誘因(給与)と貢献(労働)のバランスをどう取ればいいのか?

2017年12月14日
経営サイドと労働者サイドで認識のズレが大きくなってきている労働とその対価の関係について、再度認識しておきましょう。終身雇用が崩れている現代においては手取額や実質の会社負担額について労使双方向で理解を深めていかないといけないのではないでしょうか。
 経営サイドと労働者サイドで認識のズレが大きくなってきている労働とその対価の関係について、再度認識しておきましょう(経営者にとって様々な考え方があると思いますが、大前提としての数字で理解を深めておくことをお勧めいたします)。
 経営学的にはモチベーション理論の中で、誘因と貢献のバランスがとれていれば労働者はモチベーションを高く持って働いてくれると定義されています。しかし実態はそんなに簡単な話ではなく、終身雇用が崩れている現代においては手取額や実質の会社負担額について労使双方向で理解を深めていかないといけないのではないでしょうか。
 数字で示すと、単純な仮定を設定して計算すると以下のようになります。

額面30万円の従業員に会社がもとめる貢献は会社の負担額の345,015円以上である一方で、労働者サイドでは手取り(誘因)が234,915円しかない。誘因と貢献のバランスが最初から崩れている

 これを誘因と貢献のバランスにあてはめると、額面30万円の従業員に会社がもとめる貢献は会社の実質負担額の345,015円以上である一方で、労働者サイドでは手取り(誘因)が234,915円しかないので誘因と貢献のバランスが110,100円と、最初から崩れているのです。
 終身雇用が前提で、退職金や企業年金、ボーナス、右肩上がりの経済と給与であれば、このバランスの崩れは将来期待で解消できていたのかもしれません。しかし終身雇用・高度経済成長モデルが崩れている現代において、このバランスの崩れを埋めるためには、労使双方で制度理解を深めることと給料以外の誘因要因となる会社としての何かが求められるでしょう。例えば会社の将来性や発展性、経営者のカリスマ、業務としてのやりがいなど、会社によってそれぞれ特色が求められるはずです。

 本当は額面を全て渡して政府が社会保険料も税金も徴収するのが正しいのでしょうが、制度が源泉徴収が当たり前でますますその動きが強くなっている以上、経営者としては対応していくしかないのがつらいところです。

『忙しい社長を救う経理改革の教科書』/幻冬舎・経営者新書/李日生、普川真如 共著

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執筆者: 李 日生 - 
プレジデントタイム株式会社 代表。慶應義塾大学経済学部卒業後、公認会計士試験合格、監査法人トーマツ国際部に入社・配属。国際企業(商社・通信事業会社・運輸会社等)の連結会計やM&Aを担当、中小企業の経営コンサルティングも数百社経験する。現在はプレジデントタイム株式会社、神宮前アカウンティングファーム株式会社、株式会社H HOLINGS、有限会社ルーベ、神宮前会計を主宰。会計・税務・経営・飲食・不動産等、実際の経営者として代表取締役視点で多岐に及ぶ経験を重ねている(「頭でっかちの机上の空論が大っ嫌い」を自認)。近刊に『忙しい社長を救う経理改革の教科書』(幻冬舎)がある。

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