売上1億円のカベ、10億円のカベってなに?(続編)

2017年10月16日
1億円の壁を突破して会社を大きくしている中で、なぜか売上が上がり下がりし、いつまでたっても10億円が見えてこないという悩みをよく聞きます。それは分業(組織化)がうまくできていないからです!
 前回は1億円の壁についてお話ししましたが、今回は10億円の壁についてです。

 1億円の壁を突破して会社を大きくしている中で、なぜか売上が上がり下がりし、いつまでたっても10億円が見えてこないという悩みをよく聞きます。

『忙しい社長を救う経理改革の教科書』/幻冬舎・経営者新書/李日生、普川真如 共著

 それは分業(組織化)がうまくできていないからです!
(最も主要な原因は売上を獲得する仕組みがうまくできていないのです)

 士業(医師・弁護士等)でしばしば見られる状況に「先生が動かないとお金にならない」というものがあります。人間に許された時間は一日=24時間なので、時間当たり単価を上げるか睡眠時間を削ることでしか売上を成長させることはできません。一日を25時間にすることは不可能ですし、不眠不休で一生働き続けることもできません。ここに士業の限界があるといわれています。
 一方で企業に話をもどしてみると、売上の伸びが鈍化している企業の大半はある一部の個人の売上に依存している場合が多く、よってその個人の時間も単価も限界値にきていることがよく見受けられます。

 極端な例ですが、仮に経営者ひとりで売上をあげているとしましょう。一年間に許された時間は「24時間×365日=8760時間」です。10億円の売上を達成するには、不眠不休で働いたとして時間当たり114,155円の売上を達成しなければなりません。もちろんそれでは体が持ちません。しかし一日のうち4時間を睡眠にあてると、時間あたり136,986円、一日あたり2,739,720円を売上なければなりません(スーパー芸能人であれば達成可能かもしれませんが・・・)
 したがって、平均的な営業マンで安定的に売れる仕組みやそのサポートの組織づくり等ができていないと、ある段階で限界に達してしまい企業は失速停滞してしまうのです。

 10億円の売上を達成している経営者の多くは、分業できる仕事は分業して人に任せています。自身は本当に経営者の能力が必要な仕事に特化して仕事ができるように企業を組織化している企業が成長しているようです(スーパー経営者でも1日は24時間なのです)。経営の仕事が嫌いな創業者社長は、自身は現場で経営は経営の能力があるプロ経営者に任せるという選択も実はありなのかもしれません。

 いますぐにはできない、しかし意識してすすめていく組織改革が中小企業には必要です。組織力を高めて、経営資源(ひと・もの・かね)の分配を最適化する不断の努力をつづける企業のみが生き残り成長できるのです。

●関連リンク

執筆者: 李 日生 - プレジデントタイム株式会社 代表
慶應義塾大学経済学部卒業後、公認会計士試験合格、監査法人トーマツ国際部に入社・配属。国際企業(商社・通信事業会社・運輸会社等)の連結会計やM&Aを担当、中小企業の経営コンサルティングも数百社経験する。現在はプレジデントタイム株式会社、神宮前アカウンティングファーム株式会社、株式会社H HOLINGS、有限会社ルーベ、神宮前会計を主宰。会計・税務・経営・飲食・不動産等、実際の経営者として代表取締役視点で多岐に及ぶ経験を重ねている(「頭でっかちの机上の空論が大っ嫌い」を自認)。近刊に『忙しい社長を救う経理改革の教科書』(幻冬舎)がある。

コラム新着記事

  • 株式会社シンカができるまで Vol.2 ~ベンチャーはこうして世に羽ばたく~

    株式会社シンカ・江尻高宏さんのコラム、シリーズとして会社創業時から現在にいたる汗と涙の道のりを振り返ります。何が成功を導いてくれたのか? 何が足りなかったのか? どんな出会いがあったのか? どんな発想で切り抜けたのか?・・・ベンチャー企業創業者だからこそ語ることのできるリアルストーリーです。

