石井啓一国交相に聞く、2018年行政運営の抱負/生産性革命「深化の年」 画像 石井啓一国交相に聞く、2018年行政運営の抱負/生産性革命「深化の年」

制度・ビジネスチャンス

 ◇未来切り開く社会資本整備/実効性ある働き方改革推進
 石井啓一国土交通相は日刊建設工業新聞など建設専門紙の新春共同インタビューに応じ、2018年の行政運営への抱負を語った。インフラ整備や防災・減災などで建設業が今後も期待される役割を果たしていけるよう「生産性向上と働き方改革に取り組む」と決意を表明。ストック効果の高い社会資本整備に向け、安定的・持続的な公共投資を確保することの重要性も強調した。今年を生産性革命「深化の年」と位置付け、i-Constructionなどの施策を積極展開する方針も示した。
 --建設業界の現状をどう見ている。
 「人口減少時代を迎え、生産年齢人口も減っている中、建設業が今後も役割をきちんと果たしていくためには、働き手の減少を上回る生産性の向上と、将来の担い手を確保するための働き方改革に取り組まなければいけない」
 --どう取り組む。
 「働き方改革については、昨年8月に受発注者双方が守るべきルールとして『適正な工期設定等のためのガイドライン』を策定し、長時間労働の是正に向けた取り組みを開始した。今後このガイドラインが公共工事だけでなく民間工事にも浸透し、より実効性のあるものになるよう業態別の連絡会議を通じて検討を深めていきたい」
 「建設産業政策会議で、10年後も建設産業が生産性を高めながら、現場力を維持していけるようにする方策を議論し、昨年7月に『建設産業政策2017+10』がまとまった。提言に盛り込まれた政策の具体化を進めており、今年も提言の実現、具体化に向けて着実に準備を進めていく」
 --人材育成も重要課題だ。
 「技能者の就業履歴などを業界統一ルールで蓄積する『建設キャリアアップシステム』を秋から導入する。建設業の従事者に必要な技能の習得をICT(情報通信技術)を活用して効果的、継続的に行う『建設リカレント教育』にも取り組む。建設産業が若い人たちに魅力とやりがいを語れる産業になり、今後もインフラの整備や維持管理、災害対応といった『地域の守り手』などの役割を果たしていくことができるよう、業界と一体となった取り組みを強力に進めていきたい」
 --「生産性革命」の取り組みが3年目に入る。
 「今年は生産性革命『深化の年』と位置付け、社会全体の生産性を向上させる施策に全力で取り組む。生産性革命の基礎にある『小さなインプットで、できるだけ大きなアウトプットを生み出す』という考え方を、国交省のあらゆる施策に生かしていきたい」
 「建設現場の生産性の2割向上を目指す『i-Construction』のさらなる深化を図る。これまでの取り組みを一層推進していくと同時に、維持管理や建築分野などへのICTの導入拡大、大規模構造物などの3次元(3D)設計の拡大、公共事業のイノベーションを図るための新技術の導入促進、中小企業の取り組みを加速させるための支援の充実などに力を入れる」
 --社会資本整備にはどう取り組む。
 「社会資本は、安全・安心の確保や生産性の向上といったストック効果によって、頻発する自然災害から国民の命と財産を守り、経済成長に貢献する。こうしたストック効果の高い社会資本の整備を計画的、重点的に進めるためには、安定的、持続的な公共投資の確保が不可欠だ。18年度予算案で公共事業関係費はここ数年の流れを堅持し、前年度を20億円上回る5兆1828億円を確保できた」
 --重点を置く事業は。
 「安全・安心の確保の観点では、まず昨年の九州北部豪雨をはじめ災害の被災地の早期復旧に全力で取り組みたい。防災・減災対策にはハード・ソフト施策を総動員する。インフラの老朽化対策を計画的に進めていくことも重要だ。東日本大震災や熊本地震など相次ぐ大規模災害の被災者の方々が一日も早く復興を実感できるよう、被災地の復興まちづくりや観光振興などにも総力を挙げる」
 「生産性向上の観点では、全国の物流ネットワークの核となる高速道路について、現在の低金利状況を生かして財政投融資を活用し、大都市圏環状道路などの整備を加速させたい。さらに地域産業の生産性向上に直結するインフラを全国で重点的に整備する。社会資本は未来を切り開く投資であり、今後もストック効果を最大限に発揮できるよう、戦略的な取り組みを強化する」
 --昨年は所有者不明土地問題が注目を集めた。対応は。
 「所有者不明土地を円滑に利用できるようにするため、公共事業で使う場合は収用手続きの合理化、公園や広場など地域住民のための公共的事業に使う場合は期間を定めて利用を可能にする新たな仕組みを構築する。これらを盛り込んだ法案を通常国会に提出する準備を進めている」
 「所有者不明土地問題の抜本的対策は、そうした土地の発生を抑えることだ。それには不動産の登記制度や土地所有権のあり方が深く関わってくるため、政府全体で検討を進める。近年増えている空き地が所有者不明土地になるのを防ぐためにも、空き地の段階から有効利用や適正管理を促すことが重要だ。先進的な取り組みを調査し、得られたノウハウや良い取り組みを広く展開していきたい」。

石井啓一国交相に聞く/行政運営の抱負は/生産性革命「深化の年」

《日刊建設工業新聞》

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