地方創生のカギをにぎる「プロ人材マッチング」/第1回 キーマンを招き入れる 画像 地方創生のカギをにぎる「プロ人材マッチング」/第1回 キーマンを招き入れる

人材

★地方創生のカギをにぎる「プロ人材マッチング」
第1回「キーマンを招き入れる」

 働き方改革や兼業・副業が2018年のキーワードとなるなか、首都圏の大企業で管理職や専門職を経験した、いわゆる「プロフェッショナル人材」を地方の中小企業で採用する動きが注目を集めている。東京への一極集中や少子高齢化による地方の人口減少や、地方産業の衰退、雇用などの課題が山積みとなっている中、いくつかの自治体では地域の活性化に成功しており、地方創生の観点では見逃せないムーブメントと言えるだろう。
 人材採用にあたってはネットでのマッチングが飛躍的に伸びており、面接等のための遠隔地への移動といった障害も過去の話になりそうだ。
 今回の特集で話を聞くのは、地方企業と首都圏のプロ人材とのネットでのマッチングを手がける株式会社ビズリーチの加瀬澤良年さん。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」や求人検索エンジン「スタンバイ」を活用して各地域の採用支援を行い、また、内閣府のプロフェッショナル人材戦略拠点事業において約40道府県のプロ人材拠点のサポートを行う中で、プロ人材と地方創生の関係を見つめてきた。人材の流動性が日本でもようやく生まれつつあるいま、何が必要なのかを3回にわたって紹介したい。


■プロ人材の地方転職は「お金よりもやりがい」

――地方創生のための採用支援はいつ頃から始められたのでしょうか。

2014年からです。石破地方創生担当大臣(当時)の発言が起点となりました。それまでビズリーチでは、首都圏の企業様にご利用いただくことが多く、地方創生はまだ視野にはありませんでした。

ーービズリーチから見て、当時「地方創生」はどんな状況だったのでしょうか。

地方創生を語る上で重要な単語があります。「まち・ひと・しごと創生」です。これは言い換えるなら人口減少の解決目標を意味しています。2060年に日本の人口を1億人程度に維持したいという目標の中で、地方において「生みやすい・育てやすい社会」の実現を促し、自分らしい働き方・住み方・暮らし方を実現させることで、人口減少に歯止めがかかることが期待されていたのです。

それが2014年の石破大臣の発言によってより具体的になりました。例えば、2014年に発表された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、KPI(重要業績評価指標)として、2020年までに首都圏から地方への転出を4万人増やす、逆に地方からの転入を6万人減らすというものがあります。2013年の東京への転入、特に若年層が多いのですが、これは10万人を超えていました。東京の人口が自然に10万人増えていたんですね。また、地方における若者30万人分の新しい雇用を創出することなど目標達成のための具体的な数字が発表された時期でもあります。

ちょうどその頃ビズリーチの利用企業様で地方企業が急増した時期と重なりました。これにより当社でも地方創生に関して何かできるのではという感覚を得ました。なぜ地方企業のご利用が増えたのか調べてみたところ、人材紹介会社の多くが東京にあるため、地方企業は即戦力人材の採用を行う手法があまりないことがわかりました。先進的な地方企業が即戦力人材を採用するために、人材紹介会社を活用するだけでなく、首都圏との「距離」というハンディキャップを解決できるインターネットを活用して採用活動に取り組み始めたのです。

ーーなにをきっかけに地方創生の採用支援を始めることにしたのですか。

「ビズリーチ」はインターネット上に企業と求職者が直接やりとりできるプラットフォームを提供しており、地方の企業が即戦力人材を直接スカウトすることができます。社長自らがメールを送ることも多く、求職者であるビズリーチ会員様も地方企業からのスカウトメールに興味をもって返信し、予想以上の採用実績が見られるようになってきました。その要因を調べてみると、会員の方々の転職で重視する点が、どちらかと言うと「給与よりもやりがい」にシフトしているためであることがわかりました。実際、アンケートを取ってみたところ、回答者の7割の方々が「やりがいあれば地方転職を前向きに検討する」と回答しました。その後実施したアンケートでは約1/3が「場所は問わない」と回答し、Uターンではなく、縁もゆかりもない土地でも良いということがわかりました。

――7割というのは相当な数字です。多くの人が、地方に何らかの貢献をしたい、地方で働きたいと思っていたわけですね。

このことを受け、会員様のご希望に応えなければならないという想いと、地方企業におけるやりがいあるポジションの開拓というビジネスの観点から地方創生を事業のひとつとして考えるようになったのです。


《HANJO HANJO編集部》

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