「大企業じゃなくても夢がある。そんな会社を応援したい」社歌フェス企画者の狙い

2018年1月5日
3月17日(土)、東京・恵比寿で「ベンチャーソングフェス」というイベントが開催される。スタートアップ企業や中小企業の経営者、社員、株主などに社歌の可能性を感じて楽しんでもらう、というもの。広がる社歌ブームの一つといえるこのイベント、企画・主催者にその狙いを聞いた。

■はじまりは「ベンチャー企業の離職を減らしたい」という思いから

 「ベンチャー企業をはじめ、大きくなくてもビジョンをもって頑張っている会社の離職を減らしたいんです」。そう語るのは、組織向けエンターテインメントコンテンツの企画・制作を手がけるMuron(ミューロン)の根木啓輔氏。エンターテインメントを活用し、組織作りや活性化のコンサルティングを行っている。あえてベンチャーソングと銘打っているのも、組織活性を目的とした次世代型社歌、という意味を込めてとのこと。自身も2017年1月に個人事業主として会社を設立し、名刺の肩書はベンチャーソングライター。学生時代はプロのミュージシャンを目指し、その後ベンチャーのPR会社に入社。さらにスタートアップ向けのHR支援会社に転職した、という異色の経歴の持ち主だ。

組織向けエンターテインメントコンテンツの企画・制作を手がける「Muron」(ミューロン)の根木啓輔氏。「一緒に作る、一緒に歌う、一緒に聞く。社歌には繋がり合えるものがある。それを体験してほしくて、あえてフェスという体験型のイベントにしました」

■ビジネス経験で目の当たりにしてきた「経営者と社員の不幸なすれ違い」

 「前職では即戦力の採用が難しいベンチャー企業に対して、主にHR領域の課題解決をお手伝いし、そこで多くの経営者とお会いしてきました。創業したての企業を担当することもあり、社員や資本が少ないところがほとんどでしたが、みなさん“自分たちが未来の当たり前を作る”と信じている熱い人たちばかりでした。しかし事業を創る楽しさを一緒に実感する、経営者の苦しみや痛みも目の当たりにしてきました。それは離職する人が後を絶たないということ。原因の一つは、経営者と社員のコミュニケーション不足。志を共有できていないところが多かったのです」。氏が出会ったとある経営者は『リスクが高いフェーズでも信じてついてきてくれた社員には、大きな感謝と愛をもっている。だから離職されると、自分自身を否定された気持ちになる』と語ったという。

 「社員が出て行ってしまう経営者のショックは想像以上に大きいものです。その落胆ぶりを見て、自分だからこそできる支援のカタチを見つけたいと強く思いました」

 氏はもともと学生時代にプロのミュージシャンを目指していた。自分の路上ライブに毎回来て、お金を払ってライブハウスに通ってくれる人が、今日も良かった、また明日から頑張れると言ってくれたという。「そんな風に言ってくれる人がいてとても嬉しく、衝撃と感動を覚えました。同時に音楽のチカラを感じました」

 社員の心を繋ぎ止められない経営の現場、音楽で人を引きつけた原体験。その両者が結びつき、得意な音楽を活かして社員が働きたくなる組織をつくれないか、と思うに至ったという。次世代型社歌・ベンチャーソングの誕生だ。

 ちなみに、厚生労働省の平成28年雇用動向調査によると中小企業の離職率は、平成23年以降ほぼ継続して大企業を上回っている。100~299人規模の企業にいたっては、リーマンショック翌年の平成21年に迫る勢いだ。離職を増やさないためのコミュニケーションは、経営者にとって重要な課題と言える。

中小企業の離職率は、平成23年以降ほぼ継続して大企業を上回っている。100~299人規模の企業にいたっては、リーマンショック翌年の平成21年に迫る勢い(厚生労働省 平成28年雇用動向調査結果よりグラフを作成)

■多様化する価値観と組織のあり方。大切にしたい「みんなで体験する」価値

 とはいえフェスという形式は、少し突飛な印象も受ける。なぜそのような方法を選んだのか。

 「いま、働くことの価値観は世代によって大きく変化してきています。とくに30代以下は生まれた時から何もかもが揃っていて、何かが欲しい!と渇望できない世代。そんな人たちの幸福欲求の一つとして“良好な人間関係”というものがあります。それは単純な同僚ではなく、ビジョンや価値観を共有し理解しあえる関係のこと。インターネット越しのコミュニケーションではなく、人と人が一緒に何かに触れたり体験しなければ築くことができない関係です。社歌もそうだと思うんです。一緒に作る、一緒に歌う、一緒に聞く。そうすることで繋がり合えるものがある。それを体験してほしくて、あえてフェスという体験型のイベントにしました」。確かに社歌にはさまざまなプロセスがあり、その醍醐味は、社員みんなで、という点。そこに注目したと言う。

 「さらに最近は終身雇用の崩壊や働き方改革の促進に伴い、組織のあり方も変わってきています。人材の流動化、副業・兼業の自由化、在宅などですね。そんな中で給与や昇格といった分かりやすいインセンティブ以外で、どうやって社員の心を会社に引きつけながら、活気のある組織にしていくか。そのとき感情に訴えるエンターテインメントが効果を発揮すると考えています。その可能性も、頭とカラダで感じてほしかったんです」

「ベンチャーソングフェス」は、スタートアップ企業や中小企業の経営者、社員、株主などに社歌の可能性を感じて楽しんでもらう、というもの(ベンチャーソングフェスWEBサイトより)

■大きくなくても夢がある。そんな企業を応援するイベントを目指す

 熱い思いから企画されたベンチャーソングフェスは、目下さまざまなプログラムを準備中だ。

 「音楽を活用して組織活性を行っている企業の事例紹介はもちろん、その歌をライブ形式でお披露目してもらうことを考えています。さらに特別コンテンツとして、社会人が即興ラップでバトルする今話題の『ビジネスマンラップトーナメント』も用意しています。エンターテインメントのイベントなので来場した人が楽しめるのは絶対的な要素ですから。リスクを負って会社を経営し、夢に挑んでいるみなさんを応援するイベントです。私もみなさんに負けないよう、自腹でライブハウスの恵比寿リキッドルームをおさえてしまいました。500人以上を集める予定なのですが、集客はまだまだです。まさに背水の陣です(笑)。だから、というわけではないのですが、ぜひ多くの人に参加してもらいたいですね」

即興ラップでバトルする今話題の『ビジネスマンラップトーナメント』など、ベンチャーソングフェスでは、さまざまなプログラムが用意されている(ベンチャーソングフェスWEBサイトより)

 運営費用はクラウドファンディングで1月18日まで募っており、参加方法はベンチャーソングフェスのWEBサイトで発信中。ご興味のある方は一度見てみると、社歌のイメージが変わるかもしれない。

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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