25歳で独立以来、税務会計業務を基本としつつも、経営診断、人事制度の構築支援、システム導入支援などコンサルティング業務にも携わってきた。現在は「会計理念経営」を掲げ、「会計を良くすると、会社が良くなる!」をモットーに、誠心誠意、中小企業を支援している。主な著作に『社長の「闘う財務」ノート ~ 社長の数字力が会社を鍛える』(プレジデント社)、『事業の引継ぎ方と資産の残し方・ポイント46』(共著/あさ出版)がある。

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