    2019年6月14日

    コラム

  • <シリーズ>「地方創生」2期へ! 1期を検証する ①

    令和を迎えた2019年、地方創生は1期5年の最終年となり、国は2期に向け有識者会議を開催、自治体も次期地方総合戦略の策定に動いています。1期は各年1000億円の地方創生関係交付金を投じるなど、財政支援を地方創生版・三本の矢の一つとして多額の予算が次ぎ込まれましたが、果たしてその大盤振る舞いに見合った成果は出ているのか。水津陽子さんの新シリーズでは、地方創生の1期の現状と課題を分析、2期に向け必要なものは何かを探ります。

    2019年5月31日

    コラム

  • TVドラマ「きのう何食べた?」 性的マイノリティともし同僚や友達だったら・・・

    近年、性的マイノリティを主人公にした作品が、世界中で作られるようになってきています。テレビ東京の『きのう何食べた?』もまた男性カップルの日常を描いたドラマです。自分がもしも性的マイノリティの同僚や家族、あるいは友人だったら、どういう距離感で接するべきか? を常に考えさせてくれるのが、本作の魅力です。

    2019年5月24日

    コラム

  • 斜めから見る〜今月の一冊 ⑧『昭和ノスタルジー解体ーー「懐かしさ」はどう作られたのか』

    前回の改元や世紀がわりのビジネスチャンスには上手くやれていた「ノスタルジー需要コンテンツ戦争」。改元からひと月も経っていないのに“過去形”で言うのは、負けが確定したからです。「すべての世代が当事者」のノスタルジー市場のなかで、今次どうして負けたのか? 今回紹介するのは、その分析用そして今後の戦略策定用の参考資料としての一冊です。

    2019年5月17日

    コラム

  • 株式会社シンカができるまで Vol.1 〜ベンチャーはこうして世に羽ばたく〜

    株式会社シンカ・江尻高宏さんの連載、今回からはシリーズとして会社創業時から現在にいたる汗と涙の道のりを振り返ります。何が成功を導いてくれたのか? 何が足りなかったのか? どんな出会いがあったのか? どんな発想で切り抜けたのか?・・・ベンチャー企業創業者だからこそ語ることのできるリアルストーリーです。

    2019年5月9日

    コラム

  • NHK大河「いだてん~東京オリムピック噺~」 失敗から後続の人々は学び、次の時代へと進む

    オリンピックと日本人の関わりを描いた大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK)。戦国時代でも幕末でもなく、明治末から昭和にかけての日本を描く、とても画期的な挑戦です。誰かが最初に始めたからこそ道は生まれる。失敗から後続の人々は学び、次の時代へと進んでいきます。オリンピックを通して脚本の宮藤官九郎が描こうとしているのは、引き継ぎの連鎖なのです。

    2019年4月26日

    コラム

  • 「損して得取れ」のすすめ

    スタートアップで成長できている会社、継続できている会社の特徴は何なのでしょうか? これまでに数百の中小企業を見てきた李日生さんが、経験に基づいて検証します。

    2019年4月22日

    コラム

  • 在留外国人300万人時代!先進例に学ぶ、多文化共生のまちづくり(愛知県豊橋市)

    2018年末現在、日本に在留する外国人は273万人、前年比約17万人(6.6%)増で過去最高を記録。6年間で約71万人増加しました。今年4月の改正出入国管理法施行により、今後5年間で最大約35万人が増加すると見込まれていますが、このペースでいけば、2年を待たずに300万人を突破する可能性もあります。今後、多様な国や地域の人々とどう共生していくのか、日本社会のあり方が問われています。水津陽子さんの今回のコラムでは、人口の約5%を占める外国人住民との多文化共生のまちづくりに取り組む先進地にフォーカス。今後あるべき地域と外国人との関わり、多文化との共生について考えます。

    2019年4月15日

    コラム