新しい“レンズ”で新しい価値をつくる/熱狂ブランドサミット2017 画像 新しい“レンズ”で新しい価値をつくる/熱狂ブランドサミット2017

イベント

 さまざまな業種・業態のマーケッターが一同に介し「顧客を感動・熱狂させるブランド体験」や「熱狂的な顧客がもたらすマーケティング効果」についての議論や考察が行われる『熱狂ブランドサミット2017』(主催:株式会社トライバルメディアハウス)が2017年10月24日(火)ベルサール九段にて開催された。

 今年で2回目となる本イベントでは、マーケティングだけでなく経営戦略や企業のカルチャーづくり、ブランディングにまでテーマの幅を拡げ、顧客や従業員を感動・熱狂させるための課題について多数のセッションが行われた。

 今回は『サービス・マネジメント:「価値づくり」の未来』~講師:一橋大学大学院国際企業戦略研究科 准教授& MBA Program, Academic Affairs担当 藤川佳則氏~より、新しい価値をつくりだすために必要な考え方のシフトについてポイントを抽出する。

■これからの価値づくりはバリューチェーンの外側にある

 まず藤川氏は産業における価値づくりの考え方を「レンズ」に例えた。既存のレンズは、「バリューチェーン」という考え方に代表されるように、「社内に持てる経営資源を駆使することで、企業が商品の機能や性能、サービスのスペックなどの形で価値をつくり出し、消費者に少しでも高い価値を認めてもらう努力をする。そして、消費者はそれを消費する」といった考え方がベースとなっており、このことについて「我々は知らず知らずのうちにこのレンズをかけて世の中を見ている。しかし近年は組織の中に経営資源を保有せずに価値を創造し続ける企業、例えば、UberやFacebook、Airbnbなどが世界から注目を集め、さらには資金も人材も集め、大きく成長する企業が登場している。これまでの考え方のレンズが通用しなくなってきているのではないか」と藤川氏は解説する。

 つまりこれまで価値づくりと言われてきたものは「経営資源がないと価値を提供できない」、「価値づくりの終点は、製品やサービスをお客様に届けること」「企業が価値をつくるのであり、お客様は価値をつくらない」という前提だったが、「いま現在進行形で進む価値づくりの多くは、従来のバリューチェーンの外側で行われつつある」と藤川氏は強調した。

 企業の活動と、顧客の行動が組み合わさって、常に価値がつくられ続けるという、これまでのレンズでは見えなかった価値づくりが主流となりつつある。したがって、新しいレンズで世の中を見る重要性が高まりつつある。

■新しい価値を作りだすためには地球規模でものごとを見る

 これまでの「レンズ」が通用しなくなりつつある背景について、藤川氏は地球規模で数十年単位で起きている「SHIFT」「MELT」「TILT」という3つのキーワードを挙げた。

「SHIFT」とは、世界経済がサービス化に進んでいるということ。日本国内でもいまやサービス産業がGDPの70%を占めていることは周知のことだが、各国経済のサービス化は人類史上すべての国で進行しつつあるという。

「MELT」は、産業の垣根があいまいになっていることを示している。例えば、AppleはiPhoneに代表される機器の製造だけでなく、iTunesやiPhoneアプリのようなサービスも提供し、Apple storeによる小売業も展開している。また、Amazonはスマートスピーカー「Amazon echo」を販売しているが、スピーカーを売って儲けようとしているわけではなく、その先のサービスに焦点を合わせている。adidasはボールを蹴ったときのスピードや回転数などのデータを取得することができる新しいサッカーボール「スマートボール」を販売している。従来のサッカーボールの場合、製品が顧客の手元に渡る時点でバリューチェーンが終点を迎える。しかし、この「スマートボール」の場合、バリューチェーンはそこで終わらない。ユーザーとつながり、データを集積して新しいビジネスにつなげることができるようになる。このように、製造業なのか、サービス業なのか、もはやわかりにくくなる、産業の垣根を超える企業や事業が増えつつある。

「TILT」は、これまで世界経済の重心は北半球だったが、将来的には南半球に移るというものだ。あくまで未来予測的な議論だが、世界経済の重心がいつまでも北半球にあるという保証はない。

 これらの3つのキーワードに共通するのは、これまでの常識(古いレンズ)が通用しない世の中になっているということだ。企業はそのことを念頭においておく必要があると藤川氏は説明した。

《川口裕樹/HANJO HANJO編集部》

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