「おもてなし規格認証」で会社が変わる!地域が変わる!/城崎編2~豊岡市役所~ 画像 「おもてなし規格認証」で会社が変わる!地域が変わる!/城崎編2~豊岡市役所~

おもてなし規格認証

 全国各地で、「おもてなし規格認証」のムーブメントが始まっています。これまでなかなか評価しづらかった「サービスの品質」を「見える化」することで、サービスにかかわる企業(事業所)の方々のやる気や活力につながっているのがその理由です。「おもてなし規格認証に取り組み、お店をよくして商売繁盛につなげたい」「おもてなし規格認証をうまく使って、地方創生の起爆剤としたい」。そう語る地域のサービス事業者たちが日ごとに増えています。
 シリーズ「『おもてなし規格認証』で会社が変わる!地域が変わる!」では、おもてなし規格認証で「変わる」地域と会社(事業所)をピックアップ。その「変わる」現場を、リポートします。

★シリーズ3:城崎編 2~豊岡市役所~

城崎温泉のある豊岡市は「小さな世界都市」を目指し、地方創生にいち早く取り組んできた自治体だ。市による移住ポータルサイトに掲げられたフレーズは「飛んでるローカル豊岡 Think Local, That's Global.」。世界に認められる魅力ある町づくりをこれまで着実に進めてきた。

コウノトリ野生復帰に関連する事業や城崎国際アートセンターの設立など、様々な施策や方法で地域活性を図る豊岡市だが、サービス産業の振興のために今、「おもてなし規格認証」の活用に取り組んでいる。地方都市の抱える問題である人口減少や人手不足を解消するには、地方で生きることの価値を上げていかなければならない。経営品質や生産性を高め、人手不足を解消する目的をもつおもてなし規格認証はその意味で、大きな役割を果たすことが期待されているのだ。

おもてなし規格認証を城崎温泉でまず普及させ、それをフックにほかの地域へと広げていく。そんな流れを生み出し、豊岡市全体の活性化へとつなげていく。その構想を実現させるために奔走しているのが、「豊岡市役所環境経済部UIターン戦略室」の若森洋崇さんだ。おもてなし規格認証を活用して「小さな世界都市」にさらなる魅力を生み出そうとする、そのプランと地域への思いを聞く。


■「おもてなし規格認証」でお客様の満足と市民の地域への意識を高めたい

――おもてなし規格認証はなぜ城崎温泉に必要なのでしょうか。

二つあります。ひとつは「城崎温泉の魅力をさらに高めること」、ブランド力を強めると言ってもいいかもしれません。もうひとつは「城崎温泉でもっと外からお金を稼ぐこと」です。

豊岡市は、小さな世界都市=「Local & Global City」を目指しています。小さな世界都市とは、人口規模は小さくても、ローカルであること、地域固有であることを通じて世界の人々から尊敬され、尊重されるまちを意味します。

小さな世界都市になるための条件は6つあります。その一つが、「地域の歴史、伝統、文化が守られ、新しい工夫が加わり、引き継がれている」ことです。

グローバル化の進展で、世界は急速に同じ顔になりつつあります。逆にローカルであること、地域固有であることが世界で輝くチャンスにつながるのです。その代表的なものが城崎温泉なのです。大正14年の北但大震災で壊滅的な被害に遭いましたが、復興に当たり再び木造三階建ての町並みを復活させました。

おもてなし規格認証の活用によって、お客様の満足度をさらに高め、対外的には、その魅力がさらに知られる、評価されるようにしたい。対内的、つまり、市民の皆さんには、外からの評価により、ローカル、地域固有であることに価値があることを再認識していただきたいと思います。

