ユニーク社長のロングトーク/Casa 宮地正剛さん Vol.3 画像 ユニーク社長のロングトーク/Casa 宮地正剛さん Vol.3

制度・ビジネスチャンス

 激流のなかにある日本の中小企業。社長の仕事も様変わりを見せています。けれど社長は社長。重要なのはいかにリスクを負って、状況を変えていくかです。自社の意志でビジネスをおこす。アイディアの自由を守る。その姿勢が世の中を変えていきます。そんな社長の仕事に光を当てつつ、そのユニークな個性に迫ります! 第一回に登場願ったのは、家賃の保証や決済、賃貸保証などを中核事業として展開する「株式会社Casa」の宮地正剛さん。ロングトークをシリーズでお届けします。


■お客様がいるところにお客様が欲しがるものを持って行く

 当社のビジネスモデルは部屋を借りる時に連帯保証人になり替わって、保証を引き受けるというものです。

 サービスの提供は不動産管理会社と販売委託の代理店契約を結び、販売に応じて管理会社に手数料を支払う訳ですが、年々、業界内での競争は激しくなっており、特に価格競争が激しくなっています。

 そこで、目をつけたのが仲介市場に注力するということでした。仲介市場には客付けを依頼する管理会社や自分で管理をしている自主管理の大家さん、そして部屋を探している入居者が集まります。釣りに例えると、釣りが上手な人というのは「魚がいるところを知っている」「魚が好む餌を知っている」という2つの条件を持っていると思います。仲介市場にはいろいろなお客様が集まっているわけですから、そこでビジネスをした方が効率も良く、また仲介市場に同業他社はアプローチしていませんので競争原理の点からも有効だと考えました。

 仲介現場で大事なのはスピードです。具体的には申し込みから審査、承認までの時間です。お客様がお店に来店されてから商談時間内に審査結果を出すことで、仲介会社の担当者は、その場で入居申し込みまで薦めることが可能になり、契約機会が高まります。当社では過去の顧客データから顧客の属性、カテゴリー毎に分類し、スコアリングを設け審査が出来るようにしました。これにより審査時間が当初は3時間程度掛かっていたのが、今では申し込みから審査結果通知まで1時間半で対応出来るようになりました。

 管理会社は空室の客付け依頼を仲介会社に営業をする必要があるのですが、当社が代わりに空室案内の営業をサービスで行っています。受注を待つのではなく、こちらから生み出すということです。また、仲介会社から見ても、物件の空室確認をする手間が省けるので、管理会社、仲介会社双方にメリットが生まれます。

■“ビジネス“ではなく“商売”というスタンスが必要

 今までを振り返ると、大切なのはやっぱり人と環境だと思います。会社を立ち上げた当時は戦略の適合性や組織を牽引していくリーダーシップに意識をおいていました。実際、当時の私は現場に厳しい激を飛ばしており、問題があれば全て自分で解決していました。

 しかし3年が経過した頃には、3分の1の社員が辞めていました。事業の拡大、売上増加ばかりを強化し、組織の内面を育てられていなかったのです。組織の持続的な成長は内側から芽が出て来る必要があると思います。戦略や商品がどれだけ優れていても、社員が自分の仕事に遣り甲斐を持てなければ個々の成長はなく、ゆえに組織の成長もないです。

 そこで急激な成長は組織を崩壊させかねないと考え、売上げより人材育成に主眼を置き、時間もお金もかけていきました。まず企業理念を掲げ、理念浸透の勉強会や管理者には毎月、私が直接管理者の心得や問題解決や様々な研修を始めました。開始から5年経った今でも継続して行っています。研修を始めてから徐々に変化がありました。今までは自身のことしか考えていなかったのが、互いの立場を理解、尊重するようになり、会議では論争だったのが、相手の立場を理解したうえでの対話になり、自然と合意形成が生まれ、こうなれば自分たちで決めたことなので、やらされ感ではなく、責任感や連帯感が芽生えるようになってきました。

 組織風土が変わっていくことで、素直で誠実な社員が多く入社してくるようにもなりました。そして、お客様から感謝のお手紙をいただくようになったことはとても誇らしく思っています。目先の利益に拘るのではなく、質の良い利益を増やすことが大切だと考えています。

 私の実家も事業をやっていましたが、実家の経営を見て感じたのは“ビジネス”と“商売”は違うということです。“ビジネス”は仕組みだと思うんですね。サービスを提供する人と求める人、そして市場と競争優位性。これらが仕組みとして成り立っていればいいので、創造力や知恵が豊かであればさほど難しいとは思いません。

 しかし、ビジネスが継続するかは別です。継続するためには、お客様に認めてもらわなくてはなりません。お客様がこの会社からサービスを受けたいと支持されない限り、たとえ成功しても一時的なもので終わると思います。私の考える商売というのは近江商人の心得である「三方良し」です。そのためには“商売”というお客様本位のスタンスをとても大事にしています。

 ホスピタリティの精神を高めるために、NPO団体のフードバンクに全社員が毎週交代でボランティアに参加しています。社員一人ひとりがお客様の立場を理解し、期待を超えるサービスを提供していくことで、我々の存在意義が生まれると思います。

 現在、我々は保証会社という枠組みを超えられていませんが、今後は部屋を借りる入居者と貸す側の家主双方のマッチングをしていきたいと思っています。部屋探しのお手伝いから賃貸経営サポートなど、双方に有益なサービスをトータル的に提供していきたいと考えています。

 働く社員がワクワク感を持って変化を楽しむ、そして我々の強みを因数分解して、それに掛け算や足し算をしていき、そこに人やお金を投資していくことで、新しいものを生みだし、いつの間にかパラダイムシフトが起こると思います。


●プロフィール
宮地正剛(みやじせいごう)
1972年、香川県生まれ。2008年、レントゴー保証株式会社(現株式会社Casa)設立。2009年、一般社団法人賃貸保証機構 代表理事就任。住宅業を営む実家の影響を受けて不動産業界に興味を持ち、大学卒業後、材木業が盛んなカナダへ留学。帰国後に不動産ビジネスに携わるようになる。「ユーザー目線で見ると不動産業は不透明感が多い」市場だと感じ、不動産の情報公開や賃貸サービス向上のための仕組みづくりが必要だと考えて、ITで不動産と金融を便利にしていく、家賃債務保証事業のCasaを立ち上げる。



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