地方創生のカギをにぎる「プロ人材マッチング」/第3回 成功へのシナリオ(事例編) 画像 地方創生のカギをにぎる「プロ人材マッチング」/第3回 成功へのシナリオ(事例編)

インバウンド・地域活性

■プロ人材採用では即効を求めてはいけない

2つ目はプロ人材を採用した企業の成功事例です。地域企業の多くはプロ人材を採用した経験がないため、採用したい人材のポジション名をどのような名前にすればよいかわらかないということがよくあります。また、中途採用市場の現状についても知らない企業が多いため、現実的ではなく、しかも抽象的な条件を提示してしまうケースもよく見られます。例えば、「若く、海外経験が豊富で、新規事業をやれて、かつ地元出身で一生勤めていてくれて、年収は400万円まで」などです。

このような時は、まず、私たちがサポートしながら、中途採用における相場感や該当ポジションの平均年収などを提示し、具体的なターゲット像を描いていきます。そして、そのターゲットの方がどんな環境にいるのかを想像し、わかりやすいポジション名をつくり上げます。そのうえでどのように採用するのかを決定していきます。計画段階からターゲット像、伝えたいメッセージ、選考プロセスの3つを重視し、採用活動を進めるなかでPDCAを回していきます。

採用成功した企業を見ると、「自社に合わせてくれる理想の人材探し」ではなく、第三者的な目を持って「相手に合わせた柔軟な採用活動」ができている企業ほど結果的に優秀なプロ人材に巡り合っていると思います。特に地方へ転職する際にはライフスタイルの変化も求められるため、求職者にとっては転居を伴わない転職よりも考慮すべき点が多くあります。そのため、採用活動段階から求職者の立場に立った対応ができている企業に出会うと求職者はその企業に惹かれますし、安心して就業できると感じるのではないでしょうか。

ーープロ人材の採用がうまくいっている企業には何か特徴がありますか。

「年収1000万円で採用したのだから1年以内に1億円は稼いでほしい」というような短期的な発想だとうまくいかないと思います。プロ人材登用で成功している社長様はKPI(業績評価指数)の設定も非常に上手く、何よりも採用された方の気持ちに配慮します。自らが彼らの後ろに立たなくてはいけない、彼らの味方でいようと思っている社長様ほど採用に成功しています。

ーープロ人材では、採用される側にとって「地域」「移住」が決め手のひとつです。

地域の魅力を伝えるPR活動に注力した地域の例を一つ紹介しましょう。北海道の天塩町(てしおちょう)です。2016年に齊藤啓輔さんが副町長に就任してから町が動き始めました。齊藤さんは外務省でロシア外交、首相官邸で安倍首相のもと国際広報戦略に携わったスーパー官僚の方で、地方創生人材支援制度を活用し、出身地である北海道に赴任した方です。

天塩町の方々と齊藤副町長が素晴らしいのは巻き込み力です。そしてさまざまな第三者の意見を聞くことに柔軟で、行動力が卓越していることだと思います。天塩町のある北海道の北部西海岸は北海道の主要都市から遠いため、採用は非常に大変です。採用だけでなく観光の誘致、販路開拓、ブランディングも副町長のミッションとしてある中、首都圏の有力企業を多く巻き込み、ファンになってもらい、同時多発的にさまざまな企画を実行しました。たとえ一見すると奇抜な提案であっても「これは必要だ!」と思えばなんでも柔軟に取り組んでいらっしゃいます。

例えば、昨年、「地方創生まち自慢大会 聞け!魂の副町長ラップ!!」というイベントを東京で実施した際にも参加してくださいました。これは各地の3町の副町長が、ラップで町の魅力を参加者に伝えるというPRイベントで、面白い取り組みだということで、全国放送のテレビ番組でもニュースとして取り上げられました。さらに新しい人の力を借りようと、今年1月には主婦を対象に天塩町公認のインスタグラマーを公募しています。主婦ならではの発想で季節ごとに送られてくる天塩町の食材を料理し、その魅力をインスタグラムで発信する人材を募集しています。

――副町長がラップで自分の町をPRとは! かなり勇気がいることですね。

齊藤副町長からお聞きした話のなかで、非常に印象的な話があります。「例えば『タコとキムチが名産だからタコキムチ丼を売ろう!』というのは少し短絡的ではないかと思います。『何が求められ、期待されているのか?』を相手の立場で考え抜く自治体になりたいです。民間企業と何ら変わりません」と。手段を選ばないのではなく、ロジカルな分析のもと顧客のニーズを考え、多くの人たちを巻き込んで努力する自治体の代表例が天塩町なのです。


《HANJO HANJO編集部》

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