――もうひとつの目的、「外からお金を稼ぐ」ために何が必要で、何を変えなければならないでしょうか。

お金を稼ぐという観点からは、機会ロスを解消しなければなりません。いま従業員不足が深刻です。城崎温泉の旅館の多くは部屋で食事を提供します。客室係一人で3~4室を担当するのが一般的です。客室係の不足により、お客様を受け入れられない旅館がある。特に11月から3月のかにシーズンが深刻です。せっかく「城崎温泉に行きたい」、言い換えると城崎温泉でお金を使いたいお客様がいるのに、儲けることができないでいます。

城崎温泉で従業員が充足している旅館と足りない旅館を比べると、旅館の「経営品質」や「生産性」に差があると感じています。採用テクニックがうまくても、経営品質や生産性が低いと、従業員満足度を高くすることができず、辞めてしまうのです。そういう状況を、おもてなし規格認証の活用により「経営品質や生産性を高め」「従業員不足を解消し」「外から稼ぐ」循環を作っていければと考えています。

――おもてなし規格認証を普及させていくにあたって、豊岡市役所はどういう役割を果たそうとお考えですか。

ヒト、カネ、モノ、情報をつなぐことです。

業界団体や金融機関などが積極的に取り組む「風」を吹かせたい。例えば、城崎温泉旅館協同組合は、組合員、つまり旅館経営者を対象に昨年10月と今年1月におもてなし規格認証の説明会を開催しました。但馬信用金庫は、市内サービス業などを対象に説明会を開催しました。

先進、成功事例を市内で作り、それを広報し、おもてなし規格認証の注目度を高め、業界団体や金融機関が「取り組むメリット、例えばもっと儲かる、取引先にもっと儲けてもらう」を意識することにより、経済の論理で普及させていきたいと考えています。

■おもてなし規格認証で、「従業員が行きたくなる」旅館を実現する

――おもてなし規格認証は旅館・ホテル業にとってどのようなメリットをもたらすのでしょうか。

生産性と経営品質の向上に役立つと思います。

豊岡市は、日本一のカバンの産地でもあります。私は、2015年12月にカバンのメーカー・商社計15社を、16年7月に城崎温泉の旅館17社を訪問しました。旅館は、カバン業界などと比べると、従業員の動きに関するコスト意識があまり高くないと感じました。それは悪いことではありません。お客様がお越しになっている、コスト競争が厳しくない。つまり、儲かっているから変える必要がなかったのです。

しかし、お客様はお越しになっていますが、従業員が集まらなくなりました。旅館の経営理念などの明確化と従業員との共有、人への投資、従業員満足度を高めることによりお客様満足度を高め、収益をあげて新たな投資や労働分配を増やし、人を採用することが必要です。

おもてなし規格認証を取得し、さらに上の認証取得をめざすことにより、お客様だけでなく、従業員にとっても「行きたい旅館」になるのではないかと思っています。

――生産性の向上と経営品質の向上は強調してもしすぎることはありません。

カバン業界でも、旅館でも、生産性の向上と経営品質の向上、この二つがしっかりしている企業は、従業員満足度が高く、人手不足に苦しんでいない傾向があります。おもてなし規格認証の取得により、補助金、低利融資などの支援策が受けやすくなるメリットは重要ですが、その手前、つまり、その補助金等を使って、何をしたいのか、その必要性を従業員と共有できているか、が重要だと思います。

――観光先進国との比較において、日本は観光客の滞在日数が少ないと言われています。滞在日数を増やすためにはどんな付加価値が必要でしょうか。

城崎温泉の外国人平均宿泊数は1.6泊です。これを増やすためには、市内への周遊、例えば城下町出石でまち歩き、夏は竹野浜でマリンリゾート、冬は神鍋高原でスノーリゾート、春秋は円山川沿いのサイクリング等や山陰海岸ジオパークを楽しむでいただくことが必要だと思っています。また、市内に限らず、近隣の竹田城や天橋立にも足を伸ばしていただくことが必要です。さらに遠隔地を訪れてもらうためには、各地の魅力を高める、魅力を届けることに加え、二次交通の整備が必要です。



《HANJO HANJO編集部》